ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ハーツ・アンド・マインズ ベトナム戦争の真実

2010-06-23 12:04:26 | は行
過去を記憶できないものは
同じ過ちを繰り返す――ジョージ・サンタヤナ(アメリカの哲学者。1863-1952)

そのとおりでがんす。

「ハーツ・アンド・マインズ ベトナム戦争の真実」67点★★


1974年に作られて
第47回(1975年)アカデミー賞の最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した
ドキュメンタリーです。
日本初公開。


「地獄の黙示録」などベトナム戦争を描いた映画に
多大な影響を与えた記録集で

なにがすごいかというと
1972年、徐々に終わりが見えつつも
まだベトナム戦争泥沼の真っ最中のときに

アメリカ兵士、軍人、政治家、ベトナムの村人など
戦争に関わったあらゆる立場の人に
インタビューをしているところ。

敵対する双方をきっちり取材してあり
印象に残る言葉も多かった。

「我々は間違えたのではなく、いま間違えているのだ」
という
米軍筋からの賢明な意見がある反面

「東洋人の命の価値は西洋人より小さい。
だって人口が多いし、東洋的な思想からも
そう感じられる」

なんて
寝ぼけたことを堂々とほざく
元米軍関係者もいたりして

おい、おっさん!
そのアホ面、永遠に記録されたからな!
ざまあみろ!

って感じなんです。


いやー“記録”ってすごいわ。

インタビューと記録映像で積み重ねた作りは
まま単調でもあり
途中、周辺からスウスウと寝息も聞こえましたが
(番長もほんの3分ほど・・・すみません)

こういう映画は
きちんと見ておくべきでしょう。


この映画を詳しく教えていただくため
従軍カメラマンとして現地にいらした
写真家の石川文洋さんに
取材をさせていただきまして

どんなにこの記録が貴重かということが
つくづくわかりました。

こんなに自由に取材、撮影ができたのは
ベトナム戦争だけだったんですね。

湾岸戦争も、もちろんイラク戦も全然ダメ。

そりゃあ戦争の最中に
当事者の
「間違いだった」なんてコメント
まずいってなもんでしょうが


「この戦争で米軍は
余計なことを学んじゃったんだ」

って、おっしゃってました。

我々はもっと別のことを
こういう映画から学ばないといかんということが
とてもよくわかるお話でした。

文洋さんのインタビューコメントは
現在発売中の「週刊朝日」7/2号50Pめに載ってますので
ぜひ、読んで見てください。




★6/19~7/16 東京写真美術館ホールで公開中。

「ハーツ・アンド・マインズ ベトナム戦争の真実」公式サイト

同時公開で
「ウォーター・ソルジャー ベトナム帰還兵の告白」(1972年作品)もやってます。
コメント (2)
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