ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

必死剣 鳥刺し

2010-06-03 02:23:44 | は行
サムライ続きってことで

「必死剣 鳥刺し」69点★★☆

あ「座頭市」はスルーしてますが(苦笑)スミマセン。
話すようなこともなかったので・・・

で、こちらは
隠し剣シリーズ最新作。

いままでのなかで
もっとも展開がミステリアスで
お話的にはおもしろかったです。


時は江戸。
海坂藩士・兼見(豊川悦司)は
寡黙でマジメな男。
そして藩内でも屈指の剣の使い手。

が、そんな彼が突然
人々の前で
藩主の愛妾を刺し殺した。

いったい、何が彼に起こったのか?

さらに斬首も当然と思われたその処遇は
中老(岸部一徳)の計らいで
一年の自宅監禁となった。

兼見はなぜ、愛妾を殺したのか?
事件に隠された秘密は?
そして、意外な事実が明らかになってゆく・・・


いきなりの殺傷事件という展開と
その後の謎解き、そしてラストといい
かなりミステリ度の高い作りで楽しめました。


隠し剣シリーズに必須の
男女の切なさ度合いが
もひとつなのが残念なのですが

おなじみ現代サラリーマン悲哀に通じる
武士の世界の不条理や非業には
時代を超えた普遍性があります。

桜がハラハラ舞い、雨がそぼ降るような絵作り
そして血のりが飛び散る殺陣シーンなど

相当に“正統派時代劇”な作りにも
満足度を得られると思います。


また重要な役どころの吉川晃司が
なかなかに眼力と殺気を匂わせていて
ハマってました。
ちょんまげも似合うしね。


ちなみに鳥刺しとは
必死必勝の剣。

その秘剣が抜かれる時
その遣い手は、半ば死んでいるとされる――

のだそうです。

「え?鶏刺し?」とか言ってた人、いましたけど。

確かにタイトルがもうちょっと、ね・・・


★7/10から全国で公開。

「必死剣 鳥刺し」公式サイト
コメント (2)
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