JX-ENEOSサンフラワーズ
昨季WJBL1位、今季3位(10勝2敗)、WJBL優勝17回、全日本総合優勝18回(NHKの字幕では“今季”となっていた。“今シーズン”という観点なら“今季”であるが、将棋界だと“今期”“昨期”が通常のような気がする)。
シャンソンに跳ねかえされ続けた時期、2強時代を経て、富士通、トヨタ自動車などの台頭はあるが、常に女子バスケット界を引っ張り続ける王者。
チームを牽引する吉田が、左膝前十字靱帯断裂から先月20日に復帰したばかりで、出場時間が20分に制限されている。とは言っても、渡嘉敷、間宮のツインタワーは強力で、昨季もリーグ終盤・プレーオフを吉田抜きで勝ち抜いた地力は相当。
3回戦74-54東京医療保大、準々決勝89-41新潟と、攻撃的ディフェンスと強力なインサイドで圧倒している。
富士通レッドウエーブ
昨季WJBL1位、今季2位(12勝2敗)、WJBL優勝1回、全日本総合優勝3回。
新ヘッドコーチの元、スピードとパス、3ポイントシュートを武器にリーグ戦2位と好調。
3回戦92-57アイシンAW,準々決勝64-49シャンソン。3回戦は得意の3ポイントが12本成功と圧勝。シャンソン戦は、厳しいディフェンスに加え、ポイントガードの町田がチーム最多の23点を上げている。町田は得点力もあるうえ、リーグ最多のアシストを上げている。
今期の対戦はJX64-92富士通。富士通のゾーンディフェンスが機能して、渡嘉敷、間宮のインサイド陣を計16点に抑え、快勝している。
スターティングメンバー
JX………吉田、岡本、宮澤、渡嘉敷、間宮
富士通……町田、篠崎、山本、長岡、篠原
負傷者リスト
JX………寺田弥生子、山田愛、小山真実
富士通……なし(名木が負傷しているという情報も)
第1ピリオド
JXは渡嘉敷のブロックショットや、ハーフラインからのプレッシャーデイフェンスで岡本がスチールからドリブルシュート、オフェンスリバウンドから渡嘉敷がシュートを決めるなど順調な立ち上がり。
富士通も山本のドライブでファールをもらいフリースロー、さらに、柔らかなタッチでジャンプショットを決め、4-4と互角の展開。
注目の吉田は、ルーキーで動きの良い篠崎に付かれた為か、無理はせず、パスを回したり自らジャンプシュートを放つ。最初のジャンプシュートを外したが、開始1分40秒でオフェンスリバウンドから回ってきたパスを3ポイントシュートを決め、復帰5試合での初得点。(JX7-4富士通)
これで、JXが波に乗るかと思えたが、間宮、吉田、宮澤とジャンプシュートが外れ、この間、篠原のフリースロー、篠崎の3ポイントシュートで逆転。(JX7-9富士通、3分23秒)
この後、互いにターンオーバーやシュートミスを犯す。JXは約3分得点なしであったが、吉田がジャンプシュートと見せかけてのゴール下の渡嘉敷へのナイスパスを通す。“ホットライン”健在を示した。
この後のアウトオブバウンドを機に、吉田は新原と交代。吉田のプレータイムは4分45秒。
で、代わりに入った新原だが……相変わらず進行方向の幅がなく余裕のないドリブルと、回すだけで攻撃の意図のないパス。そのうえ、ボール運びの段階でプレッシャーを掛けられた新原が苦しいパスを出してのターンオーバー、さらに24秒オーバータイムとオフェンスは停滞。富士通がゾーンデイフェンスに切り替えたこともあるが、吉田がコートにいないとこうも変わるモノなのか?
昨季までに新原ではオフェンスが機能しないことは充分に経験しているはずだ。未だに新原を起用するのは理解不能である。新原を起用するのなら、彼女の能力に合ったオフェンスシステムを考案すべきであるが、何の工夫も見られない。吉田不在は昨年リーグ終盤からだったので、その克服の時間はたっぷりあったはず。
一案としては、ボールキープ力の高い岡本をポイントガードにするのはどうだろうか?この場合、新原はジャンプシュート力がないので使えないが、岡本タイプのガードを入れ、両ポイントガード兼シューティングガー制も有効かもしれない。吉田のインプレイ中も、このシステムを取れば、吉田の負担も減るはずだ。
それに若手のポイントガードを育てる機会は十分にあったはず。強力なペイントゾーンに加え、スモールフォワードに転身しSFポジションに不慣れではあるが、ポテンシャルが高い宮澤、屈指の3ポイントシューターの岡本と強力布陣。並のポイントガードでも機能するはずだ。今季のリーグ戦で、試したり経験を積ませることは十分可能だったはずだ。
あまりにJXのオフェンスが機能しないので、話が横道に逸れてしまった。
このJXの停滞につき合うように、富士通も外郭のシュートがエアーボールになるなど変調。9-9(4分40秒)から8分20秒まで無得点。特にフリースローをJXが3本決め、12-9。おまけに、篠原がオフェンスファールを犯し、2ファールでベンチに下がる始末。
これを打開したのが、篠崎のドライブ。マークした新原が止められずファール。フリースローを1本決め12-10。
これを機に、停滞していたゲームが動き出す。
8分36秒、新原がトップの位置からゴール付近の渡嘉敷へ裏を通すパスを決め、14-10。
9分7秒、ペイントでパスを受けた山本がターンしてジャンプシュート、14-12。
9分25秒、セカンドオフェンスでペイント付近から間宮がディフェンスのチェックが甘くなったのを突きシュート、16-12。
9分53秒、JXのゾーンディフェンスに対し、パスを回してフリーになった長岡が3ポイントシュートを決め、16-15。
お互い、オフェンスに不満の残る第1ピリオド。
JXは渡嘉敷6点、間宮5点でペイントゾーンで強さを発揮したが、間宮の動きが良くない。得意のミドルのジャンプショットも決めるどころか、アテンプトもほとんどなかった。渡嘉敷はリバウンド2、ブロックショット2、アシスト1と好調。
富士通は山本が6点と好調。篠崎4点。町田は無得点と目立たなかった。リバウンドはJXの10に対し、13と健闘。
JX・佐藤ヘッドコーチ「ディフェンスは良いので、オフェンスをもっと積極的に行け」
富士通・BTテーブスヘッドコーチ「カットが遅い。もう少し早く回していけ」
“積極的にオフェンス”…って、もっと具体的に指示してほしい。
第2ピリオド
吉田が最初から出場。富士通はベテラン三谷(36歳)がコートに。
開始早々、富士通の町田がドライブで引きつけ長岡をフリーにしてパス、長岡が3ポイントを決め、JX16-18富士通、と逆転。JXも高い位置でボールをもらった渡嘉敷が、高さとパワーを生かしたドライブを決め、18-18の同点に。(1分23秒)
さらに、ハーフラインのプレッシャーディフェンスでボールを奪い、吉田→渡嘉敷のホットラインで逆転。
富士通も山本が上手いターンからのドライブでファールをもらい、20-20の同点に(2分15秒)。
さらに、ゾーンディヘンスに切り替え、JXを攻めあぐませ、反転速攻(町田→長岡)を決め、逆転(2分45秒)。
ゾーンディフェンスを攻略できないJXに対し、篠崎が3ポイントを決め、JX20-25富士通と初めて5点差をつける(3分25秒)。
JXは渡嘉敷がオフェンスリバウンドから得点(第2ピリオドはJXは渡嘉敷の6点のみ)するが、富士通が反転速攻を決め、さらに、渡嘉敷のシュートミスに、速いトラディッションからパス2本で三谷をフリーにし、3ポイントシュートシュート。JX22-30富士通(4分13秒)。
たまらず、佐藤HC、タイムアウト。「ただパスを回すのではなく、ギャップ(隙)を見つけて、中に切り込むなどしてディフェンスを収縮させてからパスしろ」と珍しく的確な指示。できれば、岡本に3ポイントシュートを狙わせるシステム。さらに、岡本がマークされたら、ペネトレイトかマークが甘くなったペイントの選手にパスなど、突き詰めた指示が欲しいところだ。
対するデーブスHCは「展開をもっと早く。ペネトレイトもしろ。ディフェンスは3ポイントシュートのないプレーヤーにはつく必要はない」と指示。
タイムアウト後、やはり、攻めあぐむJXだが、セカンドオフェンスで岡本が動き回り、何とかギャップを作って間宮にパスを送り2点。
富士通は攻めあぐねたものの、三谷が3ポイントラインの1m後方から3ポイントを決めてJX24-33富士通(5分27秒)。JXは岡本が単独で3ポイントを放つが外れる。シュートのリズムも悪かく、タイミングも悪かったので、渡嘉敷、間宮もリバウンドに絡むことさえできない。
対する富士通は、ボールプレーヤも他の選手もよく動いてオフェンスし、山本が巧みなターンでドライブシュート。
JXはパスを回すだけで、ゾーンディフェンスを破ることはできない。岡本がスクリーンを利用してコーナーでフリーになり、そこへ吉田がパスをしたが、カバーに三谷が寄り、吉田にボールを返す。しかし、三谷がマークに来ても、充分シュートを放てる距離はあった。シューターなら、ここで打たないと……。結局、吉田がショットクロック9秒残っているにもかかわらず、3ポイントシュートを打ち、外れる。吉田も、頭に来たのではないだろうか?
すかさず町田がゴールに切れ込み、ファールをもらい、2投とも沈め、24-37と13点差(6分22秒)。
この状況に、さすがに踏ん切りがついたのか、≪打て≫という雰囲気満々の吉田のパスに、岡本が3ポイントシュートを決める。岡本、ここまで3ポイントは3-1。3本しか打っていないのは少なすぎる。
富士通は完全に波に乗っている。篠崎のペネトレイトからコーナーへのパスを受けた町田が3ポイントシュートを沈め返す。間宮のパワーを生かしたゴール下のシュートに、すぐさまタッチダウンパス。三谷が良く走り、三度、13点差、29-42(7分21秒)。
JX・大沼がフリーのミドルシュートを外し、富士通は速いトラディッションから、フリーの長岡の3ポイントシュート。これが決まっていたら、相当、JXは苦しかったのではないだろうか?
助かったJX、間宮がやや遠いが得意のはずの位置からジャンプシュートを放つが外れる。なんとか、リバウンドを取り、今度は岡本が3ポイントシュートを放つが、これも外れる。ところが、一瞬エアーポイントに陥ったのか、ゴール下で間宮が楽々リバウンド&シュート。この攻守のプラスマイナスが非常に大きい気がした。31-42(8分2秒)
さらに、吉田が長岡のパスをカット、2対2の状況だったが、そのままドリブルシュート。JX33-42富士通(8分51秒)。
すかさず、反転速攻の富士通。町田がゴール下へロングパスを狙うが、これは不用意。大沼がパスカット。吉田からペイントゾーンでパスを受けた渡嘉敷がディフェンダー3人をかき分けるようにねじ込み、7点差(9分2秒)。
結局、このまま、前半終了。JX35-42富士通。
残り2分39秒を富士通は無得点。攻守ともの失速。勝利を意識してしまったのだろうか。
第2ピリオド、JXは渡嘉敷8点、間宮6点と、やはりツインタワーに依存。まあ、これはJXらしさと言えるので、良いのだが、それ以外の得点が5点では少なすぎる。(前半でくくると、ツインタワー25点、それ以外10点)
吉田が完調ではなく、ツインタワーもマークされる。岡本も消極的。となると、宮澤のポジションのスモールフォワードが鍵となる。しかし、宮澤は無得点(プレータイム9分50秒)。大沼も0点(8分12秒)、中村優花も0点(1分58秒)。なんと、このポジションは無得点だった。宮澤は第1ピリオド4-0とシュートを外したので、第2ピリオドは2分15秒とベンチを温めたが、代わって出た控え二人はシュートアテンプト1本だけ、リバウンドも1本とと、ほとんどアクションなしと言っていいだろう。これなら、宮澤を出した方が遥かに機能するはず。
それよりも問題なのは、プレータイムが20分と制限された状態の吉田を、第2ピリオドをフル出場させたこと(通計14分45秒)。
時間的には、タイムアウト時(4分13秒)だが、8点差をつけられ流れが悪いところでは変えにくい。タイミングとしては、2点返した後、渡嘉敷のブロックショットでアウトオブバウンドになったところだろう(5分21秒)。このタイミングを逃し、続けざまに7点取られては、吉田をベンチに下げることができなくなってしまった。
それでも、吉田のコンディション、今後の選手生活を考えると、休ませるべきだった言いたい。昨年も、嫌というほど感じたが、佐藤HCは目先のことしか考えない人である。
富士通は、このピリオド、三谷8点、山本6点、町田と長岡が5点、篠崎も3点、アシストも町田4、篠崎2とバランスの良いオフェンスだった。3ポイントは7本中5本成功も大きい。
ディフェンスもペイントを絞り気味のゾーンが良く機能した。ボックスアウトも良くできていた。相手の3ポイントシュートのフリーにする見極めも的確だった。
惜しむらくは、前半終了間際の変調。二桁点差を維持しておけば、吉田のコンディションを考えると、かなりの勝機があったはずだ。【続く】
昨季WJBL1位、今季3位(10勝2敗)、WJBL優勝17回、全日本総合優勝18回(NHKの字幕では“今季”となっていた。“今シーズン”という観点なら“今季”であるが、将棋界だと“今期”“昨期”が通常のような気がする)。
シャンソンに跳ねかえされ続けた時期、2強時代を経て、富士通、トヨタ自動車などの台頭はあるが、常に女子バスケット界を引っ張り続ける王者。
チームを牽引する吉田が、左膝前十字靱帯断裂から先月20日に復帰したばかりで、出場時間が20分に制限されている。とは言っても、渡嘉敷、間宮のツインタワーは強力で、昨季もリーグ終盤・プレーオフを吉田抜きで勝ち抜いた地力は相当。
3回戦74-54東京医療保大、準々決勝89-41新潟と、攻撃的ディフェンスと強力なインサイドで圧倒している。
富士通レッドウエーブ
昨季WJBL1位、今季2位(12勝2敗)、WJBL優勝1回、全日本総合優勝3回。
新ヘッドコーチの元、スピードとパス、3ポイントシュートを武器にリーグ戦2位と好調。
3回戦92-57アイシンAW,準々決勝64-49シャンソン。3回戦は得意の3ポイントが12本成功と圧勝。シャンソン戦は、厳しいディフェンスに加え、ポイントガードの町田がチーム最多の23点を上げている。町田は得点力もあるうえ、リーグ最多のアシストを上げている。
今期の対戦はJX64-92富士通。富士通のゾーンディフェンスが機能して、渡嘉敷、間宮のインサイド陣を計16点に抑え、快勝している。
スターティングメンバー
JX………吉田、岡本、宮澤、渡嘉敷、間宮
富士通……町田、篠崎、山本、長岡、篠原
負傷者リスト
JX………寺田弥生子、山田愛、小山真実
富士通……なし(名木が負傷しているという情報も)
第1ピリオド
JXは渡嘉敷のブロックショットや、ハーフラインからのプレッシャーデイフェンスで岡本がスチールからドリブルシュート、オフェンスリバウンドから渡嘉敷がシュートを決めるなど順調な立ち上がり。
富士通も山本のドライブでファールをもらいフリースロー、さらに、柔らかなタッチでジャンプショットを決め、4-4と互角の展開。
注目の吉田は、ルーキーで動きの良い篠崎に付かれた為か、無理はせず、パスを回したり自らジャンプシュートを放つ。最初のジャンプシュートを外したが、開始1分40秒でオフェンスリバウンドから回ってきたパスを3ポイントシュートを決め、復帰5試合での初得点。(JX7-4富士通)
これで、JXが波に乗るかと思えたが、間宮、吉田、宮澤とジャンプシュートが外れ、この間、篠原のフリースロー、篠崎の3ポイントシュートで逆転。(JX7-9富士通、3分23秒)
この後、互いにターンオーバーやシュートミスを犯す。JXは約3分得点なしであったが、吉田がジャンプシュートと見せかけてのゴール下の渡嘉敷へのナイスパスを通す。“ホットライン”健在を示した。
この後のアウトオブバウンドを機に、吉田は新原と交代。吉田のプレータイムは4分45秒。
で、代わりに入った新原だが……相変わらず進行方向の幅がなく余裕のないドリブルと、回すだけで攻撃の意図のないパス。そのうえ、ボール運びの段階でプレッシャーを掛けられた新原が苦しいパスを出してのターンオーバー、さらに24秒オーバータイムとオフェンスは停滞。富士通がゾーンデイフェンスに切り替えたこともあるが、吉田がコートにいないとこうも変わるモノなのか?
昨季までに新原ではオフェンスが機能しないことは充分に経験しているはずだ。未だに新原を起用するのは理解不能である。新原を起用するのなら、彼女の能力に合ったオフェンスシステムを考案すべきであるが、何の工夫も見られない。吉田不在は昨年リーグ終盤からだったので、その克服の時間はたっぷりあったはず。
一案としては、ボールキープ力の高い岡本をポイントガードにするのはどうだろうか?この場合、新原はジャンプシュート力がないので使えないが、岡本タイプのガードを入れ、両ポイントガード兼シューティングガー制も有効かもしれない。吉田のインプレイ中も、このシステムを取れば、吉田の負担も減るはずだ。
それに若手のポイントガードを育てる機会は十分にあったはず。強力なペイントゾーンに加え、スモールフォワードに転身しSFポジションに不慣れではあるが、ポテンシャルが高い宮澤、屈指の3ポイントシューターの岡本と強力布陣。並のポイントガードでも機能するはずだ。今季のリーグ戦で、試したり経験を積ませることは十分可能だったはずだ。
あまりにJXのオフェンスが機能しないので、話が横道に逸れてしまった。
このJXの停滞につき合うように、富士通も外郭のシュートがエアーボールになるなど変調。9-9(4分40秒)から8分20秒まで無得点。特にフリースローをJXが3本決め、12-9。おまけに、篠原がオフェンスファールを犯し、2ファールでベンチに下がる始末。
これを打開したのが、篠崎のドライブ。マークした新原が止められずファール。フリースローを1本決め12-10。
これを機に、停滞していたゲームが動き出す。
8分36秒、新原がトップの位置からゴール付近の渡嘉敷へ裏を通すパスを決め、14-10。
9分7秒、ペイントでパスを受けた山本がターンしてジャンプシュート、14-12。
9分25秒、セカンドオフェンスでペイント付近から間宮がディフェンスのチェックが甘くなったのを突きシュート、16-12。
9分53秒、JXのゾーンディフェンスに対し、パスを回してフリーになった長岡が3ポイントシュートを決め、16-15。
お互い、オフェンスに不満の残る第1ピリオド。
JXは渡嘉敷6点、間宮5点でペイントゾーンで強さを発揮したが、間宮の動きが良くない。得意のミドルのジャンプショットも決めるどころか、アテンプトもほとんどなかった。渡嘉敷はリバウンド2、ブロックショット2、アシスト1と好調。
富士通は山本が6点と好調。篠崎4点。町田は無得点と目立たなかった。リバウンドはJXの10に対し、13と健闘。
JX・佐藤ヘッドコーチ「ディフェンスは良いので、オフェンスをもっと積極的に行け」
富士通・BTテーブスヘッドコーチ「カットが遅い。もう少し早く回していけ」
“積極的にオフェンス”…って、もっと具体的に指示してほしい。
第2ピリオド
吉田が最初から出場。富士通はベテラン三谷(36歳)がコートに。
開始早々、富士通の町田がドライブで引きつけ長岡をフリーにしてパス、長岡が3ポイントを決め、JX16-18富士通、と逆転。JXも高い位置でボールをもらった渡嘉敷が、高さとパワーを生かしたドライブを決め、18-18の同点に。(1分23秒)
さらに、ハーフラインのプレッシャーディフェンスでボールを奪い、吉田→渡嘉敷のホットラインで逆転。
富士通も山本が上手いターンからのドライブでファールをもらい、20-20の同点に(2分15秒)。
さらに、ゾーンディヘンスに切り替え、JXを攻めあぐませ、反転速攻(町田→長岡)を決め、逆転(2分45秒)。
ゾーンディフェンスを攻略できないJXに対し、篠崎が3ポイントを決め、JX20-25富士通と初めて5点差をつける(3分25秒)。
JXは渡嘉敷がオフェンスリバウンドから得点(第2ピリオドはJXは渡嘉敷の6点のみ)するが、富士通が反転速攻を決め、さらに、渡嘉敷のシュートミスに、速いトラディッションからパス2本で三谷をフリーにし、3ポイントシュートシュート。JX22-30富士通(4分13秒)。
たまらず、佐藤HC、タイムアウト。「ただパスを回すのではなく、ギャップ(隙)を見つけて、中に切り込むなどしてディフェンスを収縮させてからパスしろ」と珍しく的確な指示。できれば、岡本に3ポイントシュートを狙わせるシステム。さらに、岡本がマークされたら、ペネトレイトかマークが甘くなったペイントの選手にパスなど、突き詰めた指示が欲しいところだ。
対するデーブスHCは「展開をもっと早く。ペネトレイトもしろ。ディフェンスは3ポイントシュートのないプレーヤーにはつく必要はない」と指示。
タイムアウト後、やはり、攻めあぐむJXだが、セカンドオフェンスで岡本が動き回り、何とかギャップを作って間宮にパスを送り2点。
富士通は攻めあぐねたものの、三谷が3ポイントラインの1m後方から3ポイントを決めてJX24-33富士通(5分27秒)。JXは岡本が単独で3ポイントを放つが外れる。シュートのリズムも悪かく、タイミングも悪かったので、渡嘉敷、間宮もリバウンドに絡むことさえできない。
対する富士通は、ボールプレーヤも他の選手もよく動いてオフェンスし、山本が巧みなターンでドライブシュート。
JXはパスを回すだけで、ゾーンディフェンスを破ることはできない。岡本がスクリーンを利用してコーナーでフリーになり、そこへ吉田がパスをしたが、カバーに三谷が寄り、吉田にボールを返す。しかし、三谷がマークに来ても、充分シュートを放てる距離はあった。シューターなら、ここで打たないと……。結局、吉田がショットクロック9秒残っているにもかかわらず、3ポイントシュートを打ち、外れる。吉田も、頭に来たのではないだろうか?
すかさず町田がゴールに切れ込み、ファールをもらい、2投とも沈め、24-37と13点差(6分22秒)。
この状況に、さすがに踏ん切りがついたのか、≪打て≫という雰囲気満々の吉田のパスに、岡本が3ポイントシュートを決める。岡本、ここまで3ポイントは3-1。3本しか打っていないのは少なすぎる。
富士通は完全に波に乗っている。篠崎のペネトレイトからコーナーへのパスを受けた町田が3ポイントシュートを沈め返す。間宮のパワーを生かしたゴール下のシュートに、すぐさまタッチダウンパス。三谷が良く走り、三度、13点差、29-42(7分21秒)。
JX・大沼がフリーのミドルシュートを外し、富士通は速いトラディッションから、フリーの長岡の3ポイントシュート。これが決まっていたら、相当、JXは苦しかったのではないだろうか?
助かったJX、間宮がやや遠いが得意のはずの位置からジャンプシュートを放つが外れる。なんとか、リバウンドを取り、今度は岡本が3ポイントシュートを放つが、これも外れる。ところが、一瞬エアーポイントに陥ったのか、ゴール下で間宮が楽々リバウンド&シュート。この攻守のプラスマイナスが非常に大きい気がした。31-42(8分2秒)
さらに、吉田が長岡のパスをカット、2対2の状況だったが、そのままドリブルシュート。JX33-42富士通(8分51秒)。
すかさず、反転速攻の富士通。町田がゴール下へロングパスを狙うが、これは不用意。大沼がパスカット。吉田からペイントゾーンでパスを受けた渡嘉敷がディフェンダー3人をかき分けるようにねじ込み、7点差(9分2秒)。
結局、このまま、前半終了。JX35-42富士通。
残り2分39秒を富士通は無得点。攻守ともの失速。勝利を意識してしまったのだろうか。
第2ピリオド、JXは渡嘉敷8点、間宮6点と、やはりツインタワーに依存。まあ、これはJXらしさと言えるので、良いのだが、それ以外の得点が5点では少なすぎる。(前半でくくると、ツインタワー25点、それ以外10点)
吉田が完調ではなく、ツインタワーもマークされる。岡本も消極的。となると、宮澤のポジションのスモールフォワードが鍵となる。しかし、宮澤は無得点(プレータイム9分50秒)。大沼も0点(8分12秒)、中村優花も0点(1分58秒)。なんと、このポジションは無得点だった。宮澤は第1ピリオド4-0とシュートを外したので、第2ピリオドは2分15秒とベンチを温めたが、代わって出た控え二人はシュートアテンプト1本だけ、リバウンドも1本とと、ほとんどアクションなしと言っていいだろう。これなら、宮澤を出した方が遥かに機能するはず。
それよりも問題なのは、プレータイムが20分と制限された状態の吉田を、第2ピリオドをフル出場させたこと(通計14分45秒)。
時間的には、タイムアウト時(4分13秒)だが、8点差をつけられ流れが悪いところでは変えにくい。タイミングとしては、2点返した後、渡嘉敷のブロックショットでアウトオブバウンドになったところだろう(5分21秒)。このタイミングを逃し、続けざまに7点取られては、吉田をベンチに下げることができなくなってしまった。
それでも、吉田のコンディション、今後の選手生活を考えると、休ませるべきだった言いたい。昨年も、嫌というほど感じたが、佐藤HCは目先のことしか考えない人である。
富士通は、このピリオド、三谷8点、山本6点、町田と長岡が5点、篠崎も3点、アシストも町田4、篠崎2とバランスの良いオフェンスだった。3ポイントは7本中5本成功も大きい。
ディフェンスもペイントを絞り気味のゾーンが良く機能した。ボックスアウトも良くできていた。相手の3ポイントシュートのフリーにする見極めも的確だった。
惜しむらくは、前半終了間際の変調。二桁点差を維持しておけば、吉田のコンディションを考えると、かなりの勝機があったはずだ。【続く】
つい力が入って、情報の羅列で締まりのない感想文になってしまいました。
本当は、ゲームの勝敗を分けたポイントや、勝因・敗因の分析の論評を目指していたのですが、要約が苦手なのと、あとで見返す場合、試合経過の詳細があったほうが良いかなと思い、こんなふうになってしまいました。
ただ、やはり大変な作業なので、後悔しています。「その2」はこんな感じで書くつもりですが、あとの試合は、ポイント部分の経過と分析、それから、敗因勝因のみにしたいと思います。
前半までのポイントは、エスカルゴさんのご指摘のように、前半終了間際の富士通の中だるみ、吉田酷使や抽象的指示が多いJXHC・佐藤氏の采配ですね。
JXの新人PG・宮崎については、後半出場したと思うので、注目してみます。
富士通のHC/テーブス氏(本文記事で誤って「デーブス」と書いていました。訂正しました)の指示は、具体的でした。ただ、チーム事情によるのか、控えで出場したのは三谷のみだったのが、気になりました。
その2も近々アップしたいと思います。
さすがは英さん、ありがとうございます。
私も見ていて、第2Qの終盤までは完全に富士通のペースでゲームが進んでいて、十分勝てる試合だと思っていましたが、一つ目のポイントはやはりご指摘のように、第2Q終盤に13点差をミスの連続で7点差まで詰められたことでしょう。
このあたりがやはり、優勝を経験しているのが三谷だけで、若い選手が中心の富士通の経験のなさが出てしまったことと、何度も優勝を経験していて、相手のスキをすかさずついて畳み掛けてくるJXのしたたかさが出たということでしょう。富士通はタイムアウトを取ってもよかったかもしれません。落ち着くことが必要だったと思います。
吉田の酷使についてはおっしゃる通りですね。佐藤HCのこうした傾向は以前もあったように思います。常勝チームを率いているプレッシャーもあるのでしょう。かなり勝ちにこだわっていますが、理論的な指示はあまり聞かれず、抽象的なものが多い気がします。選手の力や他の優秀なコーチの力もあって、勝っているところもあると思います。
吉田以外のPGですが、新人の宮崎を新原よりもリーグ戦では使っていたように思います。宮崎は聖カタリナ出身で昨年ウインターカップで大活躍し、私はファンになりました。いい選手ですよ。ただ、やや宮崎も頭打ちな傾向がありましたし、この大舞台では経験がある新原に託した、というところかと想像します。やはりJXは吉田がいるのといないのでは大違いですね。というか、吉田が偉大だと思うんですが。
最後に、私は富士通の選手たちの活躍(篠崎、町田、山本ら)に目をみはっていました。以前私のブログで、「富士通は選手のポテンシャルに比べて成績が上がっていない。監督に問題がある」というような主旨の指摘をした覚えがあるのですが、その点はすっかり払拭されていました。このテーブスHCは大した人だと思います。
その2も楽しみにしています。