英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

ヒューリック杯清麗戦について ~契約金と反比例の運営意欲~

2019-05-07 17:53:16 | 将棋
『ヒューリック杯清麗戦』は今年度(2019年度)より創設された女流棋戦で、優勝賞金は700万円の女流棋戦では最高額(『マイナビ女子オープン』と『リコー杯女流王座戦』は500万円)。タイトル序列もトップとなったので契約金も最高と思われる。

 将棋界にとってはありがたい新棋戦の創設ではあるが、棋戦サイトは非常にしょぼい

トップページは
「清麗戦概要」として
 主催…ヒューリック株式会社 公益社団法人日本将棋連盟
 正式名称…ヒューリック杯清麗(せいれい)戦
 タイトル称号…清麗
 出場資格…現役女流棋士
 対戦方式…予選:6勝通過・2敗失格
 持ち時間…予選:各2時間(チェスクロック)
 優勝賞金…700万円
が、列記され、主催者(社)の代表取締役会長(西浦三郎氏)と将棋連盟会長(佐藤康光九段)と常務理事(清水女流六段)が握手している画像のみ。
デザイン的にも昭和の匂いが漂い、ネット草創期を再現したかったのかと思いたくなる

 他に「棋譜を見る」「ブログ」のページがあるだけ。
 星取表など棋戦の経過を示すものは何もなく、棋譜やブログも2月と3月のモノは紹介されているが、4月は棋譜は3局のみ。棋譜もブログも「渡部愛女流王位-塚田恵梨花女流初段」(4月3日)が最後で、以後更新されていない。

 憶測ではあるが……
押し付けられたサイト管理者が、おざなり的にサイトを開設した(サイトデザインから意欲の低さ窺える)。
それでも、最初の2か月は最低限の更新をしていたが、4月になり何らかの事情(「他の業務が忙しくなった」「担当交代」など)で放置(放棄)状態となってしまった……

 せっかくの女流最高棋戦なのに、勿体ないというか残念というか


★画期的な予選形式だが……
参加棋士は62名。ここ数年、女流棋士が一気に増えた。“乱造”と言っていいだろう。
 話がそれるが、新女流棋士の増加により、女流2~3級の棋力の棋士が増え、勝ち星を上げやすくなった。その結果、仮資格(女流3級)から正式資格(女流2級)に昇格しやすくなって、女流棋士が増える一方。運営は大丈夫なのだろうか?
 さて、「6勝通過・2敗失格」という方式は、ある種の“生き残り戦”で、エキサイティングである。
 しかし、細かな規定は記されておらず、分からない点も多い。

 まず、63の通し番号?に規則性は感じられず、この番号の割り振りは抽選なのかもしれない。
 けれども、連盟の棋戦紹介の星取表の但し書きには
(1)31番・63番には第1シードとして里見香奈女流四冠と渡部愛女流王位が入り、1回戦は1勝分のアドバンテージを付けることとする。
(2)29番vs30番・61番vs62番の初戦敗退者には、2回戦で1勝分のアドバンテージを付けることとする。

とある。

 (1)より里見香奈女流四冠と渡部愛女流王位がシード扱いで、1~31と33~63の2枠に区分されているらしい。32番は欠番となっている。
 予選の1、2回戦は、通し番号の4人を1群と扱っているようで、1回戦は1番と2番、3番と4番が対局し、2回戦はその勝者同士、敗者同士が対局したようだ。同様に5~8番は、初戦が5番と6番、7番と8番が対局…以下同様。
 3回戦は1~4番の組の2連勝者と5~8番の2連勝者が対局、1勝1敗者も隣の組の1勝1敗者と対局しているようだ。こう考えると、その方式を成り立たせるために(2)の項目があるようだ。でも、おかしなシステムである。
 4回戦も3連勝同士の対局となっている。1敗した棋士はなるべく近い番号で未対局の棋士と対局が組まれているようだ(詳しくは検証していません)


 5月6日現在の予選通過候補者(1敗以内者)は、(名前の前の数字は登録ナンバー)
5 谷口 女流二段 4勝1敗 〇清水 〇北村 ●鈴木 ○山根 ○井道
8 北村 女流初段 3勝1敗 ○武富 ●谷口 ○加藤圭〇室田  脇田(9日対局)
13 香川 女流三段 4勝1敗 ○岩根 ○島井 ○山根 ○鈴木 ●中村真
22 中村真女流三段 5勝0敗 ○上田 ○本田 ○井道 ○渡部 ○香川
29 和田 女流初段 4勝1敗 ●脇田 □   ○藤井 ○上田 ○長沢
30 脇田 女流1級 3勝1敗 ○和田 ●渡部 ○水町 ○本田  北村(9日対局)
31 渡部 女流王位 4勝1敗 □   ○脇田 ○塚田 ●中村真○鈴木
39 中澤 女流初段 5勝0敗 ○上川 ○山口絵○小高 ○宮宗 ○甲斐
42 頼本 女流初段 4勝1敗 ●宮宗 ○礒谷 ○カロリ○中井 ○伊奈川 (カロリはカロリーナ女流1級)
49 伊藤 女流二段 4勝1敗 ○伊奈川〇千葉 ●甲斐 ○渡辺弥○小高  (渡辺弥は“弥”を付けなくても渡部と区別できるが、念のため)
54 甲斐 女流五段 4勝1敗 ○村田 ○加藤結○伊藤 ○里見香●中澤
57 里見咲女流初段 4勝1敗 ○野田澤●渡辺弥○堀  ○千葉 ○田中
63 里美香女流四冠 4勝1敗 □   ○堀  ○渡辺弥●甲斐 ○宮宗
  □は規定(1)(2)による不戦勝


 北村-脇田戦が行われると、5回戦が終了。どちらかが脱落するので、残りは12名となる。
 「6勝通過」なので、4勝1敗の10棋士はあと2回勝たなくてはならない。
 全勝の中村真女流三段と中澤女流初段は、おそらく次局で対局すると思われるので、6回戦終了時には6戦全勝が1名(予選通過決定)、5勝1敗が6名(5勝1敗同士の勝者5名+全勝対決の敗者)、4勝2敗が5名(脱落)となる。
 7回戦は5勝1敗の6名による決戦が行われ、勝者の3名と6戦全勝者の1名が予選通過となるようだ。


……通過者4名とは、過酷な予選だなあ。ちゃんと目算を立てたのだろうか?
・予選の組み合わせを見ると、中村真女流三段の相手は皆手強い。全勝は見事!
・同じく5戦全勝の中澤女流初段はやや対戦相手に恵まれた感があるが、甲斐戦の勝利は評価できる
・甲斐女流五段の伊藤女流二段、里見女流四冠を連破は見事
・表の5回戦に名を連ねている女流棋士は3勝を上げているので評価してください
・他の有力棋士……清水女流六段(●谷口 ○武富 ○高群 ●長沢)、上田女流四段(●中村真 ○相川 ○船戸 ●和田)、中井女流六段(●田中 ○高浜 ○安食 ●頼本)、本田女流三段(○相川 ●中村真 ○藤田 ●脇田)、岩根女流三段(●香川 ○山口恵 ●長沢)、山田女流四段(●千葉 ●伊奈川)
・田中沙紀女流3級の健闘が光る3勝2敗(○中井 ●小高 ○山口絵 ○石高 ●里見咲)

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