英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

劇場版『名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)』 感想

2016-05-03 23:16:49 | アニメ
※公開中の映画なので詳細には語りません。
 それでも、多少のネタバレを含むので、その点を含み置いてお読みください。


★実は劇場版はあまり好きではない
 劇場まで足を運んでもらい、しかも有料。なので、それに見合うだけの「面白かった」「すごかった」といった満足感を与えなければならない。
 そのための効果的手段として、「強烈な刺激・インパクト」や「感動」の供給がある。具体的には、前者はアクションシーンや爆破シーン(大画面なのでより効果的)、後者は生死を懸けるシーン(病気・危機一髪)などが挙げられる。
 ハリウッドのスパイ映画や『ダイハード』シリーズなど、大概、映画冒頭に過激なカーチェイスが盛り込まれ、一気に観客の心をつかむ。確かに、スリルや迫力満点で、その莫大な予算や緻密な計算やテクニックには感心するが、その主人公たちのアクションに巻き込まれた一般人の甚大な被害・迷惑を考えると、個人的にはまったく楽しめない。

 劇場版・名探偵コナンもその傾向が強く、カーチェイスや爆破シーンが頻繁に登場する。コナンや蘭が生命の危機に陥るシーンも多い。推理映画というよりは冒険活劇の傾向が強い。『ルパン三世』化しているのである。
 私は「館もの」や「密室トリック」など、つまり、「犯人はお前だっ!」が見たいのであって、アクション映画ならハリウッド映画や『ルパン三世』でやってくれ!と言いたい。(まあ、ルパンよりは登場キャラが多くて多彩なので、アクション映画として観れば、それなりに面白いと思っている)


★『純黒の悪夢(ナイトメア)』の感想
1.過激すぎるカーチェイス
 重要機密を盗み出した黒の組織の諜報員を追跡する際、過激なカーチェイスが展開される。≪これでもか、これでもかっ≫という風にクラッシュシーンが繰り返され、辟易してしまう。それに、どんなに凄いカーアクションでも「アニメだから何とでもできる」と冷めたことを考えてしまう。コナンのスケボーアクションや終盤の超人的アクションも同じように感じる(ひねくれ者だなあ)。
 この時の公安に言いたい……「こんな大事(おおごと)にするくらいなら、侵入者を確保に当たる時、出入り口を厳重に外界と遮断しておくべき。それに、重要機密を保管するなら、硬質ガラスにしておけ」

2.無駄な「赤井 対 安室(バーボン)」
 格闘アクションを加えたかったのだろうが、対“黒の組織”として協力すべきふたり、しかも、一刻の猶予もない場面で、ふたりの格闘を見せられても、イライラするだけだった。(ジャッキーチェン並みのアクションもアニメなので何とで……)

3.推理が皆無に近い
 「犯人はお前だ!」「密室トリック」どころか、推理はほとんどなし(謎の女性に関する考察や、危機脱出(危機回避)に知恵を絞るシーンはあったが)。

4.最後は、やはり爆破・破壊
 水族館&遊園地が舞台で、「観覧車が目玉」という触れ込みという情報……その時点で、この観覧者、破壊されることは想像に難くなかった。
 会場の照明を落とし、静かなヘリコプター(実存するのか?そんな都合のいいモノ)を駆使した割には、大破壊。

5.少年探偵団というより我儘探偵団
 毎回そうなのだが、特に今回はやりたい放題の迷惑軍団。
 まあ、今回は奔放ぶりが、ヒロインに好影響をもたらした。

6.出番・活躍は微々の蘭と小五郎
 小五郎は運転手替わりの出番と、車中で居眠りしただけ(“眠りの小五郎”だから良いのかも)
 蘭のアクションもなかったし、警視庁のメンバーも活躍度は低かった。


と、不平ばかり並べたが
7.魅力満点のヒロイン(天海祐希)
 「黒の組織のメンバーだったヒロインが、記憶喪失になり、少年探偵団と触れ合うことで、人間性を取り戻す」というベタなストーリーだったが、このヒロインが魅力に溢れていた。
 ここまで、マイナス評価を並べていたが、ほとんどの劇場版に当てはまることで、織り込み済み状態。
 マイナス要素を打ち消して余りあるヒロインの魅力だった。天海さんの声質もマッチしており、セリフ回しも専門の声優と遜色ないというより、凌ぐ素敵さだった。


 次回は平次が出るらしい。
 できれば、館モノを所望。

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