英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『江 ~姫たちの戦国~』 第1話、第2話

2011-01-19 19:15:10 | ドラマ・映画
 ドラマとしては面白いかもしれませんが、大河ドラマとしてはどうなんでしょう。でも、『天地人』はひどかったから、こんなものかもしれませんね。

 まず、気になった点は、史実や通説や逸話と異なっていたり、省略(無視)されていることがいくつか見られたことです。
①市と浅井長政の婚姻時に、浅井家と盟友関係にある朝倉氏を攻めないという協定がを結んだ。……【省略(無視)】
②浅井氏が織田を攻めることを知った市は、暗にこれを知らせるため、陣中見舞いと称して小豆を送ったが、この時、袋に両端を縛り、織田軍が袋のねずみ状態であることを示唆した……【逆】ドラマでは、小豆袋を信長に送ることを勧めたのはお供の女性で、その進言を払いのけている
③小谷城(浅井長政の居城)攻めの際、信長は浅井長政に降伏を勧告(大和一国を与えることを約束)している……【省略】
④浅井長政の長男・万福丸(市との間にできたかは不明)の存在……【無視(省略)】
⑤浅井長政・浅井久政・朝倉義景の頭蓋骨で酒を飲みかわした……このエピソードは、もともと脚色されたものであり、彼らの頭蓋骨を前にして酒を飲んだぐらいの可能性はかなりあるとされている

 さて、この結果、織田信長、浅井長政の行動は一般的な史実とかなり歪められてしまっている。
Ⅰ ドラマでは浅井氏が織田氏との協定(婚姻)を破って、織田家を攻めたとなっているが、先に信長が協定を破っていた
Ⅱ ドラマでは市は、長政に従い、兄信長のスパイとしての役を捨てたが、通説では、迷った挙句、長政の織田攻めを案じさせることで兄との約束も守っている。
Ⅲ ドラマでは信長がためらいもなく浅井家を滅ぼしているようだが、実際は信長は長政を殺すのは惜しいとみていた
Ⅳ 万福丸も助命を嘆願されたが許されなかった。それで小谷城から脱出したが捕まり、磔(はりつけ)あるいは串刺しにされたとされている。実際に処したのが秀吉で、命じたのは信長。この行為こそ残忍性を示す事象と思われるが、何故かドラマでは万福丸の存在はないものとされていた

 まあ、多少は史実と差異や省略があっていいと思うが、上記のことは市や茶々、初、江の信長に対する感情を左右するドラマの肝である。
 特に、今回のドラマにおいて、市は通説を曲げてまで長政に従っていた。なのに、「織田家の裏切り者として肩身の狭い思い」という台詞を言っている。しかし、その道を選んだのは市本人である(通説を曲げてまで)。敵意むき出しの信長への市の視線を飛ばすのはお門違い。脚本がおかしいとしか思えない。


 「おなごにはおなごの戦がございます。おなごは思うまま生きることができませぬ。夫を殺され、織田家にあっては裏切り者とそしられても、死ぬこともならず、抜け殻となって娘たちと身を寄せ合って生きてまいりました。それがいつまで続くのか……。明日はどうなるのかもわかりません。
 なれば…女の戦は生きること。本日唯今を生きていくことにございます」

 このドラマのテーマ(タイトル)を市に語らせていたが、私は凄く抵抗を感じた。市に無理やり違う人生観を押しつけ、この台詞を言わせたように思えてならない


★ドラマの演出・脚本としての違和感
1.信長と対面時の三姉妹の実年齢と、演じる女優の年齢との差があり過ぎ
 信長と三姉妹との心情の描写を描くには、実年齢でやるのには無理がある。……まあ、これには目を瞑ろう。
2.浅井家滅亡が色濃くなり、市は三人目を流そうとする。それを5、6歳の茶々が妹の初の喉元に小刀を当て、「妹か弟を殺すなら、私も初を殺して死ぬ」と説得……脚色のし過ぎだろう。

 2回までを見ての印象は、自分のテーマを描くため史実を無視し、無理な展開を押しつけ、さらには自分の進めた脚本の整合性さえも顧みない強引な脚本。
 一年近く続く大河ドラマなので、早々と離脱した方がストレスを感じずに済みそうである。
コメント (6)
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