私ごとで言えば、映画館ではまず観ない部類の作品です。
出演者も岡田将生と榮倉奈々というアイドルムービーのお涙ちょうだい的な映画だろうと勝手に想像していました。
原作もさだまさしということで、「やれやれ…」という思いでした。
WOWWOWで放映するというので、まあ録画しておこうか程度で観ることにしました。
結果から言うと意外や意外…けっこうヒューマンな作品に仕上がっていました。
最初の印象があまりに悪かったのでその反動かもしれません。
オープニングからなかなかのスタートです。
引き裂かれた制服にナイフが刺さっていて、「僕は二人の人間を殺した」という独り言から始まって、屋根の上に全裸の永島(岡田将生)が座っています。
永島(岡田将生)は、遺品整理業者で働き始めます。
そこで、暗い過去を持つゆき(榮倉奈々)と知り合います。
二人の物語を中心に、遺品整理をするシーンを映しながら亡くなった人たちの生活を映し出します。
一人暮らしの人もいれば、家族と離れて生活しなければいけなかった人まで、人々の生と死を描いていきます。
人が生きるということ、死ぬということの意味を観客に投げかけていきます。
現実の場面と、永島の高校生時代の過去を挿入していきます。
高校生の頃にいじめに会い苦しんでいたこと、ネットで執拗に苦しめられていた友人を助けることができなくて自殺に追い込んでしまったこと。
そのいじめをしていた同級生(松坂桃李)を山の上から突き落とそうとする衝動に駆られたことや、
友だちとナイフでもみあいになったことなどから精神的に不安定になってしまう姿をフラッシュバックさせて描いていきます。
一方のゆきは、友だちからレイプをされ妊娠してしまうことから、心を閉ざしてしまいます。
そういった過去をもつ二人が徐々に心を許しあうそういった場面がていねいに描かれていきます。
この夏休みに場面緘黙の本を読みあさった関係で、心がいかにもろいものなのか…考える機会がありました。
そういう意味で、心が蘇っていく二人に一縷の希望を持って観ていました。
遺品整理の中で子どもをキーワードにして、ゆきは仕事を続けることができなくなります。
遺品整理で見てきた“生と死”自分たちに関わる生命そういったものを考えさせるシーンが続きます。
どういう形で締めるのかと考えていたら、タイトルにつながる海岸のシーンです。
「アントキノイノチ」…「アントニオ猪木」…「元気ですか~!」正直どうなんだろう?と思わせる終わり方です。
これだけ、見ている側にいろんなことを預けていって命のバトンタッチ的な終わり方でいいの?そんな思いがしています。
原作がさだまさしでもともとこういうお話しなのかもしれませんが、映像にした以上、もう少し終わり方を考えて欲しいと思いました。
ラストのお涙頂戴で終わることが予定調和なのかもしれません。
でも素直に物語を追いかけ、素直にラストシーンで涙ぐむということは、そのことを期待して観る人たちには直球ど真ん中の作品だったのかもしれません。
私的には、途中ではいろんなことを考えることができたので有意義な時間となりました。
作品に対する評価は人それぞれだろうなと思います。
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