映画「船を編む」を観てきました。
原作は2012年本屋大賞で大賞を獲得した三浦しをんの『舟を編む』(光文社・刊)です。
映画を観た感想は、なかなか興味深かったな~と思いました。
登場人物は何とも個性的な人たちだし、配役も見事に個性的なのですが、それぞれの個性を消して演技に集中していたことに好感を覚えました。
主人公の馬締光也を松田龍平が演じています。
どう見てもアスペルガー症候群の青年です。
いつもは、どこか陰を引きずって突然切れてしまうキャラクターばかりを演じている松田龍平が、今回は全然違うキャラを演じています。
まるで、お父さんの松田優作みたいに見えてくることもありました。
その馬締光也が一目惚れする下宿の孫娘を宮崎あおいが演じています。
宮崎あおいは、安心して見ることのできるようなキャラを演じています。
どうしてこの人はこういうキャラクターばかり演じさせられるんだろうと思いながら、でも見ていて安心してしまいます。
監督は「川の底からこんにちは」で注目された石井裕也監督です。
派手さや、事件もないストーリーを手堅く笑いを交えながらまとめ上げていると思います。
ストーリーは、辞書を完成させるまでの15年の歳月を綿々と語る物語です。
出版社の中で“変人”として持て余される存在だった主人公の馬締光也が、その才能が買われて辞書編集部に起用され、
言葉集め、語釈執筆、組版、校正に次ぐ校正、・・・と気が遠くなるような作業を地道に進めていく姿が描かれます。
主人公は「人の気持ちが理解できない」けど、下宿先の大家の孫・香具矢に惚れてしまいます。
「恋」という言葉の語釈に悶々としながら取り組む様子が笑いを誘います。
隣のおじさんは大笑いしていました。
辞書編集部には、ユニークなメンバーが揃っています。
監修には大御所の加藤剛が座ります。何とも浮き世離れしている存在が面白い存在です。
編集主任の荒木は小林薫が演じます。この人は、若い頃演じていた役柄とは全然違う演技ができている人だと思います。
先輩役で地味な作業を苦手とするチャラ男の西岡をオダギリジョーが演じています。
オダギリジョーが日頃は見せないような演技を見せます。
オダギリジョーもこういったコミカルな演技の方が好みです。「パッチギ!」の時のオダギリジョーを思い出します。
パートのおばさんに伊佐山ひろ子が存在感を見せつけます。
一冊の辞書を完成させるのに、どれだけの時間を要するのか・・・率直に驚きながら見ていました。
松田龍平演じる馬締光也の設定が光っています。
下宿家の1階は本棚に本がびっしりと並べられ、まるで古本屋のような状態。
本の集め方も全集中心のコレクター的な集め方になっています。
ここらあたりもアスペルガーと思わせるような設定になっています。
それにしても辞書は甘く見てはいけないのだと思いました。
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