「レ・ミゼラブル」を観てきました。
ミュージカル映画というのはそもそも苦手なのですが、今回は行ってしまいました。
このミュージカルは全世界で上演されていて、とてつもないロングランを続けているということもあり、やっぱり観ておかないといけないだろうと思いました。
DVDだと最後まで観る自信がなかったのもきっかけです。
…とどう見ても肯定的な意見で始まってないのですが、やっぱり私が感想を言えるような映画ではないな…というのが正直な感想です。
死ぬ間際の人が歌を歌い続けるというのも違和感があるのです。
文庫本で5冊になるという大河小説を2時間38分で表現するのだから、その苦労はとてつもないものになります。
映画のセットや衣装、時代考証、登場人物、エキストラまで見事な舞台演出になっていました。
どれだけお金と情熱をかけているんだろうと思いました。
そういう意味では素晴らしい映画なんだろうと思います。
日本でこの映画をつくることはおそらくできないだろうと思います。
そういう意味からはアカデミー賞の部門にはほとんどノミネートされるだろうし、いくつかの部門では受賞するに違いないと思いました。
映画で歌われている曲は、すでにミュージカルで評価されているものばかりなので素晴らしいものばかりなのです。
また、この映画は口パクではなく、演技しながら実際に歌っているそうです。
1台のピアノが演じ手の歌に合わせて演奏されたそうです。
主導権は演じる側にあって、演技のリズムに合わせて伴奏が用意されるという形で撮影されたそうです。
オープニングの〈プロローグ「囚人の歌」〉では、押し寄せる波をかぶりながら、徒刑囚たちが船を引き寄せるシーンは大迫力でした。
「下を見ろ。決して上を見るんじゃない」と歌いながらロープを引き寄せるシーンは本当にインパクトがありました。
配役は、そうそうたるメンバーがラインナップされてあって話題になっています。
でも、そのことが観客の違和感を引き起こさなければ…とも思います。
主役のジャンバル・ジャン(ヒュー・ジャッィマン)は、いい演技をしていたと絶賛されていますが、
私はどうしても『X・メン』の印象が強すぎて、なかなか映画に入り込めませんでした。
ファンテーヌ(アン・ハサウェイ)は、工場で勤めている間は、可愛らしい可憐な女優という感じでした。
まさに『プラダを着た悪魔』のイメージでしたが、髪の毛をばっさり切ってからは同一人物とは思えないほどの存在感を発揮していました。
なかでも『夢やぶれて』を歌うシーンは迫力がありました。虐げられた者の悲しみと思い通りにならない人生への絶望を切々と、
激しい怒りも交えて、最後は諦めに近い表情で歌い上げる様子は観る者を揺り動かしていきます。
他にも、ラッセル・クロウやアマンダ・セイフライトなどが出演していてファンにはたまらないのではないかと思います。
ミュージカル特有なのかもしれないけど、この映画はクローズアップがすごく多かったように思います。
クローズアップの場面では、周囲の流れが止まったように感じます。
でも、引きになると時間は動いている。
そこらへんも違和感に感じるところかもしれません。
登場人物が何人か出てくるのですが、エポニーヌ(サマンサ・バークス)に共感して、映画を観ていました。
片思いのマリウスのことを思いながら切々と訴える心情がなかなか胸に迫るものがありました。
原作のテーマも、映画自体のトーンもキリスト教の倫理観に基づいているので
そこも考慮に入れながら観なければいけないのだと思います。
また当時の時代背景も考えていくと面白いのかもしれません。
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