防災の日の9月1日、消費者庁が発足した。消費者とのホットラインも通じないままのスタートである。総選挙で敗れた麻生自民党政権が、国民の目を盗むかのような「駆け込み」スタートであった。
当初の予定は年内設立の予定だったことから、民主党が人事を主導するものと期待されていた。先の総選挙は官僚政治を排除することに、民主党が政権に就くことを国民が審判したものであった。
ところが麻生政権は、長官人事を民主党に諮るどころか、勝ち誇ったかのように、旧建設省OBで元内閣府事務次官を天下りさせた。就任した長官は「国民の信頼に応えたい」と厚かましく会見した。国民感情を理解するなら、躊躇したり辞退するべきではないか。
この長官には血税数千万円が、報酬として支払われる。建設省出身の官僚に、消費者行政が任せられるだろうか。適任とはとても思えない。今までの自民党政治は、官僚との馴れ合いで、このように人事を決めてきた。その結果は国民の目を掠めた、膨大な税金の無駄遣いだった。
「脱官僚政治」を国民から負託された民主党は厄介な問題を引き受けたが、長官の交代を実現させるべきと考える。麻生首相の「最後の抵抗」を黙認してはいけない。自民党政治を蘇えらせないためにも。