活眼明察日記

物事の道理や本質を見分け、真相を明らかにする眼力を養いたい

輸出産業はスーパーの経営を見習え

2008-03-25 21:10:01 | Weblog
総合スーパーのイトーヨーカドーとジャスコが3/22~ 23日の2日間、円高による消費者への還元セールを実施したことを高く評価します。両社とも米国から輸入した果物類や肉類、さらには酒類を3割ほど下げて販売したそうです。

円高が急速に進んだことから、その差益も現時点ではどの程度になるか、不透明であったことにもかかわらず、先取りして30~50品目を食卓に提供、消費者の苦しい家計に協力した姿勢は、並々ならぬ決意が必要であったことでしょう。

ひるがえって、いままで円安のメリットを受け、史上最高益を享受してきた自動車・電機をはじめとする、わが国を代表する輸出関連業界が利益を「独り占め」し、従業員や社会になにひとつ還元せず、結果的に国内需要の喚起に失敗した、経営者の怠慢とは大違いで「質の違い」を感じました。

この両者の落差はどこにあるのでしょうか。同じ日本に本拠がありながら、市民の目線と同位置の商売をしている流通最前線のスーパー経営幹部たちは消費者の感情を察する、頭脳と経営感覚にとても「敏感」といえるようです。そして、消費者を味方にするために、絶えず苛烈な競争をし努力している姿が浮かんできます。

逆に輸出産業はサービス業に比べ、すべてに見劣りします。特に、「人間性の欠落」に注目する必要があります。この輸出産業の利益に最大の貢献をしたのは、労働搾取する派遣会社等に悪どく利用された、労働者に対する賃金を徹底的に抑制したことで、「思いやり」や「感謝」の精神を完全に失った経営者ばかりになってしまいました。

「グローバル化に対応」と彼らは盛んに喧伝していますが、経営哲学や会社としての品格や恥も外聞もない振る舞いは、いかにも下卑た印象を与えています。輸出産業に共通しているのは、国内の景気浮揚を図る社会的責任を放棄してしまったことにあります。

総合スーパーのとった「英断」に対抗できる人物は、いくら探しても輸出業界には見当たりません。円安の進行で経営者の頭の中は英断どころかリストラすること一色のはずです。それにしても程度の悪い人たちばかりが集まったもので、国際競争力も低下するはずです。