活眼明察日記

物事の道理や本質を見分け、真相を明らかにする眼力を養いたい

「絵に描いた餅」社保庁発表の数字

2008-03-13 23:49:20 | Weblog
社保庁が08年度の国民年金保険料の徴収目標を80%に定めました。07年度と同じ数字です。07年度の見込みは06年度実績の66%を割り込むことが確実視されています。

なぜこのような実現不可能な数字を公表するのか理解できません。苦し紛れに公表したとしか言い様がないのです。自分で自分の首を絞めているような見本といえます。裏付けがなにもない「どんぶり勘定」だからです。

非正規社員が増加の一途で、収入が安定していないことから保険料を納めたくても納められない人達が大勢いることは、徴収率は下がる一方であることは素人でも容易に想像がつきます。

労働市場の規制緩和で、とても本来の働き方と程遠い日雇い派遣の増加など政・官の怠慢で経済界の「思う壺」になっている惨憺たる現状を規制強化して変えない限り、納付率の向上は絶対見込めません。

また、納付率低下の背景には年収200万円以下が1000万人を超えたことで底辺が拡大していることでも説明できます。グローバル化の美名の下、体力十分な大企業をはじめとする経済界が、こぞって人件費削減に奔走していることに対し、これを是正しようとしない無責任政治を糾弾する必要もあります。

無気力の政治が続いているため、経済界はやりたい放題です。もはや企業は折半の年金保険料を払う気がありません。徴収率の低下している根本原因がここにあるのです。

以上から考えれば、低所得層の増加、企業の社会的責任の放棄、政治の無策の三重奏で、徴収率がアップする要因はどこにもありません。政・官・財が仕組んだ茶番により、老後の生活設計ができない「年金難民」の続出が現実味を帯びてきました。

このような現実に目をそらした、社保庁公表の数字ほど人を食ったものはありません。いい加減な役所という世間からの批判を払拭できない体質から、いつになったら脱却できるのでしょうか。この病んでいる役所の体制立て直しは、当分ムリです。