活眼明察日記

物事の道理や本質を見分け、真相を明らかにする眼力を養いたい

暗黒裁判を裁かない最高裁判所

2008-03-20 22:41:51 | Weblog
戦時の裁判所が明らかに国策に沿った間違った判決を出しながら、60年以上を経た近代の裁判所がそれを謝罪もせず、むしろ擁護するような判決が出されました。この判決を出したのが最高裁判所ですから完全に国民の信頼を裏切りました。ただただ、あきれるばかりです。

戦時中の言論弾圧「横浜事件」の控訴審で最高裁が裁判を打ち切る「免訴」の判決を3月14日に言い渡したからです。

この事件は治安維持法違反で、神奈川県警察の特高課に大勢の言論人が逮捕され、昭和20年8月~9月にかけて有罪の判決を受けましたが、同年10月に同法廃止により、恩赦の一つである大赦になりましたが、戦後に元被告5人(全員死亡)が無罪判決を求め、再審を請求し続けていましたがようやく平成17年3月に再審開始が決定。無罪判決の一里塚として待望されましたが、最高裁は元被告の人権と名誉を回復させないまま、裁判を引き継いだ遺族に、裁判を打ち切るという残忍で冷酷な判決を下しました。

なんの罪もない言論人に対し、「共産党の宣伝をしたから」として、特高の取り調べは竹刀などの凶器で全身をめった打ちするという過酷な拷問により獄死している人も多数を数えます。特高が事件をでっち上げ自白を強要したことで、冤罪事件として広く知られています。

戦時下、自白をもとに明らかに不当な有罪判決を出したことに、戦時の裁判所が特高と一緒になって、冤罪に加担していたのです。

こんかい最高裁がその反省をすることなく、「免訴」という決着をつけない、無責任で一方的な判決を言い渡したことは、司法の犯罪を糾弾せず頬被りしたに過ぎません。戦時中の不当判決を肯定していることと、なんら変わりません。

再審などしていない「名ばかり再審」だけで最初から「免訴」で片付けることで、過去の責任を回避する意図が最高裁にはあったようです。市民感覚からずいぶん遊離した、常識外れの裁判官が多過ぎないでしょうか。最近、冤罪が多いのは特高まがいの取調べが警察内部で行われているのかも知れません。