雑読ベストテン 余話
秋以降の雑読のベストテンをアップしましたが、これは今月始めに書き終えており、その後何度か本屋に漁りに行っており、購入した中に、これはと思う本が二冊ありました。
そのうちの一冊が、「日本辺境論」 (内田樹 新潮新書) です。
著者はレヴィナスの翻訳をしているようですが(著作もレヴィナスの存在論も未読)、僕には初見の書き手です。
南に向かうは腐肉街道、北に向かうは骸骨街道のイメージがあり、ひたすら「北へ」です。
極北を越え、さらに絶対零度へ向かい、全ての素粒子が停止し、思考も停止し、万物が動き出さないイメージを持っています。
極北への途中の「辺境」の言葉に釣られ、購入したものです。
で「日本辺境論」なのですが、微妙な熱があり筆が走りすぎており、如何様にでも批判的に切り込めます。
そのことを差し引いても、充分に読み応えがありました。
丸山真男、澤庵禅師、養老孟司、白川静、司馬遼太郎、梅棹忠夫、川島武宣、吉田満、山本七平、池部良、親鸞、鈴木大拙、ヘーゲル、ハイデガー、マルクス、西周、中江兆民等々の思考を「辺境」という演算子で日本、日本人(思考)を捉えなおし(解釈)ています。
この新書で「考えられた事柄」ではなく、その「考え方」により、妄念に解き放しています「僕の共同体論」に滓のように纏わり付いている他者との親和性の輪郭を明確に照射しました。
また、「嘘つきダイヤモンド」にも書きました「抒情を装った湿っぽい感傷(他者との親和性)」に対する拒絶感は、そのものが自分自身に内在していることの蓋然性を意味していますが,その輪郭を明確に照射しました。
具体的内容のメモはしませんが、僕的には、今年1年を通して読んだ数十冊の新書において、新書ベストワンとします。
単に「辺境」の語彙で手にしただけのことなのですが,これが雑読の醍醐味であり、止められない理由です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/81/eb9f286564cae140d63fca1f12821dc2.jpg)
「日本辺境論」 (内田樹 新潮新書)
ヤバイ!
基本的にベストセラーの類は読まないのですが、今日(12/7)紀伊国屋HPの新書ベストセラーで1位になっていました。
これは、僕的にはヤバイことを意味します。
追記
雑読ベストテンのアップを始めたところ、彼女に言われました。
彼女「ベストワンは何の本?」
僕「勿論、○○系と□□系の4冊だけれど、書名は伏せるよ。」
彼女「頭を取ってローマ字で、○アンド□としたら。」
僕「嫌だ!」