Retriever Legend's blog

散歩好き、本好き、惰眠好き、犬大好きの彼(旦那)の戯言を僕が代弁します。

これは文字です

2012-01-11 07:13:01 | 読書ノート
文芸評論家の斎藤美奈子が、「叔父が文字という仕掛けに頭がクラクラ」と評した(「回顧2011・文学」2011.12.23朝日) 円城塔の『これはペンです』が入荷。

文芸評論家の「頭がクラクラ」する小説に、文芸評論家と称される質と単純な好奇心から、久々に小説を読む気になり大晦日に注文し今日手にしました。

結構楽しく読めました。
最初の一行が「叔父は文字だ。文字通り。」ですから、悶絶ものです。

文章自動生成装置を発明した叔父と姪とのメールのやり取りの物語で、文字と事実存在が巧妙に織り込まれ、読み流すことも読み込むこともできる質です。

当ブログでも触れました「ソカール事件」やら、チョムスキー(生成文法)、 ハイゼンベルク(不確定性原理)等の名前が出てきており、構造主義的なプローチが試みられているとも読めます。

理工系、ポストモダン、言語等の素養がなければ、何が書かれているのか分からない、また最初の一行が何故悶絶なのか分からない苦痛の読書になると思います。

ただ、書かれている事柄の次のフェーズもそうですが、その糸口についても書かれていませんので、過大な期待は肩透かしを食らいます。

文芸評論家が「頭がクラクラ」するのも分かります。



「これはペンです」(円城塔 新潮社)

同書にはもう一遍『良い夜を持っている』が収録されています。
最初の一行が「目覚めると、今日もわたしだ。」です。

この一行も悶絶ものです、これからゆっくりと読みます。

(2012.01.09記)


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