「じゃあ、ムラの掟から教えてよ・・・」
リュウ「持てない君がKikiにせがまれてバイクを買ってやることにしたんだ。だって日本円で10万だもん。僕たちにしてみれば安いズラ。だからボクは持てない君に買ってあげたらと言っちゃったンズラ」
「ほう!」
リュウ「それで持てない君がKikiに送金したズラ。それでKikiは、彼女の人生で手にしたことがない大金を持って、その日のうちに赤いホンダのバイクを購入したんだよ」
「じゃあ、愛でたし、愛でたしじゃん」
リュウ「そしたら、Vigiが怒ってくるわけよ。『今、みんなパンデミックで稼ぎもないから、息をつめるように暮らしているのに、突然Kikiがホンダのバイクを乗り回しているのよ!!!。あんな何もいわなかったの??』って」
「ムラの人は、パンデミックで稼ぎもなく暮らしているのに、突然Kikiが赤いバイクを乗り回している、というので村中大騒ぎなんだ。なんであの子だけ金回りがいいんだって、善望を通り越して非難ゴウゴウだったんだよ。それにKikiは、仕事にもゆかずバイクを乗り回してeal houseに一日いるではないか。eal houseというのは、酒屋とかゲーセンなんだよ。Kikiを甘やかした上に、ムラの人間関係を壊してどうするんだっていってくるわけ。それで上さんが怒っちゃったんだ」
「それがムラの掟に触れたんだ」
リュウ「掟と言ったって決まっているわけではなく、みんなが息をひそめて耐えているときに、なんだよ・・、というわけさ」
「ホンダの赤いバイクだもん、目立つよねぇー」
リュウ「そんなことをすると、kikiを甘やかすだけだし、ムラの信頼関係や人間関係にひび割れを起こすじゃん、というわけさ。だからもうムラと関わらないで、とVigiはいうわけさ・・・・」
「みんながジッとしているときに、それは目立ったよねぇー」
リュウ「軟着陸させる方法もあったんだ。それが"pakisama"という昔のからのフィリピンの文化なんだ。つまりバイク台の数パーセントぐらいを、世話になっている親とか叔母さん、あるいは助けてくれた人に、愛と尊敬、あるいは恩返しとして、お金の一部を差し出すことなんだ。それがフィリピン人の文化なんだ。それをしておけば、よかったんだよ。ボクも後から気がついたんだ。Vigiにいわれてさ・・・・・」
「そんな文化があるんだ!」
リュウ「世話になった恩は忘れないというフィリピンの大人達の文化なんだ。でもKikiは若いから、そんなことは知らなかったんだよ」
「でっ、嫉妬の方は・・・!?」
・・・
リュウ君の話は、まだ続く。