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「歴史ドラマの大ウソ」大野敏明著、他「歴史ドラマと時代考証」を読む

2010-11-21 23:19:40 | 映画、書評など

「歴史ドラマの大ウソ」大野敏明著、他「歴史ドラマと時代考証」を読む

この著書は「産経エクスプレス」に連載した記事が基礎になっているから、ある部分は読んだことがある記憶がある。
第1章は「NHK大河の嘘八百」で例の「龍馬伝」から始まっている。
福山雅治氏が演じる坂本龍馬がやけに「ニコニコ、ニヤニヤ、明るく元気」ということに驚かされると書き始めている。
武士は、「笑わない、泣かない」そして常に敵に対して用心を怠らないということが述べられている。「敵に対して用心を怠らない」というのは、米国の西部劇で見たガンマンの話の様なものである。
名前の知れた有名なガンマンは、椅子に座るときは壁を背にして座る。なぜなら後ろからいきなり撃たれないためと紹介されていた。事実有名なガンマンは後ろから撃たれて亡くなっているという。
それと同じように、武士は太平の世になればなるほどそう言う「平素の用心」という心遣いが重視されたという。
今の世の中を見ても「ニコニコ、ニヤニヤ、明るく元気」という性格を現す人物などいるわけはない。いるとすれば大方仕事の出来ない「カス」みたいに感じるだろう。
しかし、歌手という分野の人はどうも平素「ニコニコ、ニヤニヤ、明るく元気」というスタイルが身についているようだ。
その昔、歌手の河島英五が売れていなかった頃に大学祭のコンサートに来たことがあった。
そのコンサートは聴きに行かなかったがコンサートが始まる前、誰もいないところの河島英五が妙に「ニコニコ、ニヤニヤ、明るく元気」だったことが今でも目に焼き付いている。
だから、福山雅治の坂本龍馬というのはやはりミスキャストと言う事になる。
坂本龍馬は当時の水準で見なくとも、相当な教養人のお坊ちゃまである。そんじょそこらのチョイと器用で演技が出来る俳優とは訳が違う。
NHKでは「竜馬がゆく」の坂本龍馬がある。
やはり坂本龍馬を演じられる役者というのはそうはいまいと言うことだろう。
又、武士なら酒を飲んでいるときは危険なので衝立を立てて見えない様にするというのが基本だそうだ。
そう言われてみれば、昔のモノクロ時代時代劇というのは、妙に不気味な部分があった。女性は、女房となればお歯黒をして眉を擦り落とす。この顔というのは、結構不気味なのである。
しかし、このお歯黒というのはその昔では「高貴な身分(侍大将くらい)」だと武士でもお歯黒をしたという。(歴史ドラマと時代考証)
それで、戦国時代敵方の首を天守閣の集めて、女性達が首にお歯黒をさせいてたと言うから驚きである。要するに、身分の高い人物の首というわけである。
そして、「歴史ドラマの大ウソ」で常々述べているのは「上司を『名前』で呼ばない」ということである。
龍馬が言う言葉では、千葉道場を去るに当たって「定吉先生」、「重太郎先生」。これは現代でもこういうふうには言わない。「大先生」、「若先生」というという。
NHK「竜馬がゆく」では「大先生」、「若先生」のくちだったと記憶する。
脚本家がわざと「くだけた感じ」を演出したのだろうが、現代でも使わない言い回しを使うと言うのも妙なものだ。
NHKの「坂の上の雲」でも非常に現実味(げんじつみ)のないシーンが多くて、製作者の無神経なのか常識で考えても変な部分が多かった。
まずは「騎馬通学はNG」
ここで単なる騎兵中尉にすぎない秋山好古が「民間人の馬丁」付きで登場のシーン。
こんなシーンは小説にはあるはずもなくNHKの創作。
文面では、「乗馬本分」で決められていて、原則として少佐以上という。(勤務中の騎兵は別)
そう言えば、昔NHKの朝の番組で乗馬で現れた主人公がいたが大佐の階級だった。
その他、小生も一目見ておかしい思った元旗本「佐久間氏の屋敷の立派さ」。この点も同じように思ったらしい。詳しく分析している。
その他、海軍兵学校生徒の秋山真之が制服姿で短剣を吊っていないと指摘している。言われてみれば、昔の特攻隊の映画では間違いなく短剣を吊っていた。
その他おかしいのやはり東郷平八郎との邂逅(かいこう)。
呼びかけるのが「少将」である。
これもおかしいし、あり得ないと思ったら「閣下」が正しい。その他、子規が従軍したときの軍の徴用シーンもやはりおかしいし、軍艦の上で炒り豆の殻を甲板に投げ捨てるなど常識では考えられない部分。
広瀬武夫が裸で写真を撮るシーンも「ふんどし」ではなく「ブリーフ」だったとなんと証拠写真まで掲載している。
こんな風にNHKの「坂の上の雲」では、歴史常識から見ても突っ込みどころがある。
そして、そう言う突っ込みどころというのがことごとく小説には描かれていない部分である。
NHKの製作者は何を考えているか、意図的なのかと勘ぐりたくなる部分も多い。
一方、「歴史ドラマと時代考証」(小和田哲夫著)の方は、NHKの時代考証をしたときの裏話で、「秀吉」、「功名が辻」、「天地人」。
「歴史ドラマの大ウソ」でもこの「天地人」は取りあげられて、架空の人物「初音」の設定がかなり出鱈目と書かれているのだが、「歴史ドラマと時代考証」では一切書かれていないのは妙な話である。
実際の時代考証をした人が、人に指摘されるまでの失敗の話しを書かないのはどうせ何かの理由があるのだろう。
近年の「天地人」の文字から「龍馬伝」の文字まで品のない題字というのは、やはりその物語の質を現して真実やその中身を検証しない所作の表れだろう。


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歴史ドラマと時代考証 (中経の文庫)

歴史ドラマの大ウソ

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