書道家Syuunの忘れ物

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日本経済が回復しない訳・「納得する」仕組みの脳構造の欠陥

2008-11-20 22:45:22 | 日本の経済議論
日本経済が回復しない訳・「納得する」仕組みの脳構造の欠陥

2007/02/03産経新聞・【正論】東京大学教授・松井孝典「納得する」仕組みをどう作るか
‥‥という論説があった。
その要約は‥‥‥


科学というのは、このような「分かる」という認識の世界である。
信じるのはこの意味で「納得する」の分かりやすい例である。



とのことで分かるとおりである。
その「納得する」仕組みとは、当時の小生のブログでは「『分かる』と『納得する』の定義をし、その上で確立された事柄はそのまま信じろと『衆愚』を主張している」と書いた。ここでは、この「納得する」仕組みを別の言い方で解き明かしてみたい。
この松井先生が言う「納得する」仕組みとは、教科書に書いてある事、又は「政府見解」などの件は、国民の英知を集めて説いたものだからそのまま「信じろ」と言うことである。
だから、その教科書や「政府見解・方針」の中身は詮索せず、そのまま受け入れろと言うことでもある。
ところが、昨今のサブプライム問題に端を発した世界同時不況は、正にその「納得する仕組み」の破綻であると言える。
なぜなら、サブプライム関連の住宅証券は、格付会社がAAAの評価をしたから「安全確実」と誰もが信じて投資したのだが、その中身は誰も知らなかった。
これは、それこそ「納得する仕組み」では身の破滅である事を表している。
一方、日本経済を見てみれば、欧米に留学して欧米流の経済学のスペシャリストになった学者は、その経済学理論に対して一切の疑問を挟まない。
すなわち、教科書の中身は疑わない。そうは言うものの、その教科書に書かれているものは「例外」なのかもしれないと言うことだ。
かって、遺伝の教科書として1865年に発表されたメンデルの法則というものを習った。しかし、そのメンデルの法則の例というものは「例外の特殊例」であることも一緒に習ったのを記憶する。普通一般に自然現象などを数式等に表すことがある。しかし、その数式に当てはまるのは、その数式が生まれた環境によるもので、環境が違えば意味がない。
ところが、「教科書」に誤りがないと錯覚するとそんな原則も無視する。
なぜなら、「分かる」というその教科書に書いてある事を疑うのを嫌うからだ。

そして、「納得する」という「教科書」をしっかりと身につけ学歴社会という階段を上り詰めたのが「中央官庁の官僚」や「経済学者」ということになる。
昔で言えば、幼年学校、士官学校、陸大と卒業して参謀本部入りの軍人官僚である。
当然その教科書に書いてあること以外では何をやって良いのか分からない。
だから、もし日本に本当の経済学者がいるならばあの「失われた10年」から学んで新しい「経済学」を構築しているはず。
現在そんな経済学が出来たとは聞き及んでいない。彼ら経済学者は自らが学んだ「教科書」から離れられず、今社会現象を説明できずにいる。

この松井先生は、その「正論」の最後で、


「今、日本で必要なことは、したがって『分かって』もらうための仕組みではなく、『納得して』もらうための仕組みを考えることなのである。その納得する仕組みは、風土と歴史によって異なる。
わが国独自の、その様な仕組みをどう構築するかが問われているといってもよい。」



と実に曖昧なことを言っている。
ところが、そこでよく考えてみれば、実は「納得する」というのは、本来狩猟民族の理解であり、「分かる」というのは自然を相手にする農耕民族の思考回路であることが分かる。そう言う農耕民族的の「分かる」世界に、「納得する」という観念の指導者が出る場合、非常に問題が多い。
何故なら、その様な「分かる」世界では「失敗したときの」フィードバックがないからだ。そして、狩猟民族は、「納得する」という一致団結した統制を取ると共に、失敗したらその指導者を交代させ、「失敗の理由」をフィードバックする新陳代謝がある。

 週刊新潮 [ 2008年11月27日号]
あとの祭り/なぜ、田母神論文が生まれたか・渡辺淳一
を見てみると、日本占領下の戦後教育の成果というものが良く出ていることが示されている。
何故なら、渡辺淳一氏は、典型的な「納得する」教育を受けている。
それでいて、その認識がないままに、自分の「体験」すら物事を分析出来ず、誰かに言われた短絡した思考・評価でしか「体験」を説明出来ないという欠陥に陥っている。

その他のことは、前回のブログ
「産経・正論「分かる」と「納得する」の言い回しの理解」
http://pub.ne.jp/Indianinkworld/?entry_id=530782
に譲るとして、今いる自分の環境も経済も分析出来ずに日本はどうしたものか。
考えてみれば、麻生総理がG20に行って言ったことは、「1000億ドル(10兆円)」をIMFに供与すると言ったのみで、何をどうするのかは全くの人任せ。
そして、今日本にも世界同時不況が押し寄せてきても、なすすべもない日本経済ということを見れば、既に「納得する」世界の脳構造は崩壊したといって間違いない。

どどのつまり、「失われた10年」を経験しても何の成果も理論も上げられなかった経済学者、政治家達というのは、もはや日本を託すのには適しないと言わざる終えない。