福井 学の低温研便り

北海道大学 低温科学研究所 微生物生態学分野
大学院:環境科学院 生物圏科学専攻 分子生物学コース

流氷への旅2008

2019-02-16 10:37:03 | 日記
一月のオホーツクの空は、低く灰色に垂れ込めていた。雪がくるのか、空と海が接する際に、明けそめる空のような白い一線があった。寒気は厳しかったが、風はなかった。灰色の空と、鉛色の海と、純白の氷原が、風のない空間に止まっていた。
  <中略>
丘の上は断崖になっているらしく、その先に白一色の氷原が拡がっている。表通りから研究所への道は、幅五メートルほどに雪が除けられ、轍が鈍く光っていた。
 <中略>
入り口の正面には蝦夷松が雪のなかから顔を出し、その左手に、コンクリートの門があった。雪は門の半ばまで埋め、その上半分の御影石に、「北海道大学低温科学研究所附属流氷研究所」と、刻まれている。

美砂はしばらくそれを眺めてから、正面玄関のガラスのドアを押した。

     (渡辺淳一『流氷への旅』より)







今年2月12日、流氷の街・紋別に流氷が初接岸したとのことです。流氷“大回転”現象も現れるのでしょうか?反時計回りの渦を巻く、興味深い自然現象です。