気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

Where It Hurts by Reed Farrel Coleman

2017-04-29 11:14:35 | 読書感想

Nominated for the 2017 Edgar Award for Best Novel

ニューヨーク州 Suffolk郡、クリスマスを控えた12月。
寂れたホテルの空室を住まいにして、ホテル客の送迎用の車の運転手をしている元警官Gus Murphyはある朝、Thomas Delcaminoという男の訪問を受ける。Thomas Delcamino(Tommy D) は車泥棒、盗品の売買などで警官だったGusが何度も逮捕した男 だった。
Tommyは、4ヶ月前、彼の息子が拷問された上に殺されてゴミ溜めに放置されていた事件について話し、元警官だったGusに事件を調査して欲しいと頼む。彼によると、事件を担当した刑事は父親と同じく小悪党である息子の捜査に乗り気でなく、ほとんど捜査をしていないと告げる。
GusはTommyが自分が息子を亡くしたことを知っていて彼に頼みにきたと考え、激昂して彼の頼みを断る。2年前、突然、最愛の息子を心臓発作で亡くしたショックで彼は全てを失っていた。妻と娘、警官の仕事、神への信仰。今も彼は息子を失ったショックから立ち直れず無気力に生きていた。

一夜明けて、彼はTommyに対して彼のとった行為を反省していた。息子を残酷な手段で殺され、誰も彼の無念を晴らしてくれる人がいない彼の苛立ち、孤立感、Gusは誰よりも彼の気持ちを理解できた。彼はかっての同僚の警官Pete McCannに事件について聞こうとするが、彼は事件に関わらないよう警告される。彼はTommyに対してとった彼の態度を詫びるためTommyの自宅を訪ねるが、彼は銃で頭を吹き飛ばされて死亡しており、Gusもまた彼を殺したと思われる男たちに銃撃され足を負傷する。Gusからの連絡を受け現場に来た元パートナーだった刑事Al Roussisに、彼は犯人の1人は黒人だったことや被害者の家の室内が荒らされていたことから彼らが何かを探していたこと、この事件は息子の事件と関連がある可能性が高いと主張する。しかし、刑事はGusの証言に関心を示さず、事件の関連性を否定し、彼もまたPeteと同じく彼がこれらの事件と関わらないように警告する。

警察の事情聴取を終え、自宅のホテルに戻った彼を、Tommyの友人だったというSmudgeという男が待っていた。SmudgeはTommyから彼に渡すように頼まれたと言って彼の息子の事件についての資料と依頼料と思われる3000ドルが入ったバッグを手渡す。彼は、事件の情報を得るために資料に書かれた人物の1人、彼も顔見知りの情報屋に会いに行く。そこで彼はまたも事件から手を引くよう忠告される。町のチンピラが殺されたというよくある事件を何故、皆手を引くように忠告するのか?かっての警官としての直感が彼の捜査への好奇心をかきたてる。そんな時、何者かが彼の自宅に侵入し家探しを行う事態が起き、彼は否応なく事件に巻き込まれていく。彼が事件の調査を進める中、彼は彼の勤めるホテルの前で地元マフィアの3人組に捕まり、銃を突きつけられる。その時、彼はここ2年間感じなかった生への欲求を感じる。この窮地を脱して生き抜き、この事件の真相を突き止めたいという欲求を。

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息子が殺されたのなら殺した男を逮捕するのに全力を上げ、無念を晴らすことができるが、突然の心筋梗塞で息子を失った怒りや悲しみなど心の持って行きようがないやるせなさから生への執着をなくし、2年経った今も無気力に日々を過ごしていた男が、息子を無残に殺された男の無念さに共感し、彼の依頼を受けて捜査を進めるうちに自分を再生していくストーリー。よくあるパターンだが、息子のことで苦悶している暗い展開から彼が事件にのめりこんでいくにつれて過去を払拭していく過程は読んでいて心地良い。

ドラッグマフィアや故買屋など町に巣食う犯罪組織から暴力や脅迫を受けたりしながらも屈せず、また元同僚だった刑事達からも援助を得られず、孤立無援になりながらも、捜査を続けていく彼のタフさが魅力的だった。

また、独特の人生観で、彼が出会う人物や場所について、また事件の捜査方法について語る彼の口調が心地良い。

E-book(Kindle版)★★★★ 353ページ 2016年1月 1688円(2017年購入)


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