気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

Lights Out Summer by Rich Zahradnik

2019-02-05 19:00:40 | 読書感想

2018 PWA BEST PI PAPERBACK ORIGINAL受賞作

Coleridge Taylor は、1975年の秋、勤めていたNew York Messenger-Telegraphが倒産した時、大手新聞社に仕事を求めたが経済が逼迫している中、彼を採用する新聞社はなかった。彼は、新聞社やラジオ局にニュースを配信するthe City News Bureauという小さな通信社の事件記者となる。1977年3月、ニューヨークは後にサムの息子と言われる男の連続殺人に騒然としていて、ニューヨークポストやタイムスがその事件を大きく取り上げていた。彼はシリアルキラーを記事にするには大新聞の取材力にかなわないと感じ、まだ、マスコミの誰もが注目していない殺人事件を記事にしようと考える。

彼は、同じ日に黒人女性が殺された事件が起きたことを知り取材を始める。殺された女性、Martha Gibsonはゴミ捨てに出たところを殺人者と遭遇、慌てて逃げようとしたところを後ろから銃で撃たれて殺されていた。彼女はアパートの6階に住んでいて犯人は彼女がゴミ捨てに出て来るのを待ち伏せていたと思われた。彼は事件は通り魔的な犯行ではなく彼女を狙った犯行の可能性が高いと推理する。誰が彼女を殺したいと思っていたのか、動機を探ろうと、同じアパートに住む妹に取材した彼は3つの可能性を得る。彼女は大学を出て就職した会社で上司のセクハラを拒否したために解雇されていた、解雇した上司が告発されることを恐れて彼女を殺した可能性。また解雇された彼女は大金持ちの白人の家でメイドをしていたが、彼女は妹にその家族には暗い秘密があるのを知ってしまったと話していた、金持ちの家族が秘密を知ってしまった彼女を殺した可能性。さらに、取材していた妹はかなりの麻薬中毒であり、殺された姉は彼女に似ていることから麻薬取引がらみで妹に間違えられて殺された可能性。

彼はどの可能性が高いか、関係者との取材を進めていく。そして彼がひとつの可能性に犯人を絞り始めた時、ニューヨークの夜は突然の暗闇に襲われる。

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77年当時のニューヨークの状態が細かく描写されていて主人公のTaylorの印象よりそのことの方が印象に残ってしまった。、市の財政破綻、白人街と黒人街に分かれている街、黒人差別、「サムの息子」と呼ばれる殺人鬼、そして停電になった時の暴動。よくミステリーでシリアルキラーの例として「切り裂きジャック」とともに取り上げられる「サムの息子」がこの時代だったのかと思ったり、おなじくニューヨークの大停電が同じ時期だと分かるなど他にも当時のエピソードが多く語られていて、読みながら当時の記憶を懐かしく思い出した。

また、事件の取材は丹念に被害者の知り合いを当たっていく、実際に新聞記者がやっている手法に見えて、作者は元新聞記者だったのではと推理したのだが?Taylorの性格はよくわからなかった。大新聞が取り上げない事件を記事にするのはマスコミに自分の取材力の優秀さを知らせるため?それとも大きな事件の陰に隠れ記事に取り上げられることなく世の中から消えていく被害者の無念の気持ちを考えてか?特ダネを取って大新聞社にステップアップしたいのか?あまり興味を惹かれないキャラクターだった。


E-book(Kindle版)★★★ 296ページ 2017年10月出版 1080円(2019年1月購入)


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