気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

Down the River Unto the Sea by Walter Mosley

2019-12-01 09:55:03 | 読書感想

2019年 MWA BEST NOVEL受賞作

Little Exeterという大物麻薬密輸業者の張り込みをしていたNYPDの刑事Joe Kingは通信司令Gladstone Palmerからベンツを盗んだと訴えられているNathalie Malcomという女性を逮捕するよう命令され、彼女の自宅に向かう。彼は、ベンツは今住んでいる家と同じように愛人である男から提供されたもので盗んでいないという彼女の話を信じ、訴えは何かの間違いだと考え、彼は誘われるままに彼女と男女の関係になる。翌日、自宅にいた彼は彼女をレイプした容疑で逮捕される。彼女のレイプされたという訴えの他に隠しカメラで撮られたレイプを裏付けるビデオもあり彼は彼女に嵌められたことを知る。

刑務所に収監された彼には地獄のような日々が続く。警官だった男が入ってきたことは瞬く間に囚人たちに知れわたり、毎日彼は彼等からの襲撃に神経をすり減らす。彼はいつか、攻撃した相手を殺して、生涯、刑務所で過ごすことを覚悟する。しかし収監されてから90日後、突然、彼は告訴が取り下げられたと言って釈放される。

10数年後、探偵になった彼にレイプされたと告発した女性から手紙が届く。手紙の中で彼女は、大量の麻薬を所持していた罪を見逃してもらう代わりに彼を誘惑してレイプされたと訴えるようAdams Cortezという警官から強要されたと告げる。彼女は、彼を冤罪にしたことを悔やんでいて、真実を告発する用意があると告げていた。

彼がその手紙への対応を考えている時、無罪を勝ち取ることで有名な刑事弁護士Stuart Braunの法律事務所でインターンをしているWilla Portmanと名乗る女性がやってくる。彼女は二人の警官を射殺したとして逮捕されたFree ManことLeonard Comptonの無罪を証明し彼を釈放してほしいと依頼する。彼女は彼の弁護を引き受けたBraunの指示で資料の調査を担当していた。3年前、新聞記者であったManは、2人の警官を殺した罪で裁判で死刑を宣告されていた。死刑判決後、彼の弁護士となったBraunは事件を精査し、提出された証拠は状況的証拠に過ぎないと断言し、彼の行為は正当防衛で無罪だと主張し、上訴が認められていた。 しかし、2週間前、Braunは突然、Manの話していることはすべて嘘だと言い、彼を見捨てる(well him down the river)ことを決断する。彼女は、Manはホームレスの子供たちを売春や麻薬取引などの犯罪組織に売り渡している悪徳警官Eugene ValenceAnton Prattから子供たちを守る組織を作ったため、彼らに命を狙われていたと話し、2人の警官を殺したのは正当防衛であると断言し、二人の不正を告発できる証人を見つけたと告げる。しかし、その証人Johanna MuddがBraunに会いに行くと出かけた後、行方不明になっていることも話す。彼の元刑事としての直感はManが無罪であることを告げていた。彼は、Manが無実の罪で拘留されていることに、同じように冤罪で拘留されていた自分の気持ちを重ね合わせて、彼の事件を調査することを決める。そして、自分の冤罪も晴らす決心し、Nathalie Malcomに電話する。

できるなら、彼の冤罪の問題を警察組合が取り上げ、また刑事に復職できるのではと期待しながら。

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久しぶりにハードボイルド小説を読んだという感じ。刑事時代に罠に嵌められて職を追放され、刑事という職に未練を残しながら探偵となった男の生き様が骨太に描かれていく。グイグイと読ませてくれるが、敵味方を問わず読み飛ばしたくなるような暴力的な場面が多くあること、逮捕に向かった女性といきなり肉体関係を持ってしまう主人公は、僕の好きな探偵像とは違い引き込まれるキャラではないこと、また物語の終わり方にも不満が残り、読み終わった後の爽快感は今一だった。


E-book(Kindle版)★★★☆  322ページ 2018年2月出版 





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