作品紹介・あらすじ「あなたは誰?」
徐々に息子の泉を忘れていく母と、母との思い出を蘇らせていく泉。
ふたりで生きてきた親子には、忘れることのできない“事件”があった。
泉は思い出す。かつて「母を一度、失った」ことを。
母の記憶が消えゆく中、泉は封印された過去に手を伸ばす──。
記憶という謎<ミステリー>に挑む新たな傑作の誕生。
「あなたはきっと忘れるわ。
だけどそれでいいと私は思う」
「また母が、遠くに行ってしまいそうな気がした。
あの時のように」
……あの一年間のことは、決して誰にも知られてはいけなかった。
小説『世界から猫が消えたなら』『四月になれば彼女は』などで大きな衝撃を与えてきた川村元気、待望の最新文庫。
読書備忘録
そうだったのね。一年間も?そんな母親には見えなかったようだけれど、それがあったからその後の母は息子に愛情を注いだのだろうか?捨てられる?って思っていたのか?
それにしても、ポイっとって感じで家を出るなんて、そしてしゃらーっと帰って来てしまうなんて・・・
そして認知症の母が見たかった上半分の花火!の話に、えー・・・そうだったの?なんか切なくてこちらまで泣けてきた。
とはいえ、ヒトゴトなのだけれど、どうでしょうね?私の場合そう遠くはない現実でしょう。ボケるか余命を知らされるか、どちらがいいか?なんて話すことがあるけれど、私はボケるのはイヤだわ。
母は老衰だった。全部使い切りましたよ。どうだすごいだろー!ときっと言っているんじゃないかと勝手に思って見送った。
とにかくこのような本を読むと自分と重ねることが多くて・・・息子しかいないからおむつ買いに行ったり、パジャマ買いに行ったり、できるかなぁー・・・仕事は絶対にやめてはダメだよ!ふらふらどこかに行くようだったら、こっそり縛り付けておいてもいいから!と、こっそり言っておこうかと・・・悲しいかなそんなことを思うのです。
★★★★☆