カメラといっしょ★

地元福岡~イタリア留学からワーキングビザ取得しての海外生活を写真で綴るつれづれ日記

母来る

2011-11-25 18:28:28 | ★イタリア留学日記
母が個展を見に、わざわざ日本からやって来てくれた。
私の写真を見る為に地球を半周してくれる人はこの世に一人しかいない。

一人で海外旅行は愚か、住み慣れた博多の郵便局にも行けない母だから、
当然、叔母の付き添い付きでツアーにのって来てくれた。
ミケランジェロ広場についたところで母をピックアップ、
一緒に、個展を見て、フィレンツェ観光をした。
 
まずは丘の上のサンミニアート教会へ案内。
ツアーではなかなか行かないけど、
フィレンツェで一番高い丘にある景勝地、
ドーモよりも古い歴史ある美しい教会だ。

猫ものんびり昼寝する美しい日。

ピッティ宮殿に立ち寄って、パラティーナ美術館で
ラファエロの聖母子などを鑑賞。

お昼はフェラガモプロデュースのレストラン
borgo san jocopoで素敵なランチ。
 
母の念願だったドゥオーモへ上る。
もう、次は上れる体力があるか分からないからと、
子としては少し淋しいコメントとは裏腹に、
正直70を越えたとは思えない快活な上りっぷりで、
結局この人は誰よりも健康なのに、年寄りぶったりしてと少々笑えてきたりもする。
 

悠久の街フィレンツェの夕暮れは美しい。
オレンジ色に染まった街は一瞬時間が逆戻りしたように
あるノスタルジアを映し出す。

母が私の写真をどう思ったかは分からないし、
こんな娘を持った母の気持ちは分からない。
長い母娘の歴史の中で、一点も交わらず、
血がつながっているのに分かり合えない不思議な母娘は、
長い年月と軋轢を経、風雨にさらされてその絆は固く結ばれたのか。
それは血よりも濃く、この夕焼けの色のように温かだ。
遠い異国の高い塔の上の強い風に吹かれながらふとそんなことに気付く。
こんな遠くまで、小さな私の小さな個展を見に来てくれてありがとう。
こんなにも私を思ってくれるのはあなたしかないない。
おかあさん、ありがとう。

カリオストロの城へ

2011-11-23 23:59:15 | └☆イタリアぶらり旅
旅に出た。
目指すはカリオストロの城。

「ルパン三世 カリオストロの城」のカリオストロ伯爵は
実在のモデル?がいたようで、
その実在したカリオストロ伯爵が最後に幽閉されていたお城が
サン・レオという町にあるらしい。
旅好き、ジブリ好きのルームメイトが行くというので、
私も行きたい!と便乗した。

お互い忙しい中、予定を合わせて出かけた休みの日。
秋雨が草木を濡らす静かな日。
フィレンツェからは遠く、電車とバスを乗り継いで行った。

着いた町はとても小さな町。
 
中世の面影そのままのれんが造りのかわいい町。
シーズンオフのせいか、町には人気がなく、シンとしていて、
それがまた、なんだかタイムスリップしたような、
お話の中に入り込んでしまったような、そんな不思議な気にさせる。
 
地図もなく、案内板を便りに城をめざす。
 
 
 
厳つい戦車と重々しい城壁に閉ざされたお城は、
今、監獄博物館になっているようで、
入り口まで来て結局私たちは引き返した。
拷問機とか、監獄とか、できれば見たくない。
代わりに、高台にあるお城からの美しい眺めをひとしきり見ることにした。

秋の霧雨に煙る草原の美しさ。
穏やかに眠る姫君のように、静かに横たわる。

お城の丘を下りて、町を散策。

町の教会。
 
 
そして本当に誰もいない。
あるのは私たちの影と犬一匹。
 
ついでなので、サン・レオの町も下りてみる事にした。

わぁ!下から見ると断崖絶壁。
 
 
  
いたって平穏な下の町の景色。
なんだか田舎のおばあちゃん家を思い出した。
 
全景を見たくて、もっと先まで歩いてみた。
 
でもその崖は思いのほか大きくて、
下からは、お城の先がちょっと見えるくらい。
その全景を眺めるには、鳥にでもなって飛んで見なくてはいけないらしい。
あんなところに閉じ込められるのは、
どれだけの孤独だっただろう。。
 
町に戻ったら、犬の次は猫のお出迎え。
なぜかやたらなつかれた。
 
帰りのバスはせまってるけど、
お腹空いたしとお昼ご飯食べたいね~と、
ようやく開いているお店を見つけて入ってみた。
キッチンのおばちゃんに、
帰りのバスの時間を伝えて、急いでるんだけど、というと、
まかせなさい!もう準備はできてるわっと心強い返事。

頂いたのは「サン・レオ風」と名のつくパスタ。
どこがサン・レオ風なのかはいまいちなぞだったけど、
もっちりした手打ちパスタとチーズの風味豊かなソースがおいしかった。

帰りのバスを待つ広場。
さっきの犬とちらほら町の人。
えーっと、バスはどこかな??と見ていたら、
1台のバスがまさに発車して行った。
え!?まさかあれ??
と、びっくりしてバスを追おうとしたら、
ちょうど車で通りかかった町の人が、
すぐさま車でバスを追いかけて止めてくれた。
結局、そのバスは別のルートのものだったのだけど、
町の人の親切に感激。

寒巌の城とあたたかな人の心、霧に煙る美しい草原、
たくさんの景色を心に刻んで、
小さな旅の帰路についたのでした。

Borgo Antico Nigth!

2011-11-21 23:40:23 |  └・Ristorante/Trattoria
流れとはかくべきところへ流れて行くもんだ。
取り立てて何の会というわけでもなかったが、
なんとなく人が集まって賑やかな食事会になった。

行ったのは「Borgo Antico」ルームメイトが働いているレストラン。
フィレンツェでは下町的な地区になるお店、カジュアルで賑やかな雰囲気がいい。
 
ここで働くルームメートとお友達も同席とあって、
やたらサービス満点の料理が運ばれて来る。
う~ん、ぎょふのり♪

ボルゴに来たらこれを食べなくっちゃ「マーレ・カルド」海鮮の白ワイン蒸し
どどーん!とド迫力の大きな器に入ってくるのだけど、
これがおいしくってモリモリ食べれてしまう。
 
そして、フィレンツェ名物ビステッカ(Tボーンステーキ)まで出て来るくる。
もうすぐ帰国するルームメートのために
手作りの日本の国旗を立てておもてなし。
フレスコバルディーのブルネッロ・ディ・モンタルチーノ、2005年まで振る舞ってくれた。
明るく元気なルームメイト、自分をしっかり持っていながら、
周囲を気にかける事を忘れないやさしい彼女はどこに行っても愛される。
私もその明るさにどれだけ救われたか分からない。

このところ、何が何だか分からないくらいバタバタしてる。
こうやってみんなで楽しく食事をしている時だけが、
人生を人生と気付けるひとときな気がする夜なのでした。

■Borgo Antico
Piazza S.Spirito, 4r, Firenze
tel 055.210437
http://www.borgoanticofirenze.com/

トスカーナの海辺をゆく

2011-11-20 23:22:20 | └☆イタリアぶらり旅
写真を撮るのにおすすめの場所があるの、と車で連れ出してもらった。

たどりついた海は透明で、
秋の終わりの心もとない光に照らされて、静かに
それは静かに澄んでいた。
 

夏の余熱が去った町はひっそりと瞼を閉じ、眠りにつく。

その先に広がる海さえ、じっと身を沈めているように
静かに静かに目を閉じる。

ひんやりと渡る海風

トスカーナにもこんなに静かな青があったんだ。

さて、車は移動してワインで有名なボルゲリへ

大好きな糸杉の並木道。
町までずっとまっすぐまっすぐ伸びている。
 
 

ボルゲリはとっても小さな町。
まわりをぐるっとワイン畑に囲まれた小高い丘の上にある。

風がさらさらと葡萄の葉をゆらす音を聞きながら、
ベンチに座ってお友達の用意してくれたパニーノをほおばる。
こうやって外で食べる食事って大好き。
 
 
ワイン所にに来たからには飲まなくっては~と、
エノテカで1杯グラスワインをいただく。
友達の分も奪ってもう1杯。
お店の人にボルゲリのワインの事を色々聞きつついただく。
家のおみやげに、ヴィーノ・ノーボを買って帰途につく。

最後に見た海は、昼と夜の間の曖昧な時間を映し、
低く鈍く光っている。
 
何かの際に佇む時、私はその深淵から目を離す事が出来ない。
深淵を覗き込む物は愚者だと笑われるだろうか。
 
それでもその妖しく美しい光に魅入られて、
ただじっと、その終わりを見つめているのでした。

秋を探しに

2011-11-11 20:07:57 | └☆イタリアぶらり旅
私たちは秋を探しにバスに乗った。
 
バカンスでイタリアに来たのに、根っからの働き者の性分でうっかりバイト三昧のルームメイトと
仕事に私事にと何やら用事の多い私は、
同じ部屋に住んでいても、
会話をするのは眠りにつく前のほんの少しの間。
お互い忙しく毎日が過ぎていく中で、風景に目をやる時間がない。

ああ、きっと今頃は葡萄畑も色づいてるんだろうね~。。
うん、きっと。見たいね~。。
写真撮りたいね~。。

半分寝ながらうつろにかわされた会話でも、
元来行動派の私たちは次の休み、一緒にワイン畑へでかけた。
秋に染まった葡萄畑を見るために。
 
丘の上をどこまでも伸びる道ばたにぽつんとある小さなBARの前のバス停で降りた。
そのBARの建物を越してその向こうを眺めると、秋は広がっていた。

夏の鮮烈さを欠いたうす水色の秋の空が静かに今日を包み、
色づいた葡萄畑は丘に沿って波打ちその空の際まで広がっている。
収穫を終えた畑は色づいた葉をサラサラと風に揺らし、
まるで遠い昔を懐かしむ老人のように穏やかにやさしく佇んでいる。 
 
その足下でじゃれる子犬のように私たちははしゃいでまわる。
乾いた葉の香りをいっぱいに吸い、柔らかくごろっと大きな大地を踏みしめて歩く。
やわらかな風が私たちを追い越していく

狩り残しの葡萄をみつけてひとつぶ味見。
しゅわっと渋つく皮の下からぎゅっとした濃い葡萄の味が溢れ出す。
んっぱ、、おいしい~。
それはまさしく今見ている風景の味、秋の味。

あふれる秋の光に包まれて、ああ、心地いい。
秋野原の散歩。
のんびり雲がついてくる。

葡萄畑の次はオリーブ畑。
どこまでも豊かなトスカーナの大地。
伸びやかで力強くあたたかい。

私はこの景色がとてもとても大好きだ。
世界中のどんな絶景より、この景色を見たくてここにいる。
それは大きな腕に包まれているようで、とても安らぎ、
そして、その目に見える景色の美しさは
そのまま、生きとし生けるものの美しさ、命の感動だと思い知る。

さて、たくさん歩いて、のびのび秋の散策を楽しんだ私たちが
最終的に見つけた秋は”食欲の秋”。
バスを乗り継いで、パンツァノのハンバーグ屋さんへ。

このお肉のおいしさ、まぎれもなく。
秋のすきっぱらを十分に満たしてくれる。
そして結果、ここへたどりつくのは確信犯だった私たち、
持ち込みワインをあけて、おいしいお肉とゆっくり秋のランチを堪能。
帰りのバスはうとうとと、瞼の向こうに葡萄畑の紅葉の黄色を感じながら、
小さな秋を捜す旅の一日はくれていくのでした。

すとんと落ちる

2011-11-09 23:01:08 | ★イタリア留学日記
ありがたい事に忙しく日々が過ぎていく。
定期的に入る仕事に、個展へ足を運んでくれる友達に会いにと
嬉しく、めまぐるしく動いているうちに、
悩み抜いた暑い夏は過ぎ、季節はいつの間にか秋になっていた。

私が悩み抜いたもの、心もとないひ弱な自分についての事、
そして、人にもとげがあると知った事。
田舎でのびのびと育った私は不用意に人を受け入れてしまうところがある
どうぞよろしく、とにこにこと手を差し伸べては、
その手に小さなトゲが刺さって、驚きおののいた。
そのトゲは小さすぎてなかなか抜けず、いつまでも私の中で痛み続けた。
どうして刺されなければならないのか、意味が分からなくて、悲しくて泣きたくなった。
悲しくて痛いけど、私は知らなければいけない、
そのとげはその奥にある柔らかな何かを必死で守ろうとしているだけだって。

私に何が出来る分けでもない、でも、何かに触れて痛んでも、歪みたくはない。
真っ直ぐ見ていたいんだ、この世の美しさを

光は溢れ、輝いている

私が屈しないと知って、意地悪な季節は興味をなくして去っていった。
すとんと何かがあるべき場所にもどるように落ちた。
仕事も少しずつ増え、住む家も変わらなくて良くなった。
そうしたいと願って、行動して、でも全てが手詰まりだったことが、
ぽんと思った方に扉が開けた。
そんなもんなんだろうか、、
たたいて押しても開かなかった扉が引いたら開いちゃった的な拍子抜けの感じ。
あまりも唐突に終わったコントみたいに、笑うって気にもならないが、
きっとずっと私の居場所を気にかけてくれていたであろうルームメイトが
(彼女の帰国をきっかけに私は家を出る事になっていたから)
よかったね~、と一番に喜んでくれたのを見て、私もうれしく思えてきた。
たくさんの不安はある、
でも今は、私の為に笑ってくれた彼女の為に、
私も笑顔で幸せでいたいと思うのでした。

オープニングパーティ

2011-11-01 23:20:10 | ★イタリア留学日記
今日から個展というのに、朝から仕事を入れてしまった私。
撮影を1本終わらせて息をつく暇もなく搬入。
ルームメイトが手伝ってくれて、
なんとかオープニングパーティに間に合った。
強力助っ人ありがとう!

ひとつ目標が叶って、何を思うかと思った。
夢の終わりには何があるのか。
世に聞く燃え尽き症候群みたいに脱力するのか、
でも、違った。
いつもファインダーの中だけにある、私の中の景色を
こうやって大きく引き延ばして、ひとつの空間に並べた時、
そこに広がったのは私の空間、私の景色。
その中に立って思った、
ああ、これだ、これが私が見た景色、
みんなに見せたいと思った景色だって。
小さな確信みたいな物が自分の中に灯った。
今まで、ずっと自分に自信がなかった。
いつもいつも自信がなくって、曖昧ににこにこしてただけだった。
でも、これで良い、これで良かったんだ。
遠くて長い道のりだった。
そしてその先を見ても果てしなく遠い。
それでも、それでも、これでいいんだよね。
夢の終わりには夢がある。
それはどこまでも続く。

オープニングパーティにはたくさんのお友達が来てくれた。
本当に、ほんとうにありがとう!
それは、元々のカフェのお客さんと入り交じって大変な盛況になり、
もはや写真を見る雰囲気ではなくなってしまった。
 
それでも、私の中にあったものが外に生み出されたこの夜を、
そして私の中に灯った小さな光を大切にたいせつに思うのでした。