カメラといっしょ★

地元福岡~イタリア留学からワーキングビザ取得しての海外生活を写真で綴るつれづれ日記

雨明香港

2010-06-26 23:12:06 | └・海外旅行
徹夜で荷物をまとめ、ようやくで
まだ夜の明けきらない早朝のフィレンツェを発ち
電車に乗ってローマに向かった。

ここ数日、とにかく忙しくてほとんど寝ていない。
眠たいはずなのに、目を閉じる事なく
車窓を流れるイタリアの町の景色を目で追い続けている。
オレンジ色の朝日を浴び、全てが輝き始めた。
美しいその光をただぼんやりと眺めている。
住み慣れた日本に帰る安堵感はなく
どっぷり疲れた体は、まだ旅の途中にあるようにこわばっている。
そうだ、帰る場所なんかないんだ
まだどこにもたどり着かない私はずっと旅の途中。

ローマから飛行機に乗る。
空港までのチケットを買おうと券売機に向かったら
次々と券売機が「販売中止」になっていく。
???
なんとなく嫌な予感がして構内アナウンスに聞き耳をたてたら
10時からストライキにはいるって!?
マジ!?やってくれるな、イタリア国鉄。
いや、空港線はやってるかもしれない、
祈るような気持ちで有人の発券所へ。
よかった、空港線はちゃんと走るらしい
おじさんが手書きのチケットを切ってくれた。
ふぅぅぅ~。

思えば10ヶ月前、イタリア語も何も知らない私が
この巨大なローマにたどり着いて
よく無事にフィレンツェまですんなり行けたもんだ。
その時は天使が守ってくれたのかも~なんてのんきに思っていたが
今、その復路をたどってみて
やっぱりそれは奇跡だったんじゃないかと思えた。

どうにかこうにか空港に着き、無事飛行機に乗り込んだ。
  
長い飛行機の旅、他人に挟まれた狭い席で休もうとすると
上手く眠れずに逆に疲れてしまうので、寝ないと決め込み、
ビデオ鑑賞と運ばれてくるご飯を楽しみに過ごすことにしている。
今回のご飯は白飯に野菜炒め。
リゾットではない炊いた白飯があるだけで
パスタに飽きた私にはそれだけでうっま~って感じられる。
気圧の低い上空でお酒の周り具合もちょうど良く
ちょっといい気分でビデオの続きを見る。

映画を3本、アメリカのテレビドラマを4話見終わった所で
ようやく経由地の香港に到着。
ここで6時間の待ち時間があるのをいい事に
香港島まで行ってみた。

傘をさす事なんて不可能なんじゃないかと思える程の大雨。
雨明りに街は白く浮かび上がっている。

傘を持たない私は、ショッピングモールを見て回る事に。
といってもまだ早朝、お店はほとんど閉まっている。
と、マクドナルドを発見。
さすが世界のマクドナルド、ここぞと言う所に開いてるね~。
さっき機内で朝食を食べた事も忘れて
「世界のマック食べ歩き」をして遊ぶ事に。

じゃーん!
これ、香港の朝マック「ベジタブルスープ麺」
麺はショートパスタみたいなのが軽く入っている。
ベジタブルってったって冷凍野菜ミックスだけど
でも、味もファーストフードの印象ほど濃すぎず、
さっぱり塩味でどことなくヘルシーな気がする。

そのままマックで外に降る白い雨をうつろに眺めていた。
この街にどれだけたくさんの人の人生があるんだろう。
それは巨大な渦となって立ち上がり
こんな立派なビルを建ててしまった。
そびえ立つ摩天楼を前にすると
たくさんの人の人生も私の人生も
米粒みたいに小さく思える。

ちらほらとお店が開き始めたので
ショッピングモールを見て回った。
館内はとても広くきれいで過ごしやすい。
入っているお店も日本のものとかわらず
世界中で人気のショップが並んでいる。
ずっと古い石の街フィレンツェに閉ざされていたから
なんだかとっても新鮮。
経由地だし買い物なんてする気なかったけど
つい、セールになってたワンピースを買ってしまった。
イタリアで「必要な物を必要な分だけ」の
シンプルライフを身につけたと思ったのに
物欲社会に戻れば、元の木阿弥。

長時間のフライトで一体自分が何ご飯を何回食べたか分からなくなって
お腹が空いたかどうかもよく分からないが
せっかく香港に来たからには食べなきゃ損な気がして
小龍包を食べてから空港に戻る事に。
 
小龍包と思ったけど、担々麺も食べたくなった。
確か前回香港に寄った時、担々麺のスープがすっごく胡麻味濃厚でおいしかった。
欲張って両方注文。

担々麺は、前に食べたとろりと濃厚胡麻味ではなく
どちらかというと香ばしい胡麻味。
ピリ辛加減とおいしい麺が食を進める。

小龍包はスープたっぷり。
具のミンチ具合がちょっと大きめごろりとし
豚肉脂のほんのりとした甘みを感じる。
お肉が苦手な私にはちょっと厳しかったけど
でも、日本では味わえない力強さがあってよいかも。

香港をお腹に納めて、また空港へと戻った。

思えば10キロ超はあろうかというバックパックを担いで
よく香港も観光しようなんて思ったものだ。
踊る赤い靴を履いた少女が踊り続けたように
私の体は旅を続ける。

疲れはてた体をぐったりとシートに納めて
飛行機は一路福岡へと向かったのでした。

さよならフィレンツェ、またきてフィレンツェ

2010-06-24 23:49:44 | ★イタリア留学日記

10ヶ月の留学を終え、明日、日本に帰る。

私は一体、ここで何をしたのか?

最初の1ヶ月は楽しかった
でも、それ以降は苦しみの連続だった。
それはイタリアだからではない。
自分と繋がっていた全てのものから切り離され
たった一人になった時、
私はあまりにもちっぽけで弱っちかったというだけだ。

全く新しい環境に身を置いたとき体験する疎外感
周囲の不理解、不必要な非難や偏見
それらを含む小さな出来事に出会うたび
私のちっぽけな心は痛みきった。
それらに立ち向かう強さ等なく、
自分は何も出来ない、何の価値もない
いやしくて最低な人間だと自分を責め続け
すっかり心を閉ざしてしまった。

そして、閉じこもった心の中で
今までいた自分の環境がどれほど恵まれていたのか、
こんなにちっぽけで、へんてこりんな私を
あたたかく受け入れてくれた仲間たちが
どれだけありがたい存在だったのか思い続けた。
本当に心から感謝されてやまなかった。

何があったって、いつも明るく元気いっぱいで
楽しく飲んで、食べて、笑っていた私は
実は本当の私ではなく、
周囲がそう思ってくれていたから
私はそうしていられたのだ。

周囲の支えを失った私は
多分、毎日泣いていたと思う。
パッと見、のんきに楽しく飲んだくれてるように見えても
閉ざした心の中で泣いていたと思う。


私は一体、ここに何しにきたんだろう。
どうしてここまできて
こんな思いをしなくてはいけなかったのか。


色んな苦しみや悩みをひとり抱え、
巣から落ちひからびた小鳥みたいになって、
それでもたったひとつ手の中に残ったものがあった。
それが、写真だった。

ファインダーの中のイタリアの美しい風景は
ちいさな私のことなんておかまいなく圧倒的だ。

この世はこんなにも美しい。

そう思い知る度に、心に何か
キラキラと輝いた息吹が吹き込まれるようだった。

そして、この美しい景色を素直に美しいと思える自分が、
それを撮る技術を持ってその場にいる自分が
とても誇らしく感じられるようになった。

全てをなくしてようやく気がついた
自分の中の輝けるもの。



写真を撮りたい。

今思う事はただそれだけだ。


そのために、私はまたイタリアに戻ってきたい。
ここにはまだ撮りたい美しい風景がたくさんある。

でもそれには、最初の渡航よりも
勇気も決心も倍必要で
私ひとり分のでは到底足りない。


そんな時に、決心する切欠を与えてくれたもの
それはこのブログを見て
エルバ島の旅行記の依頼をくださった編集者の方だ。

こんなどこの馬の骨か分からないカメラマンを信じて仕事を下さった事、
何よりも私の発信してきた写真と文章を見込んでもらえたのが嬉しかった。
それからは、海外でのやりとりで行き違いや不安のないように
丁寧な内容で、こまめに連絡をいただき、
気持ちよい仕事をさせていただいた。
これが私の決心に大きな勇気を与えてくれた。


それはどれほど幸運な事か。
私の力だけでは得られない何かなような
とてつもなくラッキーな事だと思う。

そんなあり得ない幸運に恵まれたのは、
私を守ってくれる大きな力があるような気がしてならない。
ふと、父を思い出して、心が熱くなった。


私の目の前に開いた運命の扉


それでも、私にはそこを進む勇気が足りない。
涙目になりながら色んな思いや迷いを話す私に、
泣き虫だけど、泣きながらでもがんばるから好きなんだと
友達に励まされたことがあった。
ま、おれは、がんばるけどね!と激をくれた友達もいた。
なんかイタリアにいるのが似合ってる気がするって
遠く日本から遊びに来てくれた友達がのんびりと励ましてくれ、
日本から手紙や私の好きなお菓子を送ってくれた友達も、
本当に行き詰まった時SOSの電話出来る友達もいてくれる。

私の最大の弱点、日本に一人残した母に
再渡航の意思を伝える事も、
イタリアへ遊びに来てくれた叔父の強力な援護射撃でなんとかなった。

みんなに少しずつ勇気と力をもらった。
本当にほんとうにありがとう。


自分の道を信じて行くにはとても勇気がいる。
私は本当にそこをいけるのだろうか今でも不安はつきないけど
でも、私はきっとここに戻ってくる
キラキラとした輝きに満ちたこの景色を撮りに。

だってそれが私にできることだから。

「ここへ何をしにきたのか?」
その答えはきっとその先にある。

さよならフィレンツェ、
そして、きっとまたくるから。





女神の祝福を

2010-06-24 21:56:11 | ★イタリア留学日記

ポルトベネレ、女神の港という名前を持つ
小さいけれど美しい町。
その景色に惚れ込んで
何度も写真を撮りに出かけたその町で、
ブライダルの写真を撮る事になった。
こうなってみると、
この町へ何度も足を運んでいたのは
意味があった事になるから
偶然は本当は必然なのかもしれない。

今日も美しいポルトベネレ。
晴れ渡る空はまるでお二人を祝福するように輝き
幸せいっぱいの本当に本当に素敵なお式だった。

全ての撮影を終えて、挨拶をすませたあと
花嫁さんがそっとブーケを差し出してくれた。

えええ~!?私??
本当にほんとに、こんな素敵なものくれるの?
わぁぁぁ~☆
驚きと喜びで自分の目が1.5倍に見開くのが自分で分かった。
こんなに素敵で幸せな贈り物をもらったのは初めてだ。
本当に嬉しい!!
目の前にかわいらしい花嫁さんの笑顔があった。
私まで最高に幸せな気持ちになった。
なんて素敵な人なんだろう、
自分だけでなく、ちゃんとまわりの人も幸せにしてあげている。
私こんな人になりたいっ。
こんな素敵な人だから
こんな素敵な結婚式を挙げられたのね。
きっとこれからも素敵な家庭を築いていかれるんだろうな。
お二人が末長く幸せでありますように☆

さて、任務を終え、ランチ。
ポルトベネレにおいしいオリジナルパスタがあるというので
ごちそうになった。

これ、たっぷりの海鮮をジェノベーゼペースト(バジルのソース)で和えたパスタ。
海鮮でジェノベーゼって私は初めて聞いたけど
でも海鮮の旨味にバジルの風味がよくって
これがとってもおいしかった。

おいしいごはんを食べて
素敵なお花もいただいて
この上もなく幸せな昼下がりなのでした。

運命の扉はノックされた

2010-06-23 21:11:47 | ★イタリア留学日記
人生の長い道のりの中で
人は誰しも大きな扉の前に立つ時がくる。

その大きな扉を探す旅を続けるのが人生

そしてようやく出会った時、
人はまず迷う、これが自分の扉なのか
本当にこれが私の「運命の扉」なのかと

迷ったあげくそれを開けようと決心しても
その扉が開くとは限らない
それが「運命の扉」

私は長い旅を経て
今、大きな扉の前に立っている。

古ぼけた山寺の山門みたいな
大きくて重く閉ざされた扉だ。

私はこれが自分の扉だと知っていて
何度も通りかかっては
その度に、これは違うかも
開かないかもしれないと
通り過ぎて来た。

そして随分遠回りして
地球の裏側のイタリアまで旅をしても
やっぱりここにたどり着いた。

でもその旅はあまりにも遠く辛すぎて
もう扉をたたく気力すらなく
私はただ呆然とそれを見上げていた。

そしたらその扉がノックされた。

普通、扉は入る者がノックするものだ。
でも入られる扉がノックされたのだ。
何やってんの、早く入れよって言わんばかりに。

しんと静まり返った胸に響くノックの音は
心臓にAEDの電気ショックみたいに大きく打って
体中の血が駆け巡り始めた。

私の頭がどんなに躊躇しても
電気ショックのせいで体は
もうその扉をくぐってしまった。

扉を抜けると
そこはエルバ島だった。

イタリア トスカーナ州エルバ島
ナポレンの流刑の地であり
あのジャック・マイヨールが愛した島

特筆することもない小さなこの島は
ただとても美しい。
光よりも深く輝く青い海と
豊かに茂る緑の森。
何かに導かれるようにここに立った私は
素直に美しいと感じる心と
それを記すカメラとペンを持っている。
それだけを持っている。
それが私の全て。


「運命の扉」は開かれた

そして扉の向こうにはまた長い旅路が続く




Castellina in Canti

2010-06-19 23:20:35 |  └・Ristorante/Trattoria
友達の働くトラットリアへランチを食べに
カステッリナ イン キャンティまで出かけた。
 
シエナからバスに乗って
キャンティのワイン畑をぬって行く。
今日はあいにくの曇り空で残念だけど
これ晴れたら
青空にどこまでも続くトスカーナの丘が描く稜線が
とてもきれいなんだろうな~。

ぶどう畑の丘の上の小さな町カステッリナ イン キャンティ。
小さいけれどこぎれいに整った町並みで好感が持てる。
 
  

さっそく友達の働くトラットリアへ。
 
木調の内装で落ち着いた雰囲気。
チェック柄のテーブルクロスが
アットホームな温かさを醸し出していて
どことなく居心地もよく席におさまる。
 
トスカーナ名物の生ハムを中心とした前菜の盛り合せ。
 
私がいただいた写真左は
この地方の豆のスープ「カラバッチョ」
野菜旨味たっぷりの優しい味わいで
これがもう最高に私好みで
とってもおいしくて気に入った。
右はニョッキ。
丸いビーズみたいに形成されてるのがめずらしい。
もっちりとした食感のニョッキを
しっかりとしたチーズ系のスープでいただいた。
 
友達が食べたラグーのタリアテッレ(ひき肉のパスタ)と
右はオーソブッコ(牛肉の煮込み)

トスカーナ料理といえば塩辛いイメージだったけど
それがちょっと和らいだような感じがした。
キッチンの人が日本人だからって気を使ってくれたのかもだけど。

おいしい郷土料理をいただいて満腹満足。
ランチ営業を終えて休憩中の友達とも合流して
おつかれさまのスプマンテ(発泡酒)で乾杯。
1杯飲みつつ帰りのバスを待つ。
  
もちろん締めのジェラートは忘れずに。
遠くに見え始めた青空に映える緑の大地
またいつか写真を撮りにきたいと思ったのでした。

Pitti Uomo 取材

2010-06-17 22:31:20 | ★イタリア留学日記
「Pitti Uomo」にいってきた。
それは、世界中のバイヤーが集まるメンズファッションの展示会。

会場内はいつもののんびりフィレンツェにはない熱気と殺気に満ちている。
日本からも多くのバイヤー、プレス関係者が来ているようで
久々に、鎧並みにギラギラにファッションをきめまくった日本人を見た。
あんな遠くてちっぽけな島国から、よくぞここまで。
その熱意とパワーと空回りするどでかい資本に感服だ。
 
そんな遠くから来る価値があるものがここにはある。
資本に巻き込まれたビックブランドではなく、
ひとつひとつ丁寧に仕事をした老舗の仕立て屋や
そこから新しく芽を出したデザイナーなどのブースがならぶ。
 
ひとつひとつ手に取ってみれば
素材や縫製まで抜かりがない事が分かる。
もちろん、全体を通して来シーズンのトレンドを眺めること、
日本人が目をシバシバさせてしまいそうな色づかいだとか、
そいういった色んな発見があってとても面白い。
 
プレス用のランチブッフェも結構豪華。

久々に味わう新しい物にふれるワクワク感に
好奇心はつきないのでした。

ミラノ!ミラノ!

2010-06-15 23:11:24 | └☆イタリアぶらり旅
ミラノに着いた。

どどーん!
でかい!この駅。
なんかスケール違う。
トスカーナの片田舎で、みの虫みたいにのんびりくらしていた私は
とにかく面食らって、目を白黒。

ホテルのチェックインまで時間があるので
とりあえずドゥオーモへ。
イタリアの町には必ずドゥオーモがあって
それを見るとなんだかその町が分かる気がする。

駅から地下鉄に乗って移動。
日本では地下鉄なんて珍しい物でもないのに
フィレンツェで地下鉄なしの生活を送ってたから
わぁ、地下鉄だぁ、なんて妙な所でテンションが上がったりして。

地下鉄の出口を間違わないように注意深く選んで上がる。
階段の向こうに突然開けた景色におもわず声を上げた。

うわーーーー。

ちょうど階段を上った正面に
白いドゥオーモが青空を背にそびえ立っている。
なんてきれい。
威風堂々と建つ姿はまるで女王のような風格。

尖った塔が何本も天に伸び、細密な装飾が特徴的なゴシック様式のこの建築。
これらはただの飾りに見えるけど、
実はこの大きな教会の広い内部空間を支える為に外側につくられた支柱で、
それに細密な飾りを施してあるのだそう。

それに反して、外側の支柱が全くないフィレンツェのドゥーモは
一体どうやってあんなに大きな屋根を支えているのか?
それは、実は屋根が2枚構造になっていて
内と外の屋根が互いに支えあえうように出来てるんだって。
すっごいなぁ~~。頭いいよ。

もちろん、建築技術は今の方が格段上なはずなのに
こんなに完璧で美しい物がないのはどうしてだろう。。

ドゥーモの中へ入る。
 
あの柱たちに支えられて中は
驚く程高い天井と広い空間になっている。
尖頭アーチ窓の美しいステンドグラスから注ぐ微弱な光は
静かに黙する空気を少しも揺らしたりしない。
この空間の中では、否応無しに自分に向き合うことになる。
それは祈るという行為に似ているのだろうか。

そのまま少し町を歩いて、ホテルに向かった。
 
 
ホテルでツアーと合流。
同じツアーに参加している従妹と叔父とも合流して
4人で夕飯を食べに出かけた。
比較的都心にある1軒のレストラン。
頑張りすぎる事なく、でもちょっとしたお食会雰囲気もあってほどよいかんじ。
実は叔父の誕生日だから、従妹がサプライズでお誕生会をしようというので
手頃なお店を探して予約しておいたのだ。
なんていい娘じゃないか。

ソムリエの友達に教えてもらった手頃でおいしいワインを注文。
ワインでお誕生日おめでとう!
いつも明るくて気さくなおじちゃん、
今回もイタリアまで母を連れて来てくれて本当にありがとう。
いつまでも若く健康でありますように。
 
お通し的な感じでミニピザが出て来た。
お店で焼いてるのかぱりっとしててなかなかおいしい。
  
ワインのおつまみにカプレーゼと
本場のニョッキが食べたいというので
ゴルゴンゾーラのニョッキ。
 
ミラノ名物オーソブッキ(牛肉の煮込み)とミラノ風リゾット。
そしてチーズとズッキーニの花のフリット。
どちらもこってりすぎず、いい感じ。

そして、サプライズのお誕生ケーキ。
電話で席の予約をした時に頼んでおいたのだ。
私のイタリア語がちゃんと通じたかいまいち不安だったけど、
ちゃんとろうそくを立てて、食後に持って来てくれ
いっしょにハッピーバースデーの歌まで歌ってくれた。
イタリアらしいたっぷりの甘さと
いちごのすっぱさがおいしいケーキ。
かなり大きいのだけどぺろりと食べた。

調子良く2本も赤ワインを空け
酔いどれ年寄り二人を連れて
夜のミラノの町をプラプラ歩く。
夜風が心地いい。

ホテルの近くの路面電車の駅で
添乗員さんが待っていてくれた。
それが仕事とはいえ、なんていい人だ。
私はほんの数日、母を案内しただけで
ほとほと疲れ果ててるってのに、
こんなにたくさんの人に気を使ってすごいなぁ。

翌朝、ツアーの出発を無事見送って
私はひとりミラノ観光。
 
まずは、おいしいと教えてもらったパン屋さんで揚げピザを買う。
お店はすごい行列で、それをものすごい勢いで店員さんが捌いていく。
他になにがあるかとかもっとゆっくり見たかったのに
人だかりで何があるかも見えず、自分の順番が来た時には
私を明らかに観光客と判断した店員さんが「いくつ?」と聞いて来た。
つまり、この揚げピザを買いにきたんでしょ、いくついるの?ってことだ。
「1つ。すぐ食べるから」と勢いに押され私も注文。
素早く手渡されたあつあつのピザを受け取って、ドゥオーモの横のベンチでいただく。

むむ?ふわっ!おいしい!
ふわもっちりの生地に、とろーりチーズとトマトソース。
それだけど、これがウマい!
揚げ物だけどしつこくなくて、
うん、やっぱこの生地のふわもっちりだな。
おいしい朝食でちょっぴり元気回復。

 
さ、美術館見学に行こうっと
微妙な地図を頼りに、迷いながら歩く。
なんか、通りも全て大きくってわかりずらい。。
ようやくついた小さな美術館。
これがなんと休館日。
ガイドブックの案内と違っていたのだ。
んんん~、仕方ないよな。。

もともと母との旅行でくたびれ果てていた私は
ここですっかり心が折れてしまった。
もう、フィレンツェ帰ろ。。
駅に行って帰りのチケットを買う。

でも、そんなに本数が走ってるわけでなく
次の電車の時間までまだまだある。
もう、どこか行く場所を探す気力もなく
仕方なくまた当てもなく町を彷徨う。
 
ミラノは大きな街だ。
整備された幅広い車道に高層ビル
薄暗い影がふきだまる路地。
でも一方では古い建物がビルにまぎれつつも凛として建っていたり。
これぞイタリアというようなハイセンスなファッションがあり、
と、同時にただ流行をおいかけただけの寒々しいトレンドあり。
 
都会かと思えば、すぐそこの街角には屋台が並び人々の生活の匂い、
ちんちん電車は我が物顔でがたごと揺れながら街を横切って行く。
なんかこの街、わたし好きかも。

歩いていたら行列のしているピザ屋に出くわした。
お昼これにしようかな、とりあえず列に並んでみる。
店内はお客さんであふれ、その中を店員さんがくるくると働いている。
キッチンでは次から次にピザが焼かれ、すごい熱気。
後から入って来たおじさんが
「おい、すごい列だな。テイクアウトならいけるのかい?」
とお店の人にきいていて、OKそうだったので
そのおじさんに続いて私もキッチン前に移動。
ピザ職人に「私も欲しいの」アピール。
「次は君の番だよ」目線を受けてすかさず
「マルゲリータ1枚、テイクアウトで」と注文。
ものすごい早業でピザを切り分けたかと思ったら
ド派手なピンク色の紙につつんで
明らかに納品物の箱を再利用しているっぽい段ボールの切れ端を台代わりに
バチッバチッとホッチキスで止めて、ほいっと手渡してくれた。
ちょっと惚れてしまいそうなくらいワイルドだ。

さっそく近くの公園のベンチで開いてみる。
25センチ、いや30センチはあろうかというでかさ、
そしてなぜか爪楊枝が6本つきささっている。
その異様な光景に、異物混入??とつい悪い発想をしてしまうのは日本の暗い社会事情。
でもそれは、このとろーりチーズが包み紙にくっつかないようにの心遣いだった。
すてき☆と思いつつ、どうも効率いいやり方ではない気もするが。。

ま、とりあえず味わう。
マルゲリータなのでトマトソースにチーズ、これは一緒。
でも何が違うかって、その規格。
まずその大きさ、そして生地の厚み、チーズのたっぷりとろり加減。
すべてがビックピッツァ。
生地は厚くふわふわ。
今まで食べたピザは小麦粉の味わいをそのまま焼いていただく感じだったけど
それからするとこのふわふわはちょっと進化系?
うん、これはこれでおいしいかも。
しかし、でかい上に厚いこれ、私食べきれるかなぁ。
でも結局ぺろりと食べちゃった。
私の胃も大分イタリア人化してるな。

ふと、横を見ると、隣のベンチに
同じド派手なピンクの包み紙のピザをかじる
スーツ姿のビジネスマンが。
今まで出会ったイタリア人ならここで
声までかけなくても、一緒だねって目配せぐらいはするもんだが
その人は目線を避けるようにうつむいてぼんやりと食べている。
ミラノの人は都会人だからこげんあるのかな?
イタリア人らしく、ピンストライプのスーツをパリッと着こなしているけど
でもちょっと疲れてるように見える。。
どこの国でもお父さんは大変だよね。がんばって。

人を応援してる場合じゃない程ぐったりとした体を
ようやくきた電車に乗せて、一路住み慣れたフィレンツェに向かったのでした。

港町ジェノバで郷土料理を堪能

2010-06-14 23:49:40 | └☆イタリアぶらり旅
ポルトベネレを早朝に出発し
そのまま電車に乗って海沿いを北上
ジェノバにやってきた。
 
古くから、ベネチア、ピサなどとならぶ海洋国家として栄えたジェノバ
夢と欲望が混沌と膨らんだような形をしている。
 
コロンブスも夢描いた青い大海に
私も思いを馳せてみたかったけど
残念ながら白く煙る港、夢は霧の向こう。

気を取り直してランチ!
その土地の味をその土地で味わう事こそ旅の醍醐味。
 
整備された港公園に面したレストランに入る。
外の席に座って、冷たくひえた白ワインを頂く。
 
写真左はCapponmagro(カッポンマグロ)
この地方の伝統料理で魚や野菜をミルフィーユ状に重ねたもの。
とってもきれい!そしてとってもおいしい。
蒸したエビやムール貝、イワシと
軽くマリネされたお野菜やペーストなど
味のバランスがとっても良い。
見た目も味わいもなんかすっごくおしゃれ~。

右はジェノバの名前を冠したジェノベーゼパスタ。
これを食べる為にジェノバに寄ったと行っても過言ではない。
バジルの爽やかな香りとと松の実、チーズの芳醇な味わいが
オリーブオイルに溶け合ってとってもとってもおいしい
私の大好きなパスタ。
使われているパスタもトロフィエッティというこの地方のパスタ。
もっちりとした食感がよく
このねじっとした形状がペーストによく絡んでくれる。

味もいいし、盛りつけもきれい。
立地もいいし、お店も入りやすいし、
この地方の代表料理を外さないメニューってのが観光客にはありがたい。
いいお店見つけちゃった。

  
 
さて、おいしいごはんを堪能したら足早にミラノへ。
内陸地のフィレンツェと違ったおもしろさがありそうだし
もっとゆっくりみたかったけど、
今回ツアーでイタリアに来ている母を
ツアーの人達の所へ送って行かなければいけない。

雑多な物がひしめく町を抜け、駅へと向かったのでした。

<ランチをしたお店>
■i tre merli al porto antico
porto antico - palazzina millo Genova
tel 010.246.4416
http://www.itremerli.it/

女神の港 PortoVenere 三度

2010-06-13 22:52:56 | └☆イタリアぶらり旅
 
ツアーでイタリアへやってきた母
一旦、ツアーを離団して、母娘ふたり旅。
やってきたのはポルトベネレ。
海辺の小さなこの村が
私はとても気に入っている。
小さいだけに、のんびり落ち着いた佇まいと
小さいけれど、岬の教会や丘の上のお城など
ちょっとしたみどころもあったり、
何より静かな入り江の感じがよい。

ラスペッツィアからバスに乗り換えて行く。
ちょうど海水浴シーズン
海へ向かうバスは超満員、そしてとても賑やか。
他人同士なのに隣り合えば、そこら中巻き込んで話が弾む。
あのビーチに行くには一つ手前のバス停が便利だとか、
「これじゃぁ、俺たちイワシみたいだ」
と冗談半分に文句をたれる地元のおっちゃんにバス中が笑ったり。
面白いから、いちいち母に通訳して実況中継した。
 
ポルトベネレに到着。
今日も美しい。
 
海に面して建つホテルに宿をとった。
青い海がとてもきれい。
スタッフがアットホームに迎えてくれ
なかなか居心地も良さそうだ。

荷物を置いて、お腹が空いたのでまずはランチ。
前回フォカッチャをテイクアウトしておいしかったお店に行ってみた。
 
豆のサラダ。
これが何でもないけどとってもおいしかった。
野菜と豆、小エビにお酢とオリーブオイル、塩こしょう
多分それだけなはずなのにね。

そしておいしい、鮮イワシのフォカッチャ。
今回は私の好きなフルーツトマトじゃなくてちょっと残念だったけど、
でも、やっぱりこの薄くてパリッとした生地おいしい!

お腹を満たしたら、ちょっと町を散歩。
 
 
せっかくなので、
世界遺産チンクエテッレを廻る船に乗ってみた。
 
 
 
さっきまであんなに晴れていたのに
にわかに雲が広がりだして、ちょっと残念。。
 

リオマッジョーレで船を降りた。
 
  
そこから「愛の小道」を歩いて隣町まで行った。

あいにくの空模様。
銀色に煙る海を見ながら進む。
これも自然だね。

隣町マナローラに到着。
 
 
ジェラート食べて一休み。
天気が良かったら船で全部の村を廻ってもいいと思ってたけど
あいにくの天気だし、また船に乗ってポルトベネレへ。

岬の教会から、丘の上のお城までぐるっとお散歩。
 
ちょうど結婚式が終わった所なのか
教会前にライスシャワーで描かれたハート
それを食べるはとぽっぽ。
自然だね~。
 
 
ちょっとした勾配を上って丘の上のお城へ。
  
 

お城と言っても城壁とからっぽの部屋があるだけ。
でもこの見晴らしの良さ。
ここから遠くを眺めていると
なんだかすっきりする。
 
また急な坂道を、今度は町に向かって降り、
そのままお土産などを買いつつプラプラ散歩。
のんびりと一日が過ぎて行った。
母の参加しているツアーは今日
ラベンナ、ベネツィアを廻っているはず。
同じ一日でもずいぶんと違う一日だ。
 
宿に戻って、ホテルのレストランで夕食。
雨雲がドラマティカルに夕闇を連れてくる。
夕焼けの海が見たかったけど、
ま、これも自然だからね。
 
母が食べたいと言ったので生ハムの盛り合せ。
 
海鮮サラダに手長エビのパスタにあわせて
白ワインをいただく。

なんにも無理をしない自然のままに過ごすイタリアスタイルを
少しは楽しんでもらえたのかな?
ゆっくりと夜の帳は海を覆っていくのでした。

母イタリアに来る

2010-06-12 23:12:33 | └☆イタリアぶらり旅
母が日本からやってきた。
でもお嬢様育ちの母が一人で海外旅行なんて絶対無理なので
ツアーに参加してもらって、しかも
従妹と、叔父に付き添いまでついてもらってやって来た。
ちょっとした御一行様だ。

ローマから入ったツアーがフィレンツェに到着したところで
母を滞在先のホテルまで迎えに行った。
ホテルの場所はポンタセベーゼだって。
それってフィレンツェなの??
とりあえず、場所を調べて行く。
フィレンツェから電車で20分
でも、この景色。

じゃあーん、葡萄畑だけだねぇ。 
ま、こういうところがイタリアのいいところかもね。

ホテルに行く前に、早朝で朝ご飯まだだったから
駅前のBARで朝ご飯を買う。

あら、これおいしいじゃない。
焼きたてだったのか、ほんのりあたたかい。
ちょっぴり甘めのブリオッシュを食べつつホテルへ向かう。
 
とっても静かな朝、澄んだ空気の中、
町はまだすやすやと眠っている。
そっか、フィレンツェから遠いし、葡萄畑しかないけど
泊まって眠るだけだったら最適の環境なのかも。

ホテルのロビーで母と従妹と叔父と会って
今日は4人でトスカーナ観光。

まずはフィレンツェではずせないウフィツィ美術館へ。
母は一度来た事があるからもういいと言っていたけど
(一度見たからいいなんて言えない素晴らしい絵ばかりなにっ)
初イタリアの従妹と叔父のために寄った。
あまり時間がないので駆け足で
ハイライトの作品だけを案内した。
意外に私、絵画の説明等できるようになってて
絵画に関しては10ヶ月の勉強も伊達ではなかったみたい。

運良く並ばずに入れたドゥオーモとポンテベッキオを駆け足でまわって
トスカーナ名物ポルケッタのパニーノとビールを買って電車に飛び乗る。
なぜそんなに急いでいたかと言えば、
これからオルビエトに行くから。
オルビエトはフィレンツェから4時間程かかる。
それを半日で日帰りするのだからそりゃ走ってもらわなきゃね。


なぜオルビエトかと言えば、
叔父の知人からここにあるカバン屋さんがいいと勧められ
行ってみたいということだったので。
ちょっと遠いけど行けなくないし、
行きたいならぜひ行きましょ!てノリで。
でも長らく電車に揺られているうちに
叔父が冗談まじりに、電車の遅さに苛立ち始めた。
そうだねぇ、でもま、これがイタリアだから。
ま、のんびり車窓でも眺めて行きましょ。

長過ぎる電車の旅を終えてようやく到着。
1つのパニーノを4人で分けただけなので
腹ぺこな私たちはオルビエトに着いてまずは食事。
以前行った所はおいしかったけど、場所がちょっと奥まってるし
通りがかりで良さそうな所があればと歩きながら探す。
と、私の食いしん坊センサーがピンと立った。
路地に少し入ったところになんかおいしそうな匂いが。
中をのぞくとまだランチもやってるらしい。
ちょうど出て来たお客さんが「ここおいしかったよ」と教えてくれた。
そろそろランチタイムも終わる頃なのに満席。
忙しそうに働くお店の人をつかまえて
ちょうど空いた席に通してもらった。

メニューはみんなよく分からないというので
私が適当にみつくろった。
 
写真左はスカモルツァチーズの薫製。
ちょっと焼いてとろーりと。これほんとにおいしいの!
右は母のリクエストで鳩の煮込み。
しっかりとワインで煮込んであっておいしいとみんなは言ってた
けど、お肉が苦手な私は匂いだけでギブアップ。
 
左、カルチョーフィのパスタと右、トリュフのペンネ。
どちらもパスタの具合もソースの加減もよく
とってもおいしかった。
トリュフは香りもいいし、まず日本じゃこんなにたっぷり食べられない。
飛び込みで入ったのに、とってもおいしかった。
ここ、いいかも。

さて、おなかも満たして
本来の目的のカバン屋さんへ。
町の小さなカバン屋さん。
かわいらいい女性がカバンを作りながら売っている。
聞けば、全部彼女のハンドメイドだという。
すばらしい。
私がおしゃべりをしている間に
日本人観光客は、驚くほど精力的にお買い物をしていた。
物欲日本を見た気がした。

お買い物を済ませ、ちょっとだけ散策。
 
 
それにしても私、今日は全然写真撮ってないなぁ。
やっぱり土地に明るくない人を案内するって大変
立ち止まって、自分の写真を撮る余裕なんてないよ。

でも、ジェラート休憩は譲らないもんね。
 
冷たいジェラートで鋭気を養って
また、長らく電車に揺られてフィレンツェに戻る。


最後はお夕飯をお気に入りのパンデモンオで。
これまた、帰りの電車の時間があるのでゆっくりできず。
でも、食事こそが人生の楽しみ、たっぷり時間をかけていただくイタリアで
ささっと済ませるってことは至難の業。
何度か足を運んで、すっかり覚えられていたので
ウエーターさんにかけあって早く料理を出してもらった。
今日は団体も入ってて忙しそうだったのにごめんね。
おかげでおいしいご飯を頂いて
電車の時間にも間に合った~と思ったら
なんと電車がストライキ!!
ええ!?きいてないよ~~!
これだから、イタリア(怒)
慌てて、駅員さんをつかまえて聞いたら
最終の1本は走るというのでそれに母と従妹たちを無事乗せた。

のんびり時間のイタリアにいながら
日本のせっかち時間で動いたような
なんだか変な一日にたっぷり疲れ果てたのでした。