カメラといっしょ★

地元福岡~イタリア留学からワーキングビザ取得しての海外生活を写真で綴るつれづれ日記

海鮮スパゲッティ

2012-11-29 23:52:21 |  └・Ristorante/Trattoria
お友達と夕飯。
友達おすすめの安くておいしい海鮮のお店へ。

気取らない雰囲気がいいかんじ。
中央市場近くで場所も便利、
値段も手頃で、これは穴場かも。

お友達とのんびりと過ごす夕飯は、
ゆっくりと眠りにつく夜のように、
私を癒してくれるのでした。

スカンディッチの骨董市へ

2012-11-25 23:49:46 | └☆イタリアぶらり旅
フィレンツェの隣町、スカンディッチの骨董市へ
行くよ!と急に連れが言うので
自転車をとばしてついてった。

隣町とは言っても約5キロ、
自転車を風のように走らせ、お腹が空いたので、
まずは腹ごしらえ。
日曜日だけど1軒だけBARが空いていたので、ハンバーガーを食べる。
パンの種類や具、ソースを選べた。
あら、結構気が利いてる。

カウンターの向こうで、
ジュージューと不器用そうにハンバーガーを焼くおじちゃんの背中がかわいい。
そして、小学生ぐらいの息子さんが、
ボク、日曜も働くかっこいいお父さんの手伝いするぜっって、イキってエプロンして、
お父さんを見つめながら指示を待っている姿がさらにかわいい!
ああ~、ほのぼの日曜日。

空きっ腹にビールとハンバーガーを快調に流し入れ、
メルカート(骨董市)散策。
結構大きいのね。
 
 
かわいい、なつかしいおもちゃから
食器、家具、本、服、なんでも売ってる。
 
あ、いや、だからって、誰かが誰かに送ったハガキを売るのはやめようよ。。

ちょいちょいつっこみ入れつつ、
古き良きかわいいものを探すのは楽しい。
 
ひととおりぐるっと見て、屋台でおやつ。
これは「コッコリ」という揚げパン。
ほんのり塩味。(砂糖味もある)
揚げたてあつあつはおいしい。

冬の陽はつるべ落としより早く、
日曜日はほのあたたかな光を残しつつ暮れていくのでした。

今日のワイン☆A Elizabeth

2012-11-24 23:47:37 | └☆ワイン日記
ワインに興味を持ってからというもの、
いつもスーパーで手頃な値段を選んで買っていたのを
エノテカ(ワイン屋さん)に行って買うようにしてみた。

これ、近所のエノテカでle volpi e l'uva購入。
ラベルがかわいかったので、って
値段で選ぶのとあんまりかわらん。。

A Elizabeth
2011年
カンティーナ:Cascine delle rose
産地:イタリア北部、バルバレスコ
ぶどうの種類:ドルチェット
(酔いどれ覚え書き)
酸味すっきりシャープ
グレープフルーツのような酸味と少し渋み
渋みがぺったりしない、ドライ

今日のワイン
http://www.cascinadellerose.it/

おいしいスパゲッティ・カレッティエッラ!

2012-11-22 23:34:57 |  └・Ristorante/Trattoria
スパゲッティ・カレッティエッラは、
にんにくと唐辛子たっぷりのシンプルなトマトパスタ。
馬車の御者(=カレッティエッラ)という名を持つこのパスタは、
その昔、寒い中お客さんを待つ馬車の御者さんのために、
客待ちの短い時間に出来て、
かつ、にんにくと唐辛子で身体もあたたまるようにという一皿だとか。

さてそんな定番のシンプルなスパゲッティ、
定番だからこそ、シンプルだからこそ、
そのお店の力量が現れるというものだ。

おいしいスパゲッティ・カレッティエッラを出すお店があると、
バイト先のコックさんに聞き、さっそくみんなで出かけた。

フィレンツェの中心街を一歩でたところにあるこのお店、
でも、店内は満席。
やっぱり地元の人は知ってるのね~。

で、うわさのスパゲッティ・カレッティエッラのお味は。
にんにくたっぷりの旨味がなんともおいしい。
唐辛子はぴりっとアクセント程度でいい塩梅。
そして、がんばりすぎてない感じのスパゲッティが妙に安心する(笑)
いいね、いいよ、いい!
何度でも来たくなる町の食堂。
こういう感じ大好き!

満席の店内、賑やかなおしゃべりと笑い声に包まれて食べるカレッティエッラは、
身体も心もあたためてくれるのでした。


■Trattoria da Ruggero
Via Senese, 89, Firenze
tel 055 220542

北イタリア アルト・アディジェの旅~編集後記

2012-11-10 23:53:08 | ★編集後記

翌朝は雲が低く立ちこめ、冬の始まりを告げる。
さて、そろそろ家に、フィレンツェに帰りますか。

フィレンツェから実に470キロ
鈍行電車を乗り継いでやってきた長い旅路。
ガタゴトとのんびり進む鈍行列車は、
私の身体と心を一緒に運んでくれる。
あっという間に身体を運ぶ飛行機では、
否応無しに自分のスイッチを切り替えなくてはいけないけれど、
鈍行列車の車窓からは移り変わる景色をしっかり見ることができ、
変わっていく景色を見ながら、自分が移動している実感を得ることができる。
流れる景色を映す車窓に、
ぼんやりと色んな事を映し見る。
そんな鈍行列車の旅が私は好きだ。

ふと、列車の旅が大好きだった父を思い出す。
こんなことも遺伝子は伝えるんだろうかね、お父さん。
クールなふりしながら、でも子どもみたいに熱心に
車窓をのぞきこむ父の姿を思い浮かべてちょっとおかしくなった。

その旅が長ければ長い程、遠ければ遠い程
帰る時に胸がほっとあたたかくなる、そんな気がする。
旅とはもしかしたら、「行く」ことではなく、
「帰る」ことに意味があるのかもしれないと
ふと思う鈍行列車の窓辺なのでした。


この長い鈍行列車の旅は、次のサイトでも紹介中です↓
文藝春秋 CREA WEB「気になる世界の街角から」
イタリア・ローカル列車の旅~雪輝く美しきチロル山岳地方へ



北イタリア アルト・アディジェの旅(4)~マッレス

2012-11-09 23:55:26 | └☆イタリアぶらり旅
さて、途中下車のカステロベッロ駅から
次の電車に乗って更に山を上っていく。

車窓には、りんご畑と深い森。
そして切り立った雪山がどんどん間近に迫ってくる。
 
いくつかの小さな村を通過し、終点マッレス駅へ到着。

その先に広がるのは山と草原。。
そこからバスに乗り換えてさらに奥へ。
昨日行った鐘楼の建つレジア湖へ。

え?また行ったの??とお思いの方もいるだろう。
はい、行きます。何度でも。
そこに美しい光がある限り。

昨日はそこまで晴天というわけではなかったし、
山間の日没はずっと早く、
あっという間に山の陰に日が隠れてしまって、
思うような光でなかったのだ。

写真は一瞬の出会い。
その出会いは偶然であるから輝く一瞬だと分かっていても、
どうしてもその一瞬を貪欲に求めてしまう。
日頃、まっいっかと実にあっさり生きているほうだけど、
(もっとがんばれとも我ながら思うけど)
こと写真に関しては実に貪欲でしつこく、
こんな自分もあったのかと思ったりする。
とにかくである、
旅を延長した晴天の一日を、
昨日のあの景色にリベンジしたのである。

青空を映して昨日よりも青く輝く湖面。
明るい陽を受けて燃える紅葉。

輝く頂上の雪、太陽。

そこに見える全ての景色
美しい地球。
 
  
美しく雄大な自然に包まれて
穏やかな気持ちになって辺りを歩く。

よくあるささやかな景色にも涙が出そうになる。
溢れる光
それに向けて全てのもが手を広げる、
草木、水、山、空、空を泳ぐ雲、
この地球にある生命、それがある理由、
その答えが今、目の前にある。
私も習って、そっと手を広げる。
生かされている、
私は生かされている。
この森が、山が、湖が、
たくさんの偶然と必然の織りの中で、
そこにあるものとして存在するように、
私も今ここに立って、ここにあるものとして存在しているんだ。
たくさん傷ついた。
私の存在を否とするものに対抗する事も出来ず
心を固くして必死で身を守ろうとした。
でも本当は誰も傷つけようとなんてしていなかったのかも。
それは、時に強い風に折れる枝のような、
強い雨に削れる山のような、
日が陰れば輝かない湖のような、
そういうことだったのかもしれない。
もうやめよう、傷ついたことにこだわるのは。
でも手を広げて初めて分かる、
私自身がぽろぽろと欠けた身であることを。
探すんだ、亡くした私の欠片を。
それがこれから私ができること。
やるべきこと。

大きく空を見上げて、帰りのバスに乗る。
車窓を眺めながらふと思う。
亡くした欠片を探す事は、旅する事に似ていると。
だから私は無意識に旅をしていたのかもしれない。

車窓の景色に思わずバスを降りた。
夕日を明るく照らした紅葉に
丘にぽつんと建つ教会。

のんびり草を食む牛に、
遠くに見えるお城。
傾く日の光が引く影の美しさ。
今日一日が平穏に終わる事の至上の美。

数枚写真を撮って振り返って愕然とする。
ひよーん、、ただ風が吹く平原はどこまでも平原。
あれれ、もしかして、町の一つ手前だと思って
衝動的に降りたここは、随分手前??
次のバスは1時間後。
どうだろう、歩くが早いか。。
とりあえず歩いてみる
ガシガシと革のブーツがぬかるむのも気にせずに。
ガシガシガシガシガシ。。
遠くで牛が振り返る。
変な人間を確認して、興味がなさそうにまた草を食む。
人の牧草地だろうが道路だろうがかまわず横切って、
丘を転げ落ちる勢いで下ってようやく見えて来た町影。

あと、一息。
でも陽はとうに山の端に消え、若干の光を残すのみ。
暗くなる前に町につかなきゃっ。
ガツガツガツガツ
足がじんじんする程に歩調を強めて町を目指す。
  
セーーーフ。
なんとかついた~~~。

最後に残った今日の光に見送られて電車に乗る。
車窓はすぐに真っ暗に。
灯りのない景色はあっというまに闇に包まれていく。
 
泊まっているラブラには特にお店もないので、
メラーノまで降りてお土産の買い物。
これまたメラーノに住んでいたお友達に教えてもらった、
土地のお土産がまとめて売ってるお店。
名産品のスペックやワイン、ビールなど品揃えも豊富。
ワインやハムはその場で食べられたので、
ついでに夕飯もここで。
この地方は白ワインが有名。
良く分からないのでお店のお兄さんに聞いたら、
フルーティーでありながらボディのしっかりした味わいが特徴なのだそう。
一番のおすすめワインと、ハムの盛り合せをもらって晩餐。
ん~~、おいしい!
その土地の物はやっぱりその土地でいただくのが最高においしいね。
そのためならひとりご飯の寂しさもがまんできる大人にならなくっちゃ。
長い長い旅の空、ほろ酔い気分で夜は更けていくのでした。

北イタリア アルト・アディジェの旅(3)~ラブラ/カステッロ・ベッロ

2012-11-09 23:23:20 | └☆イタリアぶらり旅
北イタリア アルト・アディジェの旅、延長戦!

私の泊まったラブラという町は
メラーノから更に私鉄に乗って山を上った、
山間のとっても小さな町。

私も、あの宿が部屋を安くしていなければ
きっと通りすぎただろう小さなま町。
 
 
でもこの町にはこんなに輝く景色があった。
輝く雪山、深い森、煙たつ清流、
小さな白い教会、光を燦々と受けるりんご畑。

ここに立ち止まって良かったなぁ。。

さて、延長戦の今日、どうしよう。
とりあえず、また私鉄に乗ってみる事に。
そして次に途中下車して立ち止まったのは、カステロ・ベッロ。
昨日電車の車窓からお城が見えて、
ああ、窓越しでなく、ちゃんと写真撮りたいと思ったから。

とても静かな町。
水が流れる音だけがサラサラと響く。
ずっとここにいると、そのうち、
紅葉にひらひらと揺れる木漏れ日の音まで聞こえてきそう。
 
  
りんご畑にも近づきたかったので、そちらの方に歩く。
  
  
時折見かける村の人々。
お昼の買い物をして帰るおばあちゃん、
りんご畑で働く若者、
ここで暮らすってどんな感じだろうか。
こんな大きな山に守られて、
目新しい物は何もないけれど、美しい川と深い森、
毎日のりんご畑の仕事があって、
暖かな家に片寄せ合って家族で生きる、、
童話にでてくるみたいな幸せな生活なんじゃないだろうか。
こんな幸せがこの山間にだってあるのに、
どうして私はずっと旅をつづけているんだろう。。

りんご畑を電車が走る。
最新型の列車はこの自然の静けさを壊す事なく、
器用に山間を抜けて上っていく。
そして私をさらに上へ上へと運んでいくのでした。




北イタリア アルト・アディジェの旅(2)

2012-11-09 23:19:22 | └☆イタリアぶらり旅
北イタリア、アルト・アディジェの旅、
泊まった宿は本当に素敵な宿でした。

昨日、メラーノで夕飯を食べ終わって、今から行くからと宿に電話した。
泊まる宿はメラーノからバスに乗って随分離れた所、
シーズンオフで安くしてあったのでそこにしたのだけど、
知らない町の夜道は怖いのでバス停まで迎えに来て欲しかったのだ。
これからバスに乗るけどバス停まで迎えに来てくれる?と聞くと
あら、あなたどこにいるの?
今からメラーノまでお母さんを送りにいくから駅まで迎えにいくわ。
と、親切に申し出てくれた。
ありがとう、助かるわ、と迎えに来てもらった。
でも、顔も分からないし、ちょっと不安になりつつ駅で待ってると、
かわいらしい笑顔のお母さんが迎えに来てくれた。
良かったわ、見つけられて。
でもかわいらしいアジア人はあなたしかいないからきっとそうだと思って、とお母さん。
いやいや、お母さん、かわいらしいのはあなたです。
車にはお父さんもいて、豪華に二人でお出迎えいただいた。
車中、明るくてほがらかなお母さんに比べ、お父さんはだんまり。
静かな人なんだろうか、、イタリア人にしてはめずらしいと思っていたら
その理由をお母さんが説明してくれた。
私たちはチロルだからドイツ語なの。
お母さんのイタリア語もすっごくなまってるけど、
お父さんはほとんどイタリア語が話せないらしい。
ここ、イタリアなのに。。
でもなんだかおもしろくなってきた!
この夏、オーストリアに行って覚えたチロル地方の挨拶「ぐりゅすごっと」を披露すると、
お父さんが、おお!と喜んでくれた。
調子に乗って、唯一知っているドイツ語「あいんびーらびって(ビール下さい)」というと、
声を上げて笑ってくれた。
なんかちょっと仲良くなれたかもっ。

お部屋はとってもきれいで、新築なのと聞いたら、
そんなことないわ、もう何年も経ってるのよと。
でもそうとは思えないきれいさ、
たくさんの人が通り過ぎる宿のくすんだ感じはなく、
大人になって都会に出てしまった娘さんの部屋を借りてる感じ。
誰かのお宅におじゃましたみたいなアットホームな雰囲気。

そういえば、
明るくて丸くてちっちゃいお母さんと、
四角くて長くてシャイなお父さん、
なんだかウチの両親みたいだから、よりそう感じるのかな。。
 
よく眠れた一夜を過ごし、朝食。
カプチーノの甘いパンだけのイタリアの朝食ではなく、
ハムとチーズとライ麦を使ったパン、シリアルやヨーグルトまである
オーストリアの朝食と同じスタイル。
どれもとってもおいしかった。

そして大きな窓の外は晴天!
そして私は、むしゃむしゃとライ麦パンを食べながら考える。
たった1泊の貧乏弾丸旅行、本当は今日でフィレンツェに帰る予定だったけど、、、
こんなにきれいな青空を見せつけられて、
それでも私はお金がないからっておめおめと帰るのか。
否!
いや、撮るでしょう、この抜けるような青空を、
そこに映える山を、森を、湖を!

お母さんに聞いてみる、今日の夜も空いてる?
空いてるけど、今日も泊まりたいの?
とってもいい天気だから、一日延ばしたいの。いくらで泊まれるかな?
いいわ、昨日と同じ値段で。
本当に!ありがとう、じゃあ、今晩も泊まるね。
喜び勇んでカメラを持って外へ出る。

晴れ渡る空、標高が高い場所特有のピンと澄んだ空気
深い森が吐く霧に朝日が乱反射してえも言われぬ美しい世界を映し出す。
そこへ踏み出す喜び、
ああ、天気の神様ありがとう、この青空。

空に続くこの道を進んで、私の旅は続くのでした。

北イタリア アルト・アディジェの旅(1)

2012-11-08 23:55:56 | └☆イタリアぶらり旅
出発はまだ星の瞬く午前4時、
ガタゴトと重く走る鈍紺列車は、
私を北へ北へと押し上げる。

車窓に映る景色は、いつしか、
トスカーナの緑の丘陵地帯から、
雪を抱く切り立った山へと変化する。

イタリア北部アルト・アディジェ州、メラーノ駅。
国境の近いこの町では、表記がイタリア語とドイツ語になる。
ここで今度は私鉄に乗り換えて、
更に北へ、国境を目指して山を登る。
  
電車はつづら折りに路線を刻みながらぐいぐいと山を上っていく。
鮮やかに紅葉した山々、その頂にはもうやわらかに雪が積もっている。
車窓を過ぎていく小さな村の家はとんがり屋根。
雪深い地方の風景。
南国九州に育ち、今も温暖なトスカーナに住む私には
ちょっと見慣れない景色。
なんだかドキドキする。

列車はついに終着のマレスへ。
そこからバスに乗り換えさらに国境付近を目指す。

遥か遠くに見上げた山がもう目の前にある。
雪を抱く山、空を削るように猛々しく切り立つ、
なんて美しいんだろう。。

バスに小一時間揺られやって来た小さな町。
町の名前は知らない。
 
辺りはシンと静まり、風さえも音を潜めて通り過ぎる。
静かな世界の中で私は自分の声をきかずにはいられない。
 
澄み渡った空気は何も屈折させず、
ただ真っ直ぐに伝える、
空の青、山の端の鋭利な輪郭、森の紅葉、美しい光

私がここでバスを降りたのは、ある湖があるから。
湖の中に鐘楼が建つ湖。

去年一緒に暮らしていた旅好きのルームメイトがここを訪れ、
写真を撮りに絶対行った方がいいと私にお勧めしてくれたから。

電車とバスを乗り継いで、イタリアの果てまで来るこの経路を教えてくれたのも彼女。
今ここに、この幻想的な風景に立っていられるのは彼女のおかげ。
本当にありがとう。
  
山間の日は短く、太陽はまさに山に削りとられていく。
消えようとする光が描く最後の輪郭は、
私に強い衝撃を与える。
最後の瞬間。
その一瞬が描き出す恐ろしく悲しくそして甘い陰影。
私は、それを捉えることができただろうか。。

遠く、遠く、およそ450キロを今日一日で移動した私は
そのまままだ心だけがどこかに動き続けている。
 
長い一日、気付けばまともに食事もとらないまま移動し続けた。
メラーノに戻ってようやくの食事。もう夕飯だ。
以前メラーノに住んでいた友達に教えてもらったレストランへ。
ひとり飯が苦手という私に、
ここならカジュアルでひとりでも入り易いし、
ビールメーカー直営のお店で、
おいしいビールと土地のソーセージがあるよと教えてもらった。
その通り!
明るい店内と、ほどよく親切なおじさんの丁寧な対応、
そしておいしいビール!
疲れた体に染み渡って、ついお代わり。
おお、お代わりかい、と笑みを目元に浮かべておじさんが持って来てくれる。
ソーセージもおいしい!さすが北イタリア。
調子に乗ってシュトゥルーデル(シュトレーン)もいただく。
この地方の特産のりんごをたーっぷり使って
甘酸っぱいりんごのおいしさが口中に、いや体中に染み渡る。
はぁぁ~、おいしい。
このお店を紹介してくれた友達に感謝だな。

気の遠くなるような旅の果てに見た
終わりの景色の衝撃に
うっかり迷子になりそうだった私は、
おいしいものに活力をもらって我に返る。
我ながらゲンキンだ(笑)

今日は星空見えるかな。
あの終わりの景色をもう一度考えながら眠ろう。
そして私が聞いた私の声に答えを探してみよう。
そう思ってひとり歩く旅の空なのでした。

<夕飯を食べたお店>
■Bierstüberl Gatto Nero Merano
Via delle Corse, 12, Merano
tel 0473 233713
http://www.forst.it/it/forst/locali/?lc=gatto_nero_merano

新たな旅~アルト・アディジェ

2012-11-08 23:38:13 | └☆イタリアぶらり旅
朝4時、まだ星影うかぶ夜のフィレンツェを抜け出し旅に出た。
乗ったのは得意の鈍行列車。
何度も乗り継ぎ北へ北へとのぼる。
冷えきった車内で短い眠りを繰り返し、
車窓を流れる景色と夢の間を彷徨いつつ、
私は私を探している。

なんで無性に旅に出たくなったんだろう。
私のことを置いて先へと進む時計に追われるように春夏を過ごし、
ようやく時間のできた秋、
私を置いてった時計への腹いせだったのかもしれない。

寝ぼけ眼で降りる乗り換えのボルツァーノ駅。
真っ青な空と輝く今日が始まっている。

迫り来る山陰はもう私の見知らぬ景色。
トクンと胸が高鳴る。
イタリア北部アルト・アディジェへの
新たな旅が今始まるのでした。