カメラといっしょ★

地元福岡~イタリア留学からワーキングビザ取得しての海外生活を写真で綴るつれづれ日記

秋を探しに

2011-11-11 20:07:57 | └☆イタリアぶらり旅
私たちは秋を探しにバスに乗った。
 
バカンスでイタリアに来たのに、根っからの働き者の性分でうっかりバイト三昧のルームメイトと
仕事に私事にと何やら用事の多い私は、
同じ部屋に住んでいても、
会話をするのは眠りにつく前のほんの少しの間。
お互い忙しく毎日が過ぎていく中で、風景に目をやる時間がない。

ああ、きっと今頃は葡萄畑も色づいてるんだろうね~。。
うん、きっと。見たいね~。。
写真撮りたいね~。。

半分寝ながらうつろにかわされた会話でも、
元来行動派の私たちは次の休み、一緒にワイン畑へでかけた。
秋に染まった葡萄畑を見るために。
 
丘の上をどこまでも伸びる道ばたにぽつんとある小さなBARの前のバス停で降りた。
そのBARの建物を越してその向こうを眺めると、秋は広がっていた。

夏の鮮烈さを欠いたうす水色の秋の空が静かに今日を包み、
色づいた葡萄畑は丘に沿って波打ちその空の際まで広がっている。
収穫を終えた畑は色づいた葉をサラサラと風に揺らし、
まるで遠い昔を懐かしむ老人のように穏やかにやさしく佇んでいる。 
 
その足下でじゃれる子犬のように私たちははしゃいでまわる。
乾いた葉の香りをいっぱいに吸い、柔らかくごろっと大きな大地を踏みしめて歩く。
やわらかな風が私たちを追い越していく

狩り残しの葡萄をみつけてひとつぶ味見。
しゅわっと渋つく皮の下からぎゅっとした濃い葡萄の味が溢れ出す。
んっぱ、、おいしい~。
それはまさしく今見ている風景の味、秋の味。

あふれる秋の光に包まれて、ああ、心地いい。
秋野原の散歩。
のんびり雲がついてくる。

葡萄畑の次はオリーブ畑。
どこまでも豊かなトスカーナの大地。
伸びやかで力強くあたたかい。

私はこの景色がとてもとても大好きだ。
世界中のどんな絶景より、この景色を見たくてここにいる。
それは大きな腕に包まれているようで、とても安らぎ、
そして、その目に見える景色の美しさは
そのまま、生きとし生けるものの美しさ、命の感動だと思い知る。

さて、たくさん歩いて、のびのび秋の散策を楽しんだ私たちが
最終的に見つけた秋は”食欲の秋”。
バスを乗り継いで、パンツァノのハンバーグ屋さんへ。

このお肉のおいしさ、まぎれもなく。
秋のすきっぱらを十分に満たしてくれる。
そして結果、ここへたどりつくのは確信犯だった私たち、
持ち込みワインをあけて、おいしいお肉とゆっくり秋のランチを堪能。
帰りのバスはうとうとと、瞼の向こうに葡萄畑の紅葉の黄色を感じながら、
小さな秋を捜す旅の一日はくれていくのでした。