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”りょうちゃん、チョコレートケーキが食べたいねん”と
その天使はいつも突然電話をかけてくる。
バラ色の頬に浮かぶ黒い瞳はいつも好奇心に輝いて、
天使のようにくったくのない私のお友達。
なぜ、彼女がそんな電話をかけてくるかというと、
私のお気に入りのチョコレート屋さんのケーキを
彼女もすっかり気に入って、
「チョコレートケーキ=りょうこ」という
へんなパブロフの犬的条件反射が備わってしまったらしい。
よく晴れたその日もそんな電話を受けて家を出た。
突然の予定変更は楽しいし、
おいしいチョコレートケーキも
腰までとどく長い黒髪をゆらしながら嬉々と動き回る彼女も大好き、
どっちも私を元気にしてくれる。
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お店のショーケースに並ぶジュエリーみたいにキラキラのケーキ達!
あれ?でも、、なんか、私の求めていた物がないっ!
このお店、ケーキは日替わりというわけではないけど、
いつも違う物が並んでいるのだけど、
今日はなぜか全部ホワイトチョコケーキ。
ホワイトチョコも好きだけど、
私、カカオをしっかり感じるビターチョコが好き。
特になんだかくたびれ果てている心持ちの今、カカオの元気が必要なのに。
今日はビターチョコのケーキはないの?って聞いたら、
奥から顔をだしたショコラティエのお兄ちゃんが、
「今朝起きた時、ぱあっとホワイトチョコのイメージが浮かんだんだっ」と嬉しそうに話す。
そっかぁ、なら仕方ない。
って、きっちりした日本では仕方ないっですまされない事だけど、
朝起きて、今日作るケーキのインスピレーションを受けて、
揚々と仕事を始めるおにいさんを想像すると、
なんだかそれでいいような気がした。
さて、写真左、私の注文したホワイトチョコのムース。
ホワイトチョコはまったり感を押さえたやさしい口当たり、
赤いベリーの酸味がきいてとってもおいしい。
右は友達が注文したピスタッキオのホワイトチョコケーキ。
これがまたべらぼーにおいしかった!
ピスタキオの香ばしさ、かおり、少し大人びた実の味わいを
漏らす事なく、濃縮しすぎる事なく、ホワイトチョコにのせて
それはそれは魔法みたいに素敵なおいしさ。
チョコはビターだと私が決めつけてしまわないなら、
世界にはこんなにおいしいものがあるって知ることができる。
私がわたしを決めつけてしまわないなら、
どんなことだって見つけられる、何にだってなれるんだ。
小さなケーキに勇気をもらって、
よく晴れた秋の日はほんの少しスピードを上げて過ぎてゆくのでした。
■ Coccole Cioccolato
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