夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

ア・トリビュート・トゥ・ジャパン

2013-06-06 23:36:16 | JAPANの思い出・洋楽


このアルバムは、1996年に発売されたジャパンのカバー曲集で、音楽評論家の市川哲史氏(岡山県出身らしい)が日本の様々なアーティストに呼びかけて実現した。

1.ライフ・イン・トウキョウ(kyo&ALIEN’s STRIPPER)
2.オートマティック・ガン(Scudelia Electro)
3.エイント・ザット・ペキュリアー(藤井麻輝/RYUICHI)
4.ジ・エクスペリエンス・オヴ・スウィミング(Le Fou)
5.フォール・イン・ラヴ・ウィズ・ミー(SUICIDE)
6.クワイエット・ライフ(SUGIZO)
7.サンズ・オヴ・パイオニアーズ(R.H.D)
8.コミュニスト・チャイナ(バーニングファイアー featuring SHOTA)
9.ヴィジョンズ・オヴ・チャイナ(土屋昌巳)
10.ナイトポーター(TORRID)

もともと音楽シーンに詳しくない私は、このCDを手に入れた当時、LUNA SEAのSUGIZO、RYUICHI(河村隆一)と土屋昌巳くらいしか知らなかったのだが、各ミュージシャンがジャパンの楽曲のどれを選択し、どのように解釈し表現したか、興味深く聴いた。

今回、久しぶりに聴き返して、いくつか印象に残った曲を摘記すると、1.は、「ライフ・イン・トウキョウ」のハードロック・ヴァージョン。ジャパンにとっては、エレクトロ・ポップ路線へのターニング・ポイントとなった曲だが、この曲では初期ジャパンに逆行し、更に激しくしたようなサウンドになっている。

3. 「エイント・ザット・ペキュリアー」は、4thアルバム『孤独な影』に収録されていた、スモーキー・ロビンソンのカバー曲。つまり、カバーのカバーになるわけだ。河村隆一は7.「サンズ・オヴ・パイオニアーズ」とこの曲で、自作の日本語の歌詞を付けて歌っており、その意味でも興味深い。河村隆一の粘っこい自己陶酔気味のヴォーカルは、きっと賛否両論だろうが、この曲の雰囲気には合っている。私としては、原曲のサウンドをあまり崩していない7.の方が好き。3.は、曲名を見なかったら、たぶん途中までその曲とはわからない。サビのメロディと、間奏の原曲ではリコーダーで奏でられていたフレーズ(カバーではシンセ)で、ようやくそれとわかった。

4.「ジ・エクスペリエンス・オヴ・スウィミング」は、リチャード・バルビエリ作曲のインスト曲。アルバム未収録曲で、私は12インチシングル版『ナイトポーター』のB面で初めて聴いた覚えがある。こんなマイナーな曲を選んでくるところにも、ジャパンへの並々ならぬ傾倒を感じる。SUGIZOは、この曲と6.「クワイエット・ライフ」の2曲で参加。当時、LUNA SEAのツアー等で多忙だったにもかかわらず、「なんとか俺に2曲演らせて貰えませんか?」と市川哲史氏に要求し、6.では初ヴォーカルまで披露してしまったという。氏が言うように、筋金入りのジャパン・フリークだ。

9.「ヴィジョンズ・オヴ・チャイナ」は、原曲のリズムはほぼそのままに、よりオリエンタルな雰囲気の楽曲に仕立て上げた作品。土屋昌巳のヴォーカルは、やはり(かつて間近で聴いていたからか)デヴィッドの歌唱法によく似ている。この曲でベースとサックスを演奏しているKIM MORRISONは、ミック・カーンの偽名という認識でよいのだろうか?(ご存知の方、お教えください。)


…そういえば、ジャパンはデビュー曲も「パレードに雨を降らせないで」(バーブラ・ストライサンド)のカバーだったし、「セカンド・ザット・エモーション」(スモーキー・ロビンソン)、「オール・トゥモロウズ・パーティーズ」(ヴェルヴェット・アンダーグランド)といったカバー曲もある。しかも、それらが非常にセンスがよく、見事にジャパン・サウンドとして消化(昇華)されていた。(特に最後の曲は素晴らしい。)
今回この、ジャパンに捧げるアルバムを聴いて、たとえばこのミュージシャンが今「スウィング」とか「メソッズ・オヴ・ダンス」といった曲をカバーしたらどんな曲になるだろう、などといろいろ想像してしまった。と同時に、オリジナルの楽曲の素晴らしさを改めて認識した。解散して年月を経ても、なお様々なアーティストに影響を与え続けるジャパンの存在感を思う。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。