夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

短歌集成 その2 夏歌

2014-03-08 20:49:36 | 短歌
夏歌

時鳥
夏の朝(あした)待つとなけれどほととぎす今日の初音はなほぞうれしき(2013/5/15)
薔薇
神の国ぞ思ひやらるる目もあやに咲ける薔薇(さうび)に時を忘れて(2013/5/24)
五月雨
五月雨(さみだれ)に時を得がほにかはづ鳴き蓮の浮葉(うきば)をこゆる池水(2013/6/19)
紫陽花
昨夜(よべ)までも降りつる雨のなごりとて露置きそふる紫陽花の花(2013/6/16)

蓮葉(はちすば)の露吹く風の涼しさに仏の国もかくやとぞ思ふ(2012/7/14)
蓮葉(はちすば)に風吹き結ぶ露見ればむべこそ玉と人のいひけれ(2013/6/16)
百合
山路には秋とおぼえて吹く風に知られずにほふ白百合の花(2012/8/24)
入道雲
見るままに果ても知られずわきおこる雲の白さよ空の青さよ(2012/8/18)

夏歌は四季の歌の中ではもともと、『古今集』以降、勅撰集でも歌数が少ない部立(ぶだて)である。むしろ私としては、今回整理してみて、思ったより歌を詠んでいたのに驚いた。時鳥と蓮くらいしかないだろうと思っていたのだ。花の歌が多い一方で、菖蒲を詠んでいないのは我ながら悔やまれる。