夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

合格体験記

2014-03-03 23:46:29 | 教育
以前、「合格体験記を作成中」という記事(2012/3/16)でも書いたように、私は勤務校では進学指導課に所属しており、毎年この時期に、「大学入試合格体験記」というのを編集している。入試でめざましい成果を上げた生徒に依頼して原稿を書いてもらい、私がPCで清書・編集する。みなそれぞれに傾聴すべき体験や意見を言ってくれる中で、今年はひときわ優れたものがあった。

その生徒は、決して入学時の学力が高いとはいえないコースから、推薦入試で難関国立大学に合格した生徒であり、今回初めて知ったのだが、1年生のときからすでにこの大学に行こうと決心し、そのためにやるべきことをすべてやって、必然的に合格を勝ち取ったのである。読んでいて、特に感銘を受けたくだりを紹介する。

私が歩んだ三年間を踏まえて、後輩の皆さんに向けてアドバイスをするならば、「勉強・心構え・生活態度の全てに自分の基準を決める」ということに尽きます。そして、三年間をいかに自分が決めたマニュアル通りにこなすか、いかに自己計画を立てられるかが大事だと思います。この行動をしていると、何かに迷ったときに、落ち着いて軌道修正ができます。

大学受験は、おそらく皆さんが考えているよりも大変です。そして、成績を上げることや維持することも簡単ではありません。だからこそ、志望校を早く決めることで、勉強をするためのやる気をもっと出すことが大切だと思います。勉強は、短い時間であっても集中して続けていれば、自然と結果がついてくるものだと思います。私は、皆さんにも、大学に合格したときの達成感を是非味わって欲しいと思います。

こうした記述に、すっかり圧倒されてしまった。いったい、どちらが教師かわからない。
私は高校のときは、全然こんな風に明確な目標、明確な計画をもって3年間を送ったわけではなかった。(今でも怪しい…。)

この生徒は、定期考査では常にトップクラスを維持し、資格取得に有利な部活動に入り、生徒会で活動(副会長、生徒会長)する一方、2年次には大学案内を取り寄せ、ホームページを閲覧するなど、常にモチベーションを保つ努力を怠らなかった。また、担任や学年担当教員、両親や友人などのアドバイスや協力を得るなど人の輪を大切にして、周囲から望まれながら合格という目標を実現した。
先日の卒業式では、卒業生代表として答辞を読み上げたが、内容も態度も非常に立派なもので、この心構えがあったればこそ、限られた時間の中で、行動を最適化し、自分の環境条件を存分に活用しつつ、充実した高校生活を楽しむことができたのではないかと思った。
どんなにたくさんの本を読むより、こうした実例を目の当たりにするほうが、ずっと参考になるし、教えられる。教師生活というのは、孔子の言う「三人行けば、必ず我が師有り」を知らずに毎日実践しているようなものだと感じる。