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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

枝垂桜に御挨拶。

2009-03-29 22:46:02 | 花雑記
 ソメイヨシノはまだまだですが、
 テディちゃ、枝垂桜が咲いていましたよ~♪

「これはァ、ネーさ、はなやかァでスねッ♪」

 私たちは東京住まいですが、
 他にも有名な枝垂桜が各地にありますね。
 京都・円山公園の枝垂桜、
 そしてやはり京都の、
 京都府庁旧本館中庭にある枝垂桜も
 たいそう美しいのだそうです。
 桜の開花に合わせて、
 旧本館は一般公開される予定なので
 この春、京都旅行へお出かけする御方は
 府庁のHPなどで情報収集を!

「テディちゃもォ、きょうとへェ、ゆきたいよォ~!
 うえェ~んッ!」 (←激うそ泣き…)

 ネーさも京都へ行きたいわ~! 
 えぇ~ん!! (←激マジ泣きです…)

 ― 人形の船が海をゆく ―

2009-03-29 12:51:43 | ブックス
(おや? どこからか、ミャー、ニャー、という鳴き声が……?)

「むむッ、ねこッ!
 でもォ……おかしィでスねェ?
 ねこなんてェ、どこにもいないィでスよねッ、ネーさ?」

 ここにはいなくてもね、テディちゃ、
 御本の中にはいるかもしれないわ。
 例えば、そう、この一冊の奥深くに、ひっそりと……


 
           ―― 猫を抱いて象と泳ぐ ――


 
 著者は小川洋子さん、’09年1月に発行されました。

(おやや? 今度は、チリ、チリリ、と鈴の音が……?)

「やぱりィ、ねこッ!
 ねこがァ、どこかにィいるみたいィ!」

 そのようですね。
 おそらく、その猫の名は、ポーン。
 そして、猫を抱いているのは或る少年。
 少年の名は……
 いえ、猫を抱くそのひとは、こう呼ばれています。
 リトル・アリョーヒン。

「ありょゥひんッ?」

 むかし、アレクサンドル・アリョーヒンさんという
 偉大なチェスプレイヤーがおりました
 (アリョーヒンはアレヒンとも表記されます)。
 その棋風ゆえ《盤上の詩人》と讃えられた御方です。

 アリョーヒンさんは、リトル・アリョーヒンの憧れです。
 愛猫家であったアリョーヒンさんと同じく、
 リトル・アリョーヒンもまた
 猫を抱いてチェスを指します。
 ただ、寡黙な彼は、
 盤の下から指すことを選びました。

「ふむゥ、ふしぎなァやりかたァでスねッ」

 最初の頃は、
 テーブル型のチェス盤の下で。
 それがやがて、
 人形の内側へ。

 歴史に名高い自動チェス指し人形“トルコ人”を模して作られた
 “リトル・アリョーヒン”。
 
 “リトル・アリョーヒン”は、船なのです。
 リトル・アリョーヒンにチェスを教えてくれた人物は言いました。
 チェスの海は広い、と。
 人形“リトル・アリョーヒン”の暗いキャビンに
 小さな身体を潜め、
 リトル・アリョーヒンは大海に漕ぎ出します。

 魔法のような自動人形“リトル・アリョーヒン”の誕生/完成でした。

「ほんとにィ、まほうゥ!」

 名誉のためではなく、
 金銭のためではなく、
 さらには勝つためでさえなく、
 すべての欲から解き放たれて小さなアリョーヒンは
 人形を操ります。

 海は深く、広大にして、流れは千変万化し、
 波は騒ぎ、凪ぎ、
 “リトル・アリョーヒン”の航路は果てしもなく。
 澪の間に、
 世にも美しい棋譜を漂わせて。

「おんがくがァ、きこえてきそゥな、ちぇすゥ、でスゥ♪」

 盤下の詩人の航跡を綴るのは、
 詩そのもののようなものがたりです。
 宝石にも比すべき
 リトル・アリョーヒンの《奇跡》の光、
 2009年ベストに数えられることになる御本でしょう!
 ポーンの鈴の音を聴きながら、
 まばゆいチェスの海へ、本好きさんは、ぜひ!