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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 旅する絵ノ具箱 ~

2025-03-14 22:03:04 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ほゥほゥほゥ! はッぴィ~ほわいとでいィ~!」

「がるる!ぐるがっるーる!」(←訳:虎です!皆でハッピーに!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 ハッピーホワイトデー!な金曜日ですね。

 美味しいもの&可愛いものを贈り合って、

 互いにハッピーを分け合ったら、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

           ―― ゴッホ 麦畑の秘密 ――

 

 

 著者は吉屋敬(よしや・けい)さん、

 2025年1月に発行されました。

 画家ヴィンセント・ヴィレム・ファン・ゴッホさんの生涯を追う

 ”伝記紀行”作品です。

 

「ことしもォ、てんらんかいィ、ありまスよゥ!」

「ぐるるがるるぐる!」(←訳:7月に大阪で開幕!)

 

 『ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢』は、

 大阪市立美術館で2025年7月に始まり、

 その後、東京都美術館、愛知県美術館へも巡回する予定です。

 また、最近はフリーマーケットで発見された絵画が

 ゴッホさんの作品だ!いや違う!と、

 欧米のアート界で大問題になっていて、

 あらためて、ゴッホさんの人気の高さがよく分かりますね。

 

 ゴッホさんは、↑このような競争状態とは無縁の、

 オランダの北ブラバンド州で1853年に生まれました。

 フランスで没したのは、1890年の7月。

 画家を目指したのは1878年末以降、とされていますから、

 絵筆を握った期間は、12年足らず……。

 

「みじかいィ!」

「がるぐる!」(←訳:でも濃い!)

 

 ゴッホさんの人生は、

 熱心な研究家さんが多いこともあって、

 すべてではありませんが、

 細かな点まで判明しています。

 

 生地、父との衝突、職業を転々とし、

 ロンドンで就職するも失恋、

 大陸に戻って絵を学び始め……と

 幾つもの岐路の中から、

 著者・吉屋さんが目に留めたのは、

 ゴッホさんの、”画家前夜”。

 

 絵の具に塗れ、いかにも”画家です”な

 フランスでの日々より昔、

 画家になるなど思いもよらなかった

 暗鬱な毎日。

 

 今は廃坑となっている

 オランダ・ポリナージュ地方の炭鉱で、

 ゴッホさんは伝道のお仕事をしていました。

 

 『天空の城ラピュタ』の炭坑町のような、

 いえ、炭鉱夫たちの生活はもっと貧しく、過酷を極め、

 彼らに寄り添って生きようとしたゴッホさんは、

 伝道師の協会からクビにされてしまいます。

 伝道の仮免許も、再発行は無し。

 

「なんでスかッ、それはッ!」

「ぐるるる~!」(←訳:ムカつく~!)

 

 怒りと、失望。

 

 闇の底のゴッホさんを救ったのは、

 やはり、というべきでしょうか、

 絵でした。

 

 デッサンを描く。

 好きな画家の作品を模写する。

 ただもう、描く。

 

 この頃――オランダ時代のゴッホさんの作品は、

 暗い色調の、重苦しい主題のものが多く、

 炭坑に閉じ込められているかのようです。

 

 そんなゴッホさんの暗い色調を変えたのは

 ……ルーベンスさん!

 

「むッ? ぱとらッしゅッ?」

「がる??」(←訳:ネロ??)

 

 ゴッホさんが生まれ育ったのは、

 レンブラントさんに代表される

 プロテスタントの美術文化の地。

 比べるに、

 アントワープの街で出会ったルーベンスさんの絵画は、

 色調は明るくはっきりとして、

 人物表現に動きがある

 バロック芸術。

 

 光を見つけた。

 

 と、ゴッホさんは感じたのでしょうか。

 

 さらに光を求めて、

 さあ、パリへ。

 

「まだァたりませんッ!」

「ぐっるがる!」(←訳:もっと南へ!)

 

 麦畑で力尽きるまで、

 ゴッホさんが探し求め続けた

 ひそかな光、

 あたたかな光。

 

 ちょっぴりフィクションを交えながら、

 著者・吉屋さんは丁寧に、

 ゴッホさんにまつわる場所を訪ね、

 思索を深めてゆきます。

 その旅の記録を、

 アート好きな皆さま、ぜひ♪