テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 森を歩めば、出逢うのは ~

2024-07-16 22:03:24 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 おおゥ! しんはッけんッでスよゥ~!」

「がるる!ぐるがるるるるぐる?」(←訳:虎です!月に地下洞窟がある?)

 

 こんにちは、ネーさです。

 月の『静かの海』地下に巨大な洞窟があると

 イタリアなどの研究チームが科学誌に発表しました。

 うわあ、どんな空間なんだろう?と想い巡らせながら、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― 射手座の香る夏 ――

 

 

 著者は松樹凛(まつき・りん)さん、

 2024年2月に発行されました。

 『Bood - bye, Our Perfect Summer』と英語題名が付されています。

 

 第12回創元SF短編賞受賞作を表題とする

 著者・松樹さんのデビュー作品集には、

 

 『射手座の香る夏』

 『十五までは神のうち』

 『さよなら、スチールヘッド』

 『影たちのいたところ』

 

 の4作品が収録されていますよ。

 

「ぱちぱちぱちィ~!」

「ぐるるるがるぅー!」(←訳:めでたきデビュー!)

 

 hale(はれ)さんによる

 涼やかな碧色の装画が美しい表紙を捲れば、

 目に飛び込んでくるのは、

 表題作品『射手座の香る夏』です。

 

 創元SF短編賞受賞作、ということで、

 読む側としては、ちょっと身構えてしまいますけれど、

 物語の始まりは……

 夜の山。

 

「ううゥ、なにもォ~みえないィ……!」

「がるるる~…!」(←訳:怖いよう~…!)

 

 陽は落ち、辺りは闇一色。

 そこを、懸命に歩いているのは

 10歳の少女・美菜(みな)さん。

 

 美菜さん、後悔しています。

 ひとりで山に入ったこと、

 日が沈む前に帰るべきだったこと……

 そういった”山の約束ごと”をきちんと守っていれば、

 こんな恐怖を味わう羽目にはならなかった、と。

 

 足元も見えない真っ暗な森の中、

 頼りになるのは音と匂いだけ。

 わずかな川の匂いを捉えて

 美菜さんは進んでゆき、するとそこに。

 

 遠くで、小枝の折れる音が。

 

「ひいィッ!」

「ぐるるるがる!」(←訳:ますます怖い!)

 

 鹿か、

 それともヒグマか。

 

 動揺した美菜さん、段差で転倒してしまいました。

 疲れ果てた彼女に

 起き上がる体力は残っていません。

 もう、いいか、とすべてを諦め、

 目を閉じると。

 

 不思議な匂い……?

 

「えッ? においィ?」

「がるぐるる!」(←訳:ああ本当だ!)

 

 ラベンダーのような、甘やかな匂いがする?

 

 顔をあげた美菜さんは、はっきりと目撃しました。

 

 狼が、いる。

 

 青い瞳の、

 真っ白な体毛の、

 この世の何よりも美しい

 狼がいる。

 

「……えッ?」

「ぐるっ??」(←訳:ええっ??)

 

 白い狼とは、いったいまた……?

 と考える間もなく、

 物語はここから一気に”SF”な展開へ

 突入してゆきます。

 

 白狼と邂逅した美菜さんは、

 どんな世界へ帰ってゆくのか、

 そこに彼女の居場所はあるのか――

 

 はい、これ以上は、ネタバレ禁止!ですので、

 皆さま、書籍を手に取って、

 美菜さんとともに旅をしてみてくださいね。

 巻末の、飛 浩隆さんによる解説も併せて、

 ぜひ、一読を♪

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする