テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ いま、500年の眠りから ~

2024-07-01 22:03:06 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 うううゥ、なんだかァちがうゥ~…?」

「がるる!ぐるるるがる~…!」(←訳:虎です!違うんだよう~…!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 期待を胸に拝見した6月30日夜放送の『BLACK JACK』は……

 高橋一生さんのBJはさすが!の造形力でしたが、

 物語がね、手塚治虫さんの物語ではありませんでした……

 しょんぼり落ち込む気持ちを切り替えるために、

 さあ、本日の読書タイムは、

 こちらの御本で元気よく行きましょう~!

  

 

 

            ―― お梅は呪いたい ――

 

 

 著者は藤崎翔(ふじさき・しょう)さん、

 2024年2月に発行されました。

 五月女ケイ子(そおとめ・けいこ)さんによる

 パワフルな表紙イラストがと~っても印象的ですね。

 

「……うむむむゥ! よかんがァ、しまスよゥ!」

「ぐ~るがるる!」(←訳:悪~い予感が!)

 

 悪い予感や、不安な気持ち。

 

 そういった

 “ネガティブな感情”というものを

 大好物としているのが、

 この物語の主人公――お梅さんです。

 

 なぜなら、お梅さん、いわゆる

 《呪いの人形》なので。

 

「ひいいいィ!」

「がるぅ!」

 

 お梅さんがこの世に誕生したのは、

 現在から500年ほど昔の、戦国時代。

 

 とある大名家の、

 幼いお姫さまの遊び道具として作られたお梅さんは、

 赤い着物に白い足袋、

 切り揃えたおかっぱ頭の、

 頬に笑みを浮かべたお人形さんです。

 

 ……しかし、その笑みは、

 本物の笑みでしょうか。

 

「あわッ、あわわッ!」

「ぐるるがるる!」(←訳:予感が現実に!)

 

 そう、お梅さんは意志を持つ人形。

 呪いたい!

 呪ってやる!と

 呪いこそ、お梅さんのレゾンデートル(存在理由)なんですね。

 

 お梅さんにとって、

 呪いを向ける対象は、誰でもいい。

 敵も味方もありません。

 幼少時からの遊び相手のお姫さまも、

 お姫さまが輿入れした先の武将も、

 片端から、呪いに呪って滅ぼしてゆく。

 

 ただ、あんまりにも呪いまくったためか、

 頑丈な木箱に封じられてしまったんですけど。

 

「ふうゥ! よかッたでス!」

「がっるぐる~!」(←訳:ホッとした~!)

 

 そうして、時は過ぎ。

 お梅さんは自然消滅……するなんて、甘い、甘いですよ、

 見通しが甘過ぎます。

 

 関東地方のある田舎町で、

 築100年以上の古民家が解体され、

 押入れの奥から古めかしい木箱が発見されたのです。

 木箱の蓋は、

 作業員さんの手であっさり開けられて、

 ついに、お梅さんが現世へ再び……!

 

「にッ、にげましょうゥ!」

「ぐるるっるがるる?」(←訳:逃げるってどこに?)

「かッ、かいがいィとかッ?」

「がるぐるがるるる!」(←訳:でもいま円安だし!)

 

 解き放たれたお梅さんの呪いは、

 はたして、誰に向けられるのか。

 そして、呪いの成果は。

 

 オープニングから、ぷふふ、うふふ、と笑わせられる

 呪いの人形=お梅さんの物語は、

 一種の時間旅行者の悲喜劇、とも申せましょうか。

 エンタ好きな活字マニアさんはもちろん、

 ミステリ好きな方々にもおすすめですので、

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

コメント
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