テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 画布にレンガを積み上げて ~

2024-04-12 22:03:45 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 むッ? かしわもちィ?」

「がるる!ぐるるがるる~!」(←訳:虎です!端午の節句だ~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 春の訪れを告げる桜餅から、

 さわやかな新緑を映す柏餅へ――

 季節のうつろいをお菓子に読み取りながら、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

         ―― 名画と建造物 ――

 

 

 著者は中野京子(なかの・きょうこ)さん、

 2023年10月に発行されました。

 名画に描き入れられた建造物――

 教会、城、橋、船、塔、風車、劇場、駅、といった

 ”建てもの”を論ずる美術エッセイ作品です。

 

 20編で構成される本文の、

 『作品1』として先ず取り上げられているのは、

 エドワード・ホッパーさん作

 『線路脇の家(House by the Railroad)』(1925)。

 

「……どことなくゥ~みおぼえがッ??」

「ぐるっる!がるる!」(←訳:わかった!アレだ!)

 

 エドワード・ホッパーさん(1882~1967)。

 ホッパーさんの代表作品は、というと、何を措いても

 『ナイトホークス』でしょう。

 夜の街角をこの上なく印象的に切り取った作品は、

 いまもなお大人気ですが、

 『ナイトホークス』が”夜の絵画”だとするならば、

 青空を背景とする『線路脇の家』は

 ”昼間の絵画”である、はず……はず、なのに。

 

 暗い。

 なんとはなしに、昏い。

 

 その理由というのが。

 

「えいがァ、なのでスゥ!」

「がっるぐるるるる!」(←訳:ヒッチおじさんの!)

 

 著者・中野さんは語ります。

 

   『線路脇の家』誕生から35年の時を経て、

   この作品に目を留めたのは

   映画監督のアルフレッド・ヒッチコックさん。

 

   新作の要になる家を探していたヒッチコックさんは、

   『線路脇の家』のモデルとなった実物の家を探し出し、

   自作『サイコ』に投影したのだ――

 

   父親の遺産でモーテルを営む青年が

   母親と一緒に暮らしている

   丘の上の、ゴシック風の一軒家。

   この『家』には、秘密がある……。

 

「がくぶるゥ!」

「ぐるるるる!」(←訳:怖すぎるよ!)

 

 映画好き、ヒッチコックさん好きな方々には

 よく知られたエピソードでしょう。

 しかし、『サイコ』作中の写真と

 『線路脇の家』の図版を

 セットにして解説されると

 映画を観終えたときの重苦しさ、薄気味悪さが

 じわじわと背中を這い上がってきます。

 

 21世紀の現在も、

 壁の色こそ塗り変えてあるとはいえ、

 確固と実在しているという『家』の内部は、

 そこに住み暮らしている人びとの日々は、歴史は、

 いったいどんなものなのか……?

 

「たぶんッ、きッとォ~…」

「がるるるぐるがる!」(←訳:知らない方がいい!)

 

 怖ろしくも魅力的な『線路脇の家』に始まり、

 モネさん作『サン・ラザール駅』、

 ワーシリー・スリコフさん作『銃兵処刑の朝』、

 カナレットさん作『カナル・グランデの入り口』……と、

 美術史&建築史上にさり気なく、

 或いは、華々しいファンファーレと

 スポットライトの中央に君臨する建造物たち。

 

 アート好きな活字マニアさんに、

 建築好きな方々にも

 おすすめのアートエッセイ作品です。

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪

 

コメント
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