「こんにちわッ、テディちゃでス!
むッ? かしわもちィ?」
「がるる!ぐるるがるる~!」(←訳:虎です!端午の節句だ~!)
こんにちは、ネーさです。
春の訪れを告げる桜餅から、
さわやかな新緑を映す柏餅へ――
季節のうつろいをお菓子に読み取りながら、
さあ、読書タイムですよ。
本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― 名画と建造物 ――
著者は中野京子(なかの・きょうこ)さん、
2023年10月に発行されました。
名画に描き入れられた建造物――
教会、城、橋、船、塔、風車、劇場、駅、といった
”建てもの”を論ずる美術エッセイ作品です。
20編で構成される本文の、
『作品1』として先ず取り上げられているのは、
エドワード・ホッパーさん作
『線路脇の家(House by the Railroad)』(1925)。
「……どことなくゥ~みおぼえがッ??」
「ぐるっる!がるる!」(←訳:わかった!アレだ!)
エドワード・ホッパーさん(1882~1967)。
ホッパーさんの代表作品は、というと、何を措いても
『ナイトホークス』でしょう。
夜の街角をこの上なく印象的に切り取った作品は、
いまもなお大人気ですが、
『ナイトホークス』が”夜の絵画”だとするならば、
青空を背景とする『線路脇の家』は
”昼間の絵画”である、はず……はず、なのに。
暗い。
なんとはなしに、昏い。
その理由というのが。
「えいがァ、なのでスゥ!」
「がっるぐるるるる!」(←訳:ヒッチおじさんの!)
著者・中野さんは語ります。
『線路脇の家』誕生から35年の時を経て、
この作品に目を留めたのは
映画監督のアルフレッド・ヒッチコックさん。
新作の要になる家を探していたヒッチコックさんは、
『線路脇の家』のモデルとなった実物の家を探し出し、
自作『サイコ』に投影したのだ――
父親の遺産でモーテルを営む青年が
母親と一緒に暮らしている
丘の上の、ゴシック風の一軒家。
この『家』には、秘密がある……。
「がくぶるゥ!」
「ぐるるるる!」(←訳:怖すぎるよ!)
映画好き、ヒッチコックさん好きな方々には
よく知られたエピソードでしょう。
しかし、『サイコ』作中の写真と
『線路脇の家』の図版を
セットにして解説されると
映画を観終えたときの重苦しさ、薄気味悪さが
じわじわと背中を這い上がってきます。
21世紀の現在も、
壁の色こそ塗り変えてあるとはいえ、
確固と実在しているという『家』の内部は、
そこに住み暮らしている人びとの日々は、歴史は、
いったいどんなものなのか……?
「たぶんッ、きッとォ~…」
「がるるるぐるがる!」(←訳:知らない方がいい!)
怖ろしくも魅力的な『線路脇の家』に始まり、
モネさん作『サン・ラザール駅』、
ワーシリー・スリコフさん作『銃兵処刑の朝』、
カナレットさん作『カナル・グランデの入り口』……と、
美術史&建築史上にさり気なく、
或いは、華々しいファンファーレと
スポットライトの中央に君臨する建造物たち。
アート好きな活字マニアさんに、
建築好きな方々にも
おすすめのアートエッセイ作品です。
ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪