テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 綺堂さんの《お江戸大事典》 ~

2024-04-04 22:04:40 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 もうゥ~ちょッとォ……あとォ~ちょッとォ?」

「がるる!ぐるがる!」(←訳:虎です!あと少し!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 ニュース画像を見たところでは、

 上野・不忍池周辺のサクラはきれいに咲いていましたが、

 ここ八王子ではようやくスタートライン、でしょうか。

 お花見ができるのは来週かなぁと予想しつつ、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― 綺堂 江戸の話大全 ――

 

 

 著者は岡本綺堂(おかもと・きどう)さん、

 編者は岸井良衞(きしい・よしえ)さん、

 2023年11月に発行されました。

 

 岡本綺堂さん(1872~1939)は、

 東京府東京市生まれの東京っ子――

 というより、筋金入りの江戸っ子さん、と御紹介でしょうか。

 

 現在の港区のあたりに生まれ、

 新聞記者を経て小説家・劇作家として活躍、

 代表作は

 『半七捕物帳』(1917)、

 『番町皿屋敷』(1917)、

 『修善寺物語』(1918)と、

 ”歴史もの””時代もの”を得意とする綺堂さん、

 作品中のあちこちに

 江戸の風景や情緒、

 独自の文化・習慣を描いています。

 

 この御本は、

 綺堂さんの作品中から拾い上げた

 《江戸の事物百科事典》

 のようなもので。

 

「あいうえおォじゅんにィ~」

「ぐーるるがる!」(←訳:ドーンと紹介!)

 

 例えば。

 

 文京区本郷に現存する『団子坂』、

 名の由来は諸説あるようですが、

 綺堂さんによれば、

 

  『昔はあの坂に団子を焼いて売る茶店があったので、

   団子坂という名が残っているのだそうでございます』。

 

「ちゃみせのォ、おだんごッ!」

「がるるるるぐる!」(←訳:美味しそうだね!)

 

 『団子坂』の文章は、《地理》の章に収められています。

 他に、《飲食》《町人》《医薬》などの章があり、

 《娯楽》の章には、↓こんな項目と解説も……。

 

  『御神籤(おみくじ):

   廓(くるわ)という世界に生きている人たちに対しては、

   うらないや御神籤が無限の権力をもっていた』

 

「むむゥ~…これはァ~…」

「ぐるるがるる……」(←訳:悲しいお話だ……)

 

 『不忍の池浚い(しのばずのいけさらい)』、

 『獣肉屋(ももんじいや)』

 『放し鰻(はなしうなぎ)』

 『疝気の稲荷(せんきのいなり)』

 『鼠の天ぷら(ねずみのてんぷら)』

 『温気(うんき)』……

 

 今はもう忘れられてしまった風物、

 消えつつある情景にも、

 ちゃんと名前があって、

 しっかり意味もあったのだと、

 綺堂さんの作品は伝えています。

 

 また、項目によっては

 数行の解説文ではなく、

 短い随筆をそのまま収録しているものもあり、

 本文404ページの

 『狐(きつね)』では、

 綺堂さんの叔父さんが

 夕暮れ時の田んぼ道で

 キツネに化かされかけたエピソードが

 迫真の筆で語られているので、

 笑っちゃったり、感心もしちゃったり。

 

「おえどのォ、きつねさんにはァ~」

「がるぐるる!」(←訳:油断すまじ!)

 

 江戸の昔を、岡本綺堂さんの作品から今にたどり、

 ゆったりと思い馳せる『江戸の話』事典は、

 《半七》シリーズファンの方々や

 時代小説好きな活字マニアさんに

 ぜひのおすすめですよ。

 

 巻末には、

 『江戸歳時記』や『江戸年表』も収録されていますから、

 歴史好きな方々も一読してみてくださいね~♪

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする