「こんにちわッ、テディちゃでス!
もうゥ~ちょッとォ……あとォ~ちょッとォ?」
「がるる!ぐるがる!」(←訳:虎です!あと少し!)
こんにちは、ネーさです。
ニュース画像を見たところでは、
上野・不忍池周辺のサクラはきれいに咲いていましたが、
ここ八王子ではようやくスタートライン、でしょうか。
お花見ができるのは来週かなぁと予想しつつ、
さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― 綺堂 江戸の話大全 ――
著者は岡本綺堂(おかもと・きどう)さん、
編者は岸井良衞(きしい・よしえ)さん、
2023年11月に発行されました。
岡本綺堂さん(1872~1939)は、
東京府東京市生まれの東京っ子――
というより、筋金入りの江戸っ子さん、と御紹介でしょうか。
現在の港区のあたりに生まれ、
新聞記者を経て小説家・劇作家として活躍、
代表作は
『半七捕物帳』(1917)、
『番町皿屋敷』(1917)、
『修善寺物語』(1918)と、
”歴史もの””時代もの”を得意とする綺堂さん、
作品中のあちこちに
江戸の風景や情緒、
独自の文化・習慣を描いています。
この御本は、
綺堂さんの作品中から拾い上げた
《江戸の事物百科事典》
のようなもので。
「あいうえおォじゅんにィ~」
「ぐーるるがる!」(←訳:ドーンと紹介!)
例えば。
文京区本郷に現存する『団子坂』、
名の由来は諸説あるようですが、
綺堂さんによれば、
『昔はあの坂に団子を焼いて売る茶店があったので、
団子坂という名が残っているのだそうでございます』。
「ちゃみせのォ、おだんごッ!」
「がるるるるぐる!」(←訳:美味しそうだね!)
『団子坂』の文章は、《地理》の章に収められています。
他に、《飲食》《町人》《医薬》などの章があり、
《娯楽》の章には、↓こんな項目と解説も……。
『御神籤(おみくじ):
廓(くるわ)という世界に生きている人たちに対しては、
うらないや御神籤が無限の権力をもっていた』
「むむゥ~…これはァ~…」
「ぐるるがるる……」(←訳:悲しいお話だ……)
『不忍の池浚い(しのばずのいけさらい)』、
『獣肉屋(ももんじいや)』
『放し鰻(はなしうなぎ)』
『疝気の稲荷(せんきのいなり)』
『鼠の天ぷら(ねずみのてんぷら)』
『温気(うんき)』……
今はもう忘れられてしまった風物、
消えつつある情景にも、
ちゃんと名前があって、
しっかり意味もあったのだと、
綺堂さんの作品は伝えています。
また、項目によっては
数行の解説文ではなく、
短い随筆をそのまま収録しているものもあり、
本文404ページの
『狐(きつね)』では、
綺堂さんの叔父さんが
夕暮れ時の田んぼ道で
キツネに化かされかけたエピソードが
迫真の筆で語られているので、
笑っちゃったり、感心もしちゃったり。
「おえどのォ、きつねさんにはァ~」
「がるぐるる!」(←訳:油断すまじ!)
江戸の昔を、岡本綺堂さんの作品から今にたどり、
ゆったりと思い馳せる『江戸の話』事典は、
《半七》シリーズファンの方々や
時代小説好きな活字マニアさんに
ぜひのおすすめですよ。
巻末には、
『江戸歳時記』や『江戸年表』も収録されていますから、
歴史好きな方々も一読してみてくださいね~♪