「こんにちわッ、テディちゃでス!
むッ? あのォこえェはァ~…つばめくんッ!」
「がるる!ぐるる~!」(←訳:虎です!早いね~!)
こんにちは、ネーさです。
今朝7時頃のこと、
ピピピチチチという声がして……これは、ツバメくんの歌声!
あらら、もう来ちゃったの?と慌てつつ、
のびやかなツバメくんの歌を伴奏に、さあ、読書タイムです。
本日は、こちらのノンフィクション作品を、どうぞ~♪
―― エミール・ガレ ――
著者は山根郁信(やまね・いくのぶ)さん、
2024年1月に発行されました。
『資料で紐解く、人と作品』と副題が付されています。
「がらすのォ~まじゅつしィ!」
「ぐるるるるがるる~!」(←訳:親日家さんだよね~!)
エミール・ガレさん(1846~1904)。
19世紀後半から20世紀のフランスを代表する
ガラス工芸家さんであり、
陶器や家具のデザインも手掛けたアート・ディレクターさん、
また工房の経営者でもあったガレさんは、
日本でとても人気が高いアーティストさんであり、
しばしば展覧会が開催されていますね。
この御本は、
アールヌーヴォー/アールデコ研究家の著者・山根さんが
ガレさんの展覧会図録等に寄稿した論考、
小論と未発表の一次資料を加えてまとめた
ガレさんに関する論考・史資料集である……と、
冒頭の『はじめに』に記されていますが、
いやもう、すっごいです!
「なんたるゥ~くわしさッ!」
「がるぐるるるるる……!」(←訳:真の研究家さんだ……!)
ガレさんの生い立ちから、
学校での評価、友人たち、
自社工場で始めた家具制作、陶器の制作、
1878年のパリ万博に作品を出展して大反響を得、と
次々に明らかにされてゆくガレさんの足跡の、
なんと”リアル”なこと!
リセでの課題作文では1等(優秀賞)をもらって、
でも素描(デッサン)はちょっと苦手で、
父・シャルルさんからチェスを習い、
さまざまな日本の美術品、そして、
『北斎漫画』と出会ったのは
おそらく1867年のパリ万博だったろうか――
あまりにも緻密綿密な山根さんの”追いかけ”ぶりに、
今ごろ天国のガレさんは苦笑いしているに違いない、
なんて思ったりもしましたが。
「まさかァ、がッこうのせいせきィまでッ」
「ぐるるるるぅるがる……!」(←訳:バラされちゃうとは……!)
私ネーさが個人的に、
えええっ?そうなの?と驚嘆しましたのは、
ガレさんとパリの社交界のかかわりが窺える
『ガレとモンテスキウ伯爵』(本文268ページ)。
プルーストさん著『失われた時を求めて』の
シャルリュス男爵のモデルとされ、
他に、ユイスマンスさん、ジャン・ロランさん、
ド・レニエさんたち文学者にも影響を与えたという
ロベール・ド・モンテスキウ=フザンサック伯爵は、
ガレさんに社交界への扉を開いてくれた恩人、
いえ、大恩人なのだと、
聞き知ってはいたんですけど。
或る火災事故が原因となって、
伯爵は誹謗中傷の被害者に?
その余波で
伯爵とド・レニエさんが決闘することになって、
ガレさんと絶縁する事態にも?
どれもこれも初耳で、信じられないというか、
開いた口が塞がらないというか。
さらにまた、
混乱にとどめを刺すかのように
続章(本文275ページ)で取り上げられているのは
伯爵の著書――『モンテスキウ 回想録』。
はたして、比類なき美の審判者として社交界に君臨した
モンテスキウ伯爵の眼に、
ガレさんはどのように映っていたのか……。
「けんかはァ、だめでスよゥ!」
「がるるぐるる~!」(←訳:絶縁も止めて~!)
虹色のガラスに今も息づく、
小さな虫たち、魚たち、貝殻や花茎、
波のかけら。
ガレさんの生涯に、作品に、
新たな光と視線をもたらす労作は、
アート好きな活字マニアさんにおすすめですよ。
図版資料も必見!ですので、
アールヌーヴォー好きな方々は、
ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪