「こんにちわッ、テディちゃでス!
くううゥ~! きゃッこいいィ~!」
「がるる!ぐるるがる~!」(←訳:虎です!みんな踊れ~!)
こんにちは、ネーさです。
宇多田ヒカルさんの最新アルバム『SCIENCE FICTION』、
とりわけRe-Recording『traveling』が素晴らしくて、
何度も聴き入っております。
PVも新版を作ってくれないかな~とこっそり願いつつ、
さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― 脇役たちの西洋史 ――
編者は有光秀行(ありみつ・ひでゆき)さん、
鈴木道也(すずき・みちや)さん、
2024年2月に発行されました。
『9つのライフ・ヒストリー』と副題が付されています。
この御本に収録されているのは、
9人の執筆者さんによる、
聖人、騎士、学者、重臣、地図職人や予言者などなど
8世紀から19世紀に実在した
”時代の主役”……ではなくて、
ひとクセもふたクセもある《バイプレイヤー》さんたちの
ライフ・ストーリーです。
「わきやくゥさんッ、でスかッ?」
「ぐるがぅるるる?」(←訳:主役じゃなくて?)
御本の『まえがき』では、↓こう述べられています。
《これから登場するのは、
歴史の教科書に太字で記されるような、
いわゆる歴史上の人物ではない》
《時代の主役とまではいえず、
それどころか
主役に相対して惜しくも敗れたライバルでもない》
そう、主役ではない、主役ではない……んだけど、
地味な彼らは、
歴史の舞台に欠くことのできない
バイプレイヤーのような存在である、と。
その一例が、
第2章『世界で最高の騎士』で語られる
ウィリアム・マーシャルさん。
「うしろだてェ、なしィ?」
「がるるぐるるがる?」(←訳:地位も領地もなし?)
ウィリアム・マーシャルさんは、
1146年頃、近衛大将職にあるジョンと
貴族の子女であるシビルを親として生まれました。
ただし、ウィリアムさんは、第四子。
当時、長男・次男ではないウィリアムさんが
親の財産や土地を相続する可能性は、ほぼゼロですから、
頼りにすべきは、
自分の腕と、才覚だけ。
「がんばッ!」
「ぐぅるる!」(←訳:ファイト!)
ウィリアムさんの孤独な戦いは、
わずか5歳、父母が恋しくてならぬ年頃から始まります。
人質として、イングランド王の宮廷へ。
やがて人質の役目から解放された彼は、
ノルマンディーに渡って騎士見習いとなり、
父の死の直後には騎士に叙任されました。
英仏の王族たちの闘いが初陣となって、
数々の戦いを生き延びたのち、
母方の叔父・ソールズベリ伯に仕えるも、
叔父は謀殺され、ウィリアムさんは捕虜に……。
「はわわァ~…」
「がるる……!」(←訳:激動だ……!)
釈放されたウィリアムさんが新たに仕えたのは、
ヘンリ若王(1155~1170)。
王のもとでウィリアムさんは順調に出世してゆきますが、
妬みそねみの標的にされてしまい、
若王の宮廷を離れて、大陸へと旅立ちます。
ただ、皮肉なことに、
心ならずもヘンリ若王と袂を分かったウィリアムさんの
”騎士としてのステップアップ”は
完全に右肩上がりでした。
大貴族たちとも親しい、馬上槍試合の名手。
イングランドやウェールズのあちこちに領地を得て、
もはや大富豪。
ジョン王(1167~1216)に請われて宮廷に戻り、
晩年の称号は
《国王と王国の保護者》。
「のぼりィつめましたでス!」
「ぐるがる!」(←訳:ほぼ天辺!)
財産あり、領地あり、実績あり、
名声もあって人望もあって、人脈もある。
ウィリアムさんは、その気になれば、
王座に手が届いた、のかもしれません。
が、それをしなかった。
王ではなく、
騎士である自分を選んだ――
主役ではなく、脇役である自分を。
他にも、脇役ひと筋!な傑物さんたちが
各章でキラリと輝きを放っています。
第7章『国王の天地学者として生きる』も
歴史好きな活字マニアさんにおすすめですよ。
”王になろうとしなかった男たち“の物語を、
ぜひ、一読してみてくださいね~♪