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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 天狗さんに訊いてみよう ~

2020-11-10 23:22:39 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ゆけゆけェ、どらごんッ!」
「がるる!ぐるがる~!」(←訳:虎です!準備開始~!)

 こんにちは、ネーさです。
 宇宙飛行士・野口聡一さんが搭乗する
 《クルードラゴン》の打上げは5日後の11月15日……
 ケネディ宇宙センターでは
 ロケットを発射台へ移送する作業も完了したようです。
 無事の打ち上げ成功を祈りながら、
 さあ、地上の私たちは読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  



       ―― お腹召しませ ――



 著者は浅田次郎(あさだ・じろう)さん、
 画像の文庫新装・改版は2020年8月に発行されました。
 短編6作品と、エッセイ1編が収録されています。

「こここッ、こわいィ~!」
「ぐるるがる!」(←訳:題名が怖い!)

 御本表紙のイラストと
 『お腹召しませ』という題名からは、
 おどろおどろしくも不穏な緊迫感が
 漂ってきます。

 お腹を召す……

 江戸期の武家に於いて
 不祥事が出来(しゅったい)した場合、
 それはつまり、
 どうやって責任を取るのかといえば、
 ”切腹”――

「あわわわわァ~…!」
「がるる~!」(←訳:止めて~!)

 世間よ、すまん!
 我が命をもって詫びよう!
 いざ切腹!
 いやでもやっぱり、
 死にとうない!
 
 と、絶体絶命のピンチに追い込まれた
 当事者さんたちの胸の内を描く
 『お腹召しませ』は、
 インパクト度も高くて、
 もちろんおススメなんですけれども。

 私ネーさのイチのおススメ作は、

 『大手三之御門御与力様失踪事件之顛末』!

 あ、読み方はですね、
 『おおてさんのごもんおよりきさましっそうじけんのてんまつ』
 ですよ。

「ふわァ~…」
「ぐる~…」(←訳:長い~…)

 天保初年の夏の、
 或る晩のことでした。

 大手番所で夜詰にあたっていた
 横山四郎次郎(よこやま・しろうじろう)さんが、
 行方知れずになったのです。

 夜詰の番士たちが
 他にも大勢いるというのに、
 いったいどこへどうやって
 アイツは消えたのだ?と
 横山さんの同僚の
 長尾小源太(ながお・こげんた)さんは
 首を傾げます。

 これは……もしや……

 大の男がまさか……とは思うが……

 神隠し……?

「そッ、それもォ~」
「がる~っ!」(←訳:怖い~っ!)

 驚き呆れつつも、
 それ以外に有り得ない、となれば、
 長尾さんも上司さんたちも、
 横山のヤツは天狗さまにさらわれたのだと
 認めぬわけにはゆかぬとしても。

 長尾さんは考えます。

 どうやって、ではなく。

 なぜ。

 なぜ、四郎次郎さんが
 天狗さんにさらわれたのか、
 その理由は……?

「りゆうゥ??」
「ぐるるるがるぐる?」(←訳:神隠しに事情あり?)

 ミステリに加え、
 江戸の文化、風俗も、と
 様々な要素をよいしょっと詰め合わせた
 四郎次郎さんの物語をはじめ、
 6作品いずれにも
 浅田さんらしい仕掛けが施されています。

 短編小説好きな御方、
 時代小説好きな活字マニアさんは、
 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪