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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 海にて、出逢う ~

2020-11-08 23:20:27 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 かしつきィ、かしつきィ~!」
「がるる!ぐるるがるる!」(←訳:虎です!加湿で保湿を!)

 こんにちは、ネーさです。
 秋冬は保湿って大事よね……
 そろそろ加湿器を引っ張り出そうかしら?
 それとも最新型に買い替えるべきかな?
 などと思案に暮れつつ、
 さあ、読書タイムです。
 本日は、こちらの文庫作品を、どうぞ~♪

  



      ―― 海の上の美容室 ――



 著者は仲野ワタリさん、2020年8月に発行されました。
 題名と、表紙のイラストからも
 お分かりでしょうか、
 物語の舞台は、“海の上”といいますから――

「ふねッ、でスねッ!」
「ぐるる!」(←訳:客船だ!)

 いままさに、
 大海原へ出発しようとしている豪華客船、
 《ぎんが丸》。

 “小山のような”
 と表現するに相応しい大型船の内部には、
 いくつものレストラン、
 映画館や図書館、
 プール、大浴場まで完備されていて、
 万事が快適♫

 楽しい船旅ができることは
 間違いありません。
 
 ……ただし、それは。

 お客さまとして
 船に乗り込む場合に限りますが。

「ふあんとォ、きたいィ!」
「がるぐるるるる!」(←訳:胸が高鳴ります!)

 三品明(みしな・あかり)さんは
 横浜港の大さん橋に佇み、
 《ぎんが丸》の偉容を見上げています。

 この船に、乗る。

 そう、明さんは今、
 《ぎんが丸》に
 乗り込こもうとしているところでした。

 船客ではなく、
 乗務員として。

「それはァ、もしやッ?」
「ぐるるがる!!」(←訳:美容師さん!)

 《ぎんが丸》内には、
 『ビューティー・ホライズン』という名の
 美容室があります。

 明さんは『ビューティー・ホライズン』の
 スタッフとして採用された
 新人乗組員さんなんです。

 つい先日まで
 明さんが働いていた美容室は、
 ごく当たり前の、というか、
 普通に陸(おか)の上にある店舗でした。

 けれど、ワケあってそのお店を辞し、
 次の働き場所として見つけたのが
 海の上の美容室
 『ビューティー・ホライズン』だった、んですね。

 今日からここが私の仕事場!……と思えば、
 明さん、
 武者震いをし、
 不安にもなります。

 だって、
 客船なんて
 一度も乗ったことがない……!

「まいごにィ、なりそうゥ!」
「がるるぐるる?」(←訳:船酔いしそう?)

 それでも、もう後戻りはできません。

 《ぎんが丸》は横浜を出港後、
 台湾の高雄や香港など
 異国の港を巡る旅程を組んでいるので、
 明さんのパスポートには
 既に出国スタンプが捺されています。
 出港の時刻も近付いてきました。

 はたして、
 陸から遠く離れた
 海の上の美容室で、
 何が明さんを待っていたのか――?

「あれもォこれもォ~」
「ぐるるがるる!」(←訳:初めて尽くし!)

 ネット書店さんの紹介文では、
 お仕事小説、とありますが、
 船に乗る人びとの出逢いのドラマ、と
 ゆるやかに、大らかに捉えた方が
 より愉しめるように思えます。

 美容師としての日常、
 船の上という空間の非日常、
 その対比と、
 海の青。

 海外旅行が難しくなってしまった今年だからこそ、
 新鮮な驚きをもって共感できる
 美容師・明さんの旅のものがたりを、
 皆さま、ぜひ一読してみてくださいね~♪