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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

はてなき言葉の森。

2010-10-28 23:02:13 | ブックス
 今秋の風邪は鼻に来るようです。
 こんにちは、せっかくインフルエンザ予防接種を完了したというのに、
 鼻風邪を引いてしまったネーさです。

「こんにちわッ、テディちゃでスゥ~♪」
「がるるー!ぐるるるー!」(←訳:虎ですー!ボクらは元気ー!)

 元気が足りない寒~い雨の日は、
 読み手の手元を温かく照らすランタンのような
 美しい物語の世界へ飛び込みましょう!
 活字マニアの皆さま、本日は、こちらを、どうぞ~!



               
                       ―― 原稿零枚日記 ――




 著者は小川洋子さん、’10年8月に発行されました。
 内容ももちろんですが、今回の御作もとても美しい造本ですね!
 扉ページ写真の天使さんのオブジェ、そして表紙画は
 小杉小二郎さんの作品、
 装釘は水木奏さんによるものです。

「うむッ! きゃわゆいィでス!」
「ぐるるがるー!」(←訳:この絵好きだー!)

 『猫を抱いて象と泳ぐ』の衝撃も未だ冷めぬまま、
 新しく刊行された小川さんの御本は……
 筋書きを紹介するのがちょっと、いえ、だい~ぶ難しい作品です。
 ただ……読んでいて、ふっと想い起こされるのは
 漱石さんの『夢十夜』でしょうか。
 どこかしら、ほのかに怖いような、
 一睡の夢のおぼろな記憶のような……。

 御本の語り手であり、
 たぶん主人公であるのは、
 『私』。

 『私』は夢見ます。
 小説を書いて、
 新人賞を獲って、自分の本を出したい、と。

「さッかさんッ、でスかッ!」
「ぐるるがるぐる!」(←訳:作家の卵さん!)

 けれど、
 『私』は小説執筆とはまた別種の《書くこと》で評価を得ます。

 あらすじを、書くこと。

 『私』が下読みし、作成したあらすじは、
 大勢の編集者から賞賛されました。
 
 『私』は、複雑な気持ちになります。
 あらすじよりも、
 小説を書く方が得意だったらいいのに。

 その思いに苦しめられながらも
 どうしてか、『私』はあらすじ係を止められません。

 やがて、あまりに傑出した出来となった『私』のあらすじは、
 切なく、
 それでいて甘やかで尊い、
 昇華の時を迎えるのですが……

「ふゥむゥ~?
 すじがきッってェ、ふしぎィでス!」
「ぐるるがるがる!」(←訳:良い筋書きは天使だよ!)

 強い印象を残す、
 『一月のある日(火)公民館の事務室から電話があり、
 《あらすじ教室》の講師を頼まれる。』他の、
 小説を書きたいのだけれど、
 今日もまた筆は進まず、
 字で埋まった原稿用紙は零枚、という『私』の日々。
 
 21世紀の《日記文学》を、
 活字マニアさんは、ぜひ~!

「がるぐるがるる!」(←訳:今年のベストBOOKかも!)
「だねッ!!」