テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

ボクらは飛べる。

2010-10-07 23:27:16 | ブックス
 きゃー! 窓ガラスにヤモリが! (←実話です)

「たいへんでスゥ!
 あそこにィ、みたことないィいきものがッ!」
「がるっ?ぐるるっ?」(←訳:猫っ? イタチっ?)

 あれは……おこじょ??
 イタチに似てるけどもっと小さいわ!(←これも実話です)
 ふぅー、初めて拝見いたしましたよ。
 こんにちは、ここは本当に住宅地なの?と疑ってしまうネーさです。

「こんにちわッ、テディちゃでス!」
「がるるっ!」(←訳:虎ですっ!)

 ヤモリにオコジョにクマにトラ……
 いえ、さらなる珍奇な動物さんたちが大挙出演!な一冊がありますよ。
 動物大好きな活字マニアさん、本日は、こちらを、どうぞ~!


 
              ―― ペンギン・ハイウェイ ――



 著者は森見登美彦さん、’10年5月に発行されました。
 現在、本屋さん店頭の文庫新刊コーナーでは
 森見さん著『有頂天家族』のタヌキちゃんたちの表紙画が異彩を放っておりますね。
 京都を舞台にした物語の主人公は、由緒あるタヌキ一族でしたが――
 
「うむッ? こんどはァ、ぺんぎんッ?」
「ぐるるっがるっ?」(←訳:京都でペンギンっ?)

 ええ、題名に『ペンギン』とあるのは伊達じゃございません。
 ペンギンくんたちが、よちよち、てこてこ、と歩くのは、
 しかし、京都ではなくて……。
 
 舞台は、とある郊外の街。
 主人公は、小学校四年生のアオヤマくん。
 
 アオヤマくんの視点から、
 アオヤマくんの語りで、物語は披(ひら)けてゆきます。
 
 父と母と妹と。
 家と学校と、歯医者さん、カフェに、ときどきは祖父母の家。
 アオヤマくんの周辺は、そういったモノで出来ておりましたが、
 5月の或る日、そこへ。

 ペンギンが割り込みます。

「ほッ、ほんとのォ、ぺんぎんッ、でスかッ?」
「ぐるるがるるるる?」(←訳:ピングーじゃなくて?)

 ペンギンですよ、ピングーではないのです。
 白と黒の、ペンギンくんたち。
 最初は、誰かがペットとして飼っていたのを捨てたのだろう、
 と思われました。
 が、ペンギンくんたちは、またも現れました。
 公園から一列になって歩いてきて、
 わっ! 危ない!
 車がペンギンたちの行列に!

「ひゃわわッ! ぶつかるゥ~!」
「ぐるっがるがるるー!」(←訳:あっ転がったけど起き上がって逃げてったー!)

 突如現れたペンギンくんたち、
 オバケでも幻覚でもないようです。
 では、いったい何処からやって来たのであろうかと、
 アオヤマくん、考察します。
 
 知りたい。
 知ろう。
 毎日の《発見》を記録し続けるアオヤマくんは、
 ペンギンたちの秘密にぐいぐいと迫ります。
 
「たんていさんッ、みたいィ~!」
「がるるぐるる~」(←訳:勇気あるなあ~)

 それは勇気なのでしょうか?
 未知なるものへの、
 いかにも子どもらしい好奇心だったのでしょうか?
 アオヤマくんとペンギンたちの秘密を結ぶ糸は……?

 この御本を読んでいて、想い起こされたのが、
 スペイン映画『ミツバチのささやき』(ヴィクトル・エリセさん監督)でした。
 子どもの目に映る、
 世界の不思議。
 SFであり、
 たぶんファンタジーでもあり、
 探偵小説でもあって、少年小説でもあるような。

 視覚的想像力に訴えてくるペンギンとアオヤマくんの物語は
 『ミチバチのささやき』を御存知の方々に
 ぜひ読んでいただきたい御本です。
 なので、映画好きさんに、おすすめ!
 もちろん、京都のタヌキ一族ファンさんも、必読!の一冊です。

「ぐるるーがるるっ!」(←訳:ボクらもペンギンに会いたいね!)
「きッとォ、どこかでェ、あえるゥはずッ!」
 
 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする