山のあれこれ

山の楽しみのあれこれを紹介していきたいと思います。

熊鈴(くますず)

2008-06-11 | 山道具
2003年夏、秋田と山形の県境の山に行ったとき、尾根上の一本道で熊と遭遇した。鳴子を後に大堀から西の又林道の終点まで車で入り、小又山から神室山に行った帰り道のこと、神室の避難小屋を出たときから小雨が降っていた。狭い尾根筋は笹と灌木の茂みで刈り払いされた切り開きが続いていた。8月の比較的明るいが煙ったような視界、滑りやすい熊笹の根っこに集中して歩いていた。時折、小さな雨蛙が足音に驚いて跳びだしてくる。

山の鼻をひとつ回り込んで、下り加減に歩いていてふと顔を上げると、数10m先にやはり、こちらに向かって下ってくるモノがあった。そのまま数歩ばかり歩いて見直した。向こうもこちらに気がついた。あっ、クマだ。黒い1m位のが慌てて向きを変えて駆け登って行く。見ている間に右手の灌木の茂みの中に飛び込んで行った。その間、10数秒ではなかったか、私は身体が凍り付いて、暫しその場に立ちすくんでいた。それから、大声を出しながらソコを通過した。尾根筋の右手の茂みの奥からガサゴソ音がしていた。

その翌日の帰京日は秋の宮温泉の山伏岳に出掛けた。この日は炎天下の往復だったが、ここでも至近遭遇?していた。頂上直下を下山中に尾根のすぐ左下谷側の藪の中から、重々しい動物の気配、ふぁーという息づかい…。あとで、思い起こしてみればみるほど、熊にちがいない。そんな立派な深い山毛欅林を擁している自然豊かな山々である。

で、この日の後、いろいろ実用的な鈴を捜していて見つけたのが写真のもの。元は実家の古い母屋を壊す際に庭木戸に付けてあった真鍮製のもの。登山ズボンのベルト通しに通しポケットから覗く程度に短めに吊り下げている。スイス土産のカウベルよりもずっと音が通り独りで歩くときは心強い。
コメント
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