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環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

「経済」 「社会」(福祉) 「環境」、不安の根っこは同じだ!

「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

低炭素社会は日本の政治主導による「持続可能な社会」の矮小化か?

2009-01-12 15:44:33 | Weblog
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2009年1月18日の学習会のご案内 
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今日はまず、次の記事をご覧ください。

斉藤環境相は、米国のオバマ次期大統領が提唱する「グリー・ニューディール(緑の内需)」政策の日本版として、地球温暖化対策への投資を広げることで、新たに100万人規模の雇用を創出する構想の策定に乗り出す考えを明らかにした、と報じています。そして、斉藤環境相は記者会見で、「現在の経済危機の克服と、人類が生き残っていくための低炭素社会づくりを一緒にやるチャンスになる」と強調したそうです。

この記事は皆さんにはもっともらしく、好ましく映るかもしれません。米国もオバマ政権の誕生により「グリーン・ニューディール」を、日本も遅まきながらも「グリーン・ニューディール」の日本版をと・・・・・。

私があのブログを書いたのは2007年10月24日。 すでに1年2ヵ月が経ってしまいました。それ以来、私の懸念はますます高まってきました。

「低炭素社会」という言葉十分な議論がないまま、日本の政治、行政、企業の間に、そして、学者・研究者、評論家、そして、市民の間にも定着してしまった感があります。「低炭素社会」の普及・定着にマスメディアが果たした役割は大変大きいと思います。試しに、ヤフーの検索エンジンを使って、1年2か月前の「低炭素社会」の検索結果と今日の「低炭素社会」の検索結果を比較してみました。ついでに、「持続可能な社会」「循環型社会」「自然共生社会」も。

2007-10-24                  2009年1月12日
持続可能な社会 約5,910,000件     15,700,000件(829,000件)
低炭素社会    約890,000件     4,390,000件(467,000件)
循環型社会 約4,590,000件        12,300,000件(908,000件)
自然共生社会 約3,310,000件       8,130,000件(492,000件)

2009年1月12日のカッコ内の件数はグーグルによる検索によるものです。件数に大きな相違があるのは、検索手段の基準がヤフーとグーグルでは異なるからだと思います。1年2カ月の間に「持続可能な社会」は2.65倍となったのに対し、低炭素社会はなんと4.93倍、循環型社会は2.67倍、自然共生社会は2.45倍でした。低炭素社会のヒット数が突出していることがわかります。

日本では「低炭素社会」が92年の地球サミットで合意された「持続可能な開発(社会)」の概念にとって替わるかもしれない勢いです。ところで、「低炭素社会」とは一体どんな社会なのでしょうか。この1年2ヵ月の間に、ウイキペディアの記述もかなり変わってきました。ここで、2007年10月24日に閲覧した「ウィキペディア」で調べた「低炭素社会」の記述を再掲します。

当時は、次のような短い説明しかありませんでした。ということは、この用語の概念が十分に議論されていない、きわめて不確かなことを示しているのだと思います。


低炭素社会(ていたんそしゃかい, Low-carbon society、LCS)とは、二酸化炭素の排出が少ない社会のこと。低炭素型社会ともいう。低炭素経済(ていたんそけいざい, Low-carbon economy)は経済システムを重視した概念であるが、基本的には同じである。平成19年度(2007年度)の日本の環境・循環型社会白書において提唱された。これ以前の2005年ごろから使用されていた用語で、同じような概念があったが、日本では白書以降よく使われ始めた。 


この説明にありますように、 「低炭素社会」はきわめて新しい、概念の不十分な用語であることがわかります。


そこで、私の疑問と懸念をまとめておきます。

(1)1992年に地球サミットで合意された「持続可能な社会」を政治的に「低炭素社会」という名称に置き換えたのは福田康夫・元首相です。

2007年10月1日の福田新首相の「所信表明演説」 なんと「持続可能な社会」が4回も登場(2007-10-02)

混迷する日本⑥ 福田首相の変心?(2008-01-20)


(2)日本の社会で「低炭素社会」の旗振り役を担っている西岡秀三さんは、『日刊 温暖化新聞』に2009年1月6日「産業革命をリセットする 低炭素世界の到来」 と題する考えを投稿し、その中で、「道筋はバックキャストで」という見出しの下に、「低炭素社会の行き先は持続可能な社会である」と書いておられます。それならば、西岡さんのお考えは私にも十分理解できます。でも・・・・・  

つまり、西岡さんのお考えでは、まず「低炭素社会」に(2050年頃?)到達してから、次に「持続可能な社会」をめざすということのようですが、これでは本来の目的である「持続可能な社会」の実現はほとんど絶望的ではないでしょうか。私の環境論からすれば、時間的な制約を乗り越えられないと思います。私は「低炭素社会」などという言葉よりも、もっと具体的に、まず「持続可能な社会」をめざすという目標を掲げ、そのためには地球温暖化対策が大変重要であると認識し、「地球温暖化対策」(あるいは国際社会で一般的な「気候変動問題への対策」)という言葉に統一して、この問題に真剣に取り組むべきだと思いますが、いかがでしょう。西岡さんの論文には「低炭素世界」や「低炭素社会」という言葉が4回登場し、「持続可能な社会」も登場します。

関連記事

「持続可能な開発」の概念① この言葉との初めての出会い(2007-09-23)

「持続可能な開発」の概念② 日本の意外なかかわり方(2007-09-24)

「持続可能な開発」の概念④ ブルントラント報告の要点(2007-09-26) 

スウェーデン大使館のシンポジウム「環境問題と持続可能な社会」 ただし、12年前のこと(2008-02-04) 


ついでながら、この『日刊 温暖化新聞』には 「温室効果ガスの排出と経済成長の連動は止めることができる-スウェーデンの成功事例から」 と題するスウェーデン環境省のスバンテ・ブデインさんの寄稿が載っています。ここには「低炭素社会」という言葉は出てきません。


(3)スウェーデンでは、「持続可能な社会」という言葉は政治、行政、企業、学者・研究者、市民などの議論に、よく登場しますし、長らく政権与党であった社民党の掲げる21世紀前半のビジョンも「エコロジカルに持続可能な社会の構築」です。2007年10月24日のブログを書くに当たって、スウェーデン在住でスウェーデン社会の政治、経済、社会に詳しい日本の方に尋ねたところ、スウェーデンでは「低炭素社会」という言葉はあまり目にしたり、聞いたことはないそうです。マスメディアもこの言葉は用いていないそうです。


2001年11月に採択された「スウェーデン社会民主党行動綱領によりますと、「2050年までにスウェーデンからの温室効果ガスの排出は半減されなければならない。気候変動は人類の生存にとって最大の脅威である。」(行動綱領 p91)とありますが、気候変動への対応は持続可能な社会を実現する一要素(最大ではありますが)という認識です。


(4)では、国際社会ではどうなのでしょう。英国では「Low-carbon Economy」という言葉が使われているようですが。どなたかご教示いただければ幸いです。


関連記事


日本経済新聞 「経済教室」から 低炭素社会構築の道筋 成長・福祉と同時対処を(2007-10-04) 

この記事は前欧州連合大使であられた朝海和夫さんが書かれたもので、EUの対応が日本の対応と違って、もっと包括的であることを示し、「経済成長と環境対応、社会福祉という三者を総合して扱う、政治のリーダーシップが今こそ求められる」と結んでいます。

持続可能な社会、循環型社会、低炭素社会、自然共生社会 これらを組み合わせた社会とは何だろう(2007-10-24) 

「2021年のスウェーデンプロジェクト」対日本の「脱温暖化2050プロジェクト」(2007-10-25) 

2021年のスウェーデン 我々はすでに正しい未来の道を選択した(2007-10-26) 

平成19年版「環境・循環型社会白書」の不可解(2007-10―27)    

連続公開講座のお知らせ 2009年1月18日(日)

2008-12-03 10:33:51 | Weblog
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今日は来年1月18日に行われる持続可能な国づくりの会(緑と福祉の国日本)主催の連続公開講座の1回目のご案内です。

一昨日のブログで紹介した朝日新聞の記事で編集委員の竹内敬二さんもおっしゃっているように、  「2050年に私たちがつくりたい社会の姿」、「そこに向かう道」を混乱の中に見つけるために21世紀前半基本認識を参加者の方々と共有したいと思います。 

新たな気持ちで、再び

2008-09-21 17:36:49 | Weblog
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皆さん、こんにちわ!

今年3月31日のブログで、私は次のように書きました。

X X X X X
2007年1月1日から1年3か月にわたって書き続けてきたこのブログも、今日で547本目となりました。この機会にこのブログをいったん閉じようと思います。私が考える環境問題のかなりの部分を読者の皆さんにお伝えすることができたと思うからです。日本とスウェーデンの考え方を通して、日本の問題点をご理解いただけたら幸いです。

このブログに書いてきたことは内容的には、10年後に読み返してみても おそらく新鮮味を保っていると思います。私は環境問題の現象面を追うことなく、その本質を「私の環境論」に沿って、私のできる範囲で書いてきたという自負があるからです。読者の皆さんが、日本の社会の環境問題に疑問が生じたときに、このブログに関連記事があったな、と思い出してクリックしてくださることをお願いして、このブログをひとまず閉じたいと思います。わずかな時間ではありましたが、ご支援いただきありがとうございました。

今後は、カレンダーに追われることなく、その時々で思い出したり、思いついたときに、不定期で、気ままに、私の考えや主張をこのブログの延長で書いて行こうと思っています。
X X X X X


あれから、ほぼ半年が経ちました。今日からお約束したブログを再開します。再開に当たって、まったく想定外のうれしい発見がありました。半年ものブランクがあったにも関わらず、当ブログへのアクセス数が、私の予想に反して、なぜか激減していなかったのです。私にはその理由がさっぱりわかりませんが、半年前のアクセス数がほぼ同じレベルに保たれておりました。



この事実に大変勇気づけられましたので、予定どおり、カレンダーに追いかけられることなく、気ままに私の考えや主張を書き続けて行こうと思います。

今日は再開初日ですので、 このブログの第1回(2007年1月1日)に登場していただいた塩見直紀さんを再びご紹介することから始めましょう。私は塩見さんにお目にかかったことはないのですが、偶然、2週間前の朝日新聞朝刊の「異見新言」の欄で塩見さんのお考えの一端に接することができたからです。



塩見さんの新たな試みに期待をしつつ、私のブログを続けて行きたいと思います。

5月11日のシンポジウム「持続可能な国家のビジョン」から

2008-06-08 19:21:42 | Weblog
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5月11日(日)のシンポジウム「持続可能な国家のビジョン~経済・福祉・環境のバランスは可能だ!」(主催 持続可能な国づくりの会<緑と福祉の国・日本>)から、そろそろ1か月が経とうとしています。


私がこのシンポジウム用の資料としてまとめた小論を主催者のご好意により、このブログの読者の皆さんにもPDFファイルで見たいただく機会ができました。お楽しみください。



「希望の船出」から11年 ――経済も、福祉も、環境も・・・・・
環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎

はじめに 

前回(2006年11月19日)のシンポジウム「日本も〈緑の福祉国家〉にしたい!――スウェーデンに学びつつ」用に事務局が用意した「発題特集」の中で、私は次のように書きました

96年9月17日、乗員・乗客884万人を乗せたスウェーデン号は、「21世紀の安心と安全」を求めて、周到な準備のもとに目的地である「緑の福祉国家」(生態学的に持続可能な社会)へ向けて出港し、現在、順調に航行を続けています。航行中、予期せぬ難問に遭遇し、場合によってはグローバル化の荒波に呑み込まれ、沈没してしまうかも知れませんが、順調に行けば、目的地に到着するのは2025年頃とされています。

出港からおよそ11年を経た今年2008年春、スウェーデン号は、乗員・乗客が918万人(08年1月31日現在)を超え、目的地までのほぼ中間点まで順調に航行してきました。経済も、福祉も、そして環境も、想定通りの成果を得ているようです。


この小論の全文に興味のある方は次をクリックしてください。


「希望の船出」から11年 ――経済も、福祉も、環境も・・・・・

2008年 5月11日(日)のシンポジウムのご案内 「持続可能な国家のビジョン」 ②

2008-04-19 22:07:01 | Weblog
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プログラム

13:10 「希望の船出」から11年-経済も、福祉も、環境も・・・・・      小澤徳太郎  環境問題スペシャリスト

13;45 低炭素社会は持続可能な国づくりへの一歩                 西岡 秀三  元国立環境研究所 理事

14:20 持続可能な国をつくりうる心                             岡野 守也  サングラハ教育・心理研究所 主幹

 休 憩

15:20 江戸時代の環境崩壊阻止と倫理意識                     大井 玄   元国立環境研究所 所長

15:55 「人間回復の経済学」などで言いたかったこと               神野 直彦  東京大学大学院経済研究科 教授(財政学)

17:00~17:45 質疑応答

17:50~18:50 パネル討論

19:00       終了





関連記事


★希望の船出から11年-経済も、福祉も、環境も、 バックキャストが有効だ!(08-03-30) 

★2021年のスウェーデン 我々はすでに正しい未来の道を選択した(07-10-26)  

★「2021年のスウェーデン・プロジェクト」 対 日本の「脱温暖化プロジェクト2050プロジェクト」(07-10-25) 





スウェーデンは今、GDPの成長と温室効果ガス(GHG)排出量のディカップリングがさらに明確に(08-03-16) 

温暖化対策実行ランキング:スウェーデン1位、日本42位(07-12-09) 

進化してきた福祉国家⑪ スウェーデンについて最近私たちが知ったこと(07-09-06)

EIUの民主主義指標 成熟度が高い民主主義国の第1位はスウェーデン(07-08-18) 

緑の福祉国家2 なぜスウェーデンに注目するのか:国家の持続可能性ランキング1位はスウェーデン(07-01-12)  

2008年5月11日(日)のシンポジウムのご案内 「持続可能な国家のビジョン」

2008-04-01 08:06:38 | Weblog
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昨年8月に設立された「持続可能な国づくりの会<緑と福祉の国・日本>」が今年のシンポジウムの概要を公表しました。シンポジウムの日時、パネリストが決まり、シンポジウムの趣意書が出来上がりましたので、お知らせします。



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明日から始まる 「京都議定書の約束期間」を前に  皆さんへのメッセージ

2008-03-31 17:36:06 | Weblog
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いよいよ明日2008年4月1日から、1997年に採択され、2006年2月16日に発効した 「京都議定書の約束期間」 が始まります。

2007年1月1日から1年3か月にわたって書き続けてきたこのブログも、今日で547本目となりました。この機会に、このブログを卒業しようと思います。私が考える環境問題のかなりの部分を読者の皆さんにお伝えすることができたと思うからです。スウェーデンと日本の考え方の相違を通して、日本の問題点をご理解いただけたら幸いです。


日本は世界第2位の経済大国として、日本の現状から出発して、国際社会からの批判に耐えられるような日本発の「持続可能は社会への道」を国際社会に提示する必要があると思います。

なぜスウェーデンに注目するのか:持続可能な社会に最も近い国(07-01-12)

EIUの民主主義指標 成熟度が高い民主主義国の1位はスウェーデン(07-08-18) 

温暖化対策実行ランキング:スウェーデン 1位、日本 42位(07-12-09) 




スウェーデン号は精巧なコンパス(科学者の合意)と強力なエンジン(政治家主導の政府)を搭載した新造船で、最新の海図(自然科学的知見)をたよりに、みごとな操船術(社会科学的知見と実現のための政策)を駆使して、最終目的地である「緑の福祉国家」をめざしています。

市民連続講座 緑の福祉国家1 ガイダンス(07-01-11)

市民連続講座 緑の福祉国家63(最終回) 改めて、緑の福祉国家の概念を(07-06-02)

進化してきた福祉国家⑩ スウェーデンについて、私たちが知っていること(07-09-05) 

進化してきた福祉国家⑪ スウェーデンについて、私たちが最近知ったこと(07-09-06)  

希望の船出から11年-経済も、環境も、福祉も バックキャストが有効だ!(08-03-30) 



 「出来ること(ところ)から始めること」の危険性①(07-09-08) 

 「出来ること(ところ)から始めること」の危険性②(07-09-09)  

 「出来ること(ところ)から始めること」の危険性③(07-09-10) 




このブログに書いてきたことは内容的には、10年後に読み返してみてもおそらく新鮮味を保っていると思います。私は「環境問題」の現象面を追うことなく、その本質を「私の環境論」 に沿って、私のできる範囲で書いてきたという自負があるからです。

市民連続講座 私の環境論1 ガイダンス(07-01-11)

市民連続講座 私の環境論21(最終回) 50年後のビジョンを考える際に必要な経験則(07-02-04)



読者の皆さんが、日本の社会の環境問題に疑問が生じたときに、このブログに関連記事があったな、と思い出してクリックしてくださることお願いして、このブログをひとまず閉じたいと思います。わずかな時間ではありましたが、ご支援いただきありがとうございました。


今後は、カレンダーに追われることなく、その時々で思い出したり、思いついたときに、不定期で、気ままに、私の考えや主張をこのブログの延長で書いて行こうと思っています。



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2008年 5月11日(日)のシンポジウムのご案内 「持続可能な国家のビジョン」

2008-02-22 13:56:47 | Weblog
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昨年8月に設立された「持続可能な国づくりの会<緑と福祉の国・日本>」が今年のシンポジウムの概要を公表しました。シンポジウムの日時、パネリストが決まり、シンポジウムの趣意書が出来上がりましたので、お知らせします。



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混迷する日本①  このまま行けば2010年は混乱、2050年は大混乱!?

2008-01-15 12:16:21 | Weblog
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1月も半ばとなりました。昨年1年を振り返ってみますと、日本も、世界も大変な状況に直面しています。難問山積で解決可能かどうはわかりませんが、私の環境論に基づく私の主張は方向性としては間違っていなかったことを確信し、勇気づけられた1年でした。決意も新たに、今年もできるだけ書き続けるつもりです。

日本で唯一の肩書き?



2006年2月に上梓した「スウェーデンに学ぶ『持続可能な社会』 安心と安全な国づくりとは何か」(朝日新聞社 朝日選書792) の「第5章 経済成長はいつまで持続可能なのか」を「今年2008年のメイン・テーマ」として考えていくことにします。第5章の要約で次のように書きました。

xxxxx
環境問題は世界のほぼ全域に広がった、市場経済社会を揺るがす「21世紀最大の問題」と位置づけられるが、主流の経済学者やエコノミストの多くには、そのような認識はほとんどない。第3章で見たように、これまでの経済学は人間と人間の「貨幣による関係」を扱い、貨幣に換算できない関係を無視してきた。経済学の枠組みのなかに、経済活動の本質である「資源・エネルギー・環境問題」の基本的概念が十分にインプットされていないからである。 

こうした、いまとなっては間違った前提に基づき、「持続的な経済成長」というビジョンから抜け出すことのできない経済学者やエコノミストの言説を無批判に受け入れるのではなく、「資源・環境・エネルギー問題」に配慮した、自然科学者の明るくはない未来予測に、耳を傾ける必要があるのではないか。 
xxxxx

図を4点掲げます。多くの説明は必要ないでしょう。

●平成13年版環境白書のp11に掲載されている図を参考に縦書きとした。図の原題は「図1-1-14 問題群としての地球環境問題」。
●この図は私の環境論を裏付けしてくれる貴重な図である。環境省はこのようなまっとうな図を掲げているが、政府の行動はこのような認識には立っていない。
●この図が示すように、現象的には様々な環境問題が同時進行している。けれども、マスメディアの報道は富に温暖化にシフトしているように思える。

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関連記事

なぜ、先駆的な試みを実践し、世界に発信できるのだろう① 国民の意識と民主主義の成熟度(07-08-18)

EIUの民主主義指標 成熟度が高い民主主義国の1位はスウェーデン(07-08-18) 

21世紀前半社会のビジョンの相違② 日本のビジョン「持続的な経済成長」(07-07-26)

2021年のスウェーデン・プロジェクト」vs「脱温暖化2050年プロジェクト」(07-10-25) 

2021年のスウェーデン 我々はすでに正しい未来の道を選択した(07-10-26)



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ブログ・カテゴリーの変更

2008-01-10 20:58:20 | Weblog
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2007年1月1日に開設したこのブログが1周期を迎え、この間に掲載した記事も450本を超えました。これだけ記事の本数が増えてきますと、カテゴリーの変更の必要を感じるようになりました。


とりあえずの試みとして今年はカテゴリーを17に分類してみました。しばらくこのカテゴリーを続けてみます。1周年の記念として、昨年1年の10のカテゴリーにつけたブログ・パーナーをまとめてみました。カテゴリーのタイトルを変えることによって、今まで見えてこなかったことが見えてくるようになると共に、このブログ・バーナーを見ていただくと私の主張がはっきりするでしょう。


(1)Weblog



(2)市民連続講座:環境問題、月別記事一覧



(3)市民連続講座:緑の福祉国家



(4)国際社会、今昔



(5)スウェーデンは今



(6)スウェーデン、あの日・あの頃



(7)日本は今

 

(8)日本、あの日・あの頃



(9)予防志向の国・治療志向の国



(10)えっ! どうして?





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同じ情報を与えられても解釈は異なることがある

2007-10-11 23:36:24 | Weblog

 
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問合せ先

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メール     greenwelfarestate@mail.goo.ne.jp
 
ウェブサイト http://blog.goo.ne.jp/greenwelfarestate




昨日のブログで、次のように書きました。

私のこのブログは、私の「環境論」に基づく私の「判断基準」で書かれています。ですから、私は皆さんが、私の考え方を“批判的な立場”で検証し、「環境問題」対するご自身のお考えを創造してくださることを期待してます。

日本の社会にはたくさんの首をかしげたくなる情報があふれています。そんな中、環境分野では「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」(武田邦彦著 洋泉社 2007年3月)という本が発行部数を重ね、ネット上では熱い議論が盛りあがっています。

そして、先月、 「環境問題はなぜウソがまかり通るか 2」 (武田邦彦著 洋泉社 2007年9月)が発売されました。INTRODUCTIONには「環境政策を疑え」とあります。去る10月7日には東京の一橋大学で緊急シンポジウム「環境問題のうそはウソ?ホント?」が、著者の武田邦彦さん(中部大学教授)を招いて、学者、事業者、ジャーナリスト、市民、学生が徹底討論をしました。大変な盛況でした。 


そこで思い出したのが、 15年前の「環境保護運動はどこが間違っているのか?」 (槌田敦著 JICC出版局 1992年7月)でした。私は当時この本を精読しました。そして、15年後の今年6月、なぜかこの本は「宝島新書」として再登場しました。

著者の槌田敦さんは今年6月発行の宝島新書版の「まえがき」で次のように書いておられます。

X  X X X X
この「環境保護運動はどこが間違っているのか?」は1992年に発行された。増刷を重ねたうえ、1999年には文庫本(増補版)となった。両者合計して出版部数は10万部という。私の著書のなかでは最も多い部数である。そして、このたび編集部から新書版として再々発行したいという提案を受けた。

環境問題は新しい事実が加わり、どんどん変わっている。15年前の本は古くなって、歴史的文書としての価値しかないのではないかと最初は心配した。しかし、この本を読み返すうちに、この15年間で、環境保護運動の混乱はますます激しくなってはいるが、この本で指摘した多数の事項は、今もそのまま有効であることがわかった。著者冥利につきるというものである。

とは言うものの、15年前のエコロジー運動には、庶民の自発的参加というゆとりがあった。セッケンを作りましょうなど、楽しいサークル活動だった。今はそのような側面は少ない。環境保護運動は、世界の「賢人IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル」の号令により、ただひとつの目的「CO2削減」に向けて、各国政府主導でなされるようになったのである。

その目的達成のためには、原発を増設して放射能を増やしてもよい、石油枯渇後の大切なエネルギー資源である炭鉱を破壊してよい、トウモロコシを自動車燃料にして貧しい人々を困らせてもよい、といった具合である。現代はエコ・ファシズムの時代と言えるかもしれない。

そこで、このCO2問題など、いくつかの注を書き加えることにして、本体はそのままにしたいと編集部に答え、出版することが決まった。なお、注の書き加えにより分量が増えたので、文庫版の「増補 序」は削除することにした。

2007年5月
X X X X X

確かに、この15年間環境問題解決への行動と予算の投入は行われているにもかかわらず、日本の状況はますます悪化を続けていると私も思います。今日のところは環境問題の改善のために行動を起こす前に、次の2つの図を見てよく考えてくださいと提案しておきます。


皆さんと私は今この図を見ています。つまり、同じ情報を与えられているのですが、皆さんと私がこの図から同じ解釈をするかというとそうではないかもしれません。図のどこに注目したかによって、また、ぞれぞれの方の判断基準によって解釈が異なるはずです。たとえば、ワインの大好きな人と大嫌いな人では、グラスの中のワインの量を見て、もうこれしかないと感じるか、あるいはまだこんなにあるのかと感じるかもしれませんし、この手の状況から図の見えない部分を想像する人がいるかもしれません。

それぞれの方がどのようなことを考えようと、大切なことは次のようなことだと思います。




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判断基準を変えれば、別のシーンが見えてくる!

2007-10-10 21:46:10 | Weblog


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最近、スウェーデンに関する論文を執筆中という方からメールをいただきました。私はその論文が完成した暁には是非読んでみたいと返信を送りました。きっとその論文には私にとって、新しい発見があると思ったからです。
 
今年1月1日に始めた最初のブログで、私は「別の方が別の視点でスウェーデンと日本を分析すれば、私の著作とは別の姿を描くことも可能でしょう」と書きました。


私のこのブログは、私の「環境論」に基づく私の「判断基準」で書かれています。ですから、私は皆さんが、私の考え方を“批判的な立場”で検証し、「環境問題」対するご自身のお考えを創造してくださることを期待してます。

日本の社会にはたくさんの首をかしげたくなるおかしな情報があふれています。そんな中、環境分野では 「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」 (武田邦彦著 洋泉社 2007年3月)という本が発行部数を重ね、ネット上では熱い議論が盛りあがっています。

私のブログでも「私の環境論」に基づいて、おかしな事例をかなり取り上げてきましたので、すでにお気づきの方もいらっしゃるでしょう。表題の「判断基準」について、4つのことを書いておきます。

①たとえば、世界180カ国を調査し、「スウェーデンが持続可能な社会ランキングの1位である」と判断したのは、私ではなく、国際自然保護連合(IUCN)が組織した専門家の集まりが彼らの新しく開発して「判断基準」を用いて集めたデータを分析し、結論づけたことです。 ですから、なぜスウェーデンが1位なのか、ほんとうにそうなのかという疑問を持たれた方は、彼らの「判断基準」を検証して、その妥当性を評価するのがよいと思います。

②環境先進国と言えば、 「一般にはドイツのほうがよく知られているはずなのに・・・・」と考える方も多いと思います。でも、そう思ったのはどこから得た情報によるのでしょうか。私もそうですが、皆さんが接する情報源の多くはマスメディアであったり、政府の報告書であったり、テレビであったり、ほとんどすべての情報は誰かが書いったり、口にしたものです。そして、それらの情報には「書いたり、喋ったりした人の判断基準」が含まれています。

最近でこそ、北欧の事情がマスメディアに取り上げられるようになりましたが、20世紀には、そして21世紀になった今でも日本が世界を見る目は欧米(英国、ドイツ、フランス、米国)です。日本の新聞社の多くはロンドンに駐在所を構えていますが、北欧取材はロンドンの駐在員が出向くことが多いようです。

私がこのブログでドイツについて触れたのは 「エコロジー的近代化論」 をとりあげたときです。なぜ日本でドイツが「環境先進国」として取り上げられたのかという私の推測を書きました。10月7日のブログ「ドイツの廃棄物政策を踏襲する日本」 をもう一度ご覧ください。
   
③21世紀に入って、様々な団体によって様々な国別ランキングが発表されるようになりました。これらの順位は「判断基準」が変わればランキングも変わります。
日本は「治療志向」の国ですので、ことが起こらなければルールをなかなか変えません。ことが起こってからの行動は“再発防止”が中心ですから、新しい問題に対応するには無理があるといえるでしょう。

ほとんどが相対的なものです。ご参考までに次のブログをご覧ください。そして、ご興味があれば、それぞれのランキングの出典まで遡って、作者の「判断基準」を検証してみてください。
   
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進化してきた福祉国家⑪ スウェーデンについて最近私たちが知ったこと(9/6)


④現代に生きる私たちは、動物的機能の退化を自覚しつつありますが、「動物的次元」から逃れることはできません。20世紀後半になって表面化した環境問題は、人間の最も基本的である動物的な次元に直接かかわる大問題です。「人間は動物である」というもっとも基本的で誰もが否定できない事実をすっかり忘れて環境問題を議論している人が多いのではないでしょうか。  

たとえば、政策担当者、かれらを支える自然科学者、人文・社会科学者、企業家、エネルギー分野の専門家、環境分野の専門家、エコノミスト、ジャーナリスト、市民運動家などが、環境問題をめぐって小手先の議論をくりかえし、難しい議論をつづけています。環境問題を考えるときに注意するべき7つのキーポイント思い出して下さい。



関連記事

私の環境論 環境問題を考える際の7つのキーポイント(2/3) 



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再び、「今日の決断が将来を原則的に決める」という経験則の有効性

2007-07-30 11:39:17 | Weblog


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今朝の朝刊各紙には、昨日の第21回参議院議員選挙の結果を報じる大きな活字が躍っています。手元の朝日新聞の一面の見出しは次のようです。

自民 歴史的大敗
首相は続投表明 公明も惨敗 政権運営厳しく
民主躍進 初の第1党
辞任に値する審判 
自民・片山氏落選 1人区で6勝23敗

昨日のブログ「温室効果ガス 総量規制で」を書いたあと、そして、今朝の朝刊を見たとき反射的に思い出したのは、 「私の環境論」の基礎認識の一つである次の「経験則]です。

今回は、特に、この図の

この経験則は環境問題だけでなく、 社会制度、インフラ、企業経営など、ほとんどすべての社会事象に適用可能である

というところにご注目ください。選挙結果その後の政治的な事象や決定にももちろん有効だと思います。皆さんはどうお考えですか。コメントをいただければ幸いです。



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世界の科学研究の動向調査:存在感が薄い日本の「環境分野」

2007-06-29 17:07:28 | Weblog
 

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3日前の6月26日の朝日新聞が科学の欄で、日本、「環境」「宇宙」が手薄という、私には大変納得のいく調査結果を報じています。

●日本は物理学やナノテクノロジー・材料科学の研究で世界をリードしているが、環境・生態学・宇宙科学では存在感が薄いことが、文部科学省科学技術政策研究所が世界の科学研究の動向を調査した「サイエンスマップ」でわかった。

●この調査は米トムソンサイエンティフィック社のデータベースを基に、99~04年の6年間に発行された論文のうち、他の論文での引用数の多さが上位1%という、注目度が高い約4万7千の論文を分析した。

●環境・生態学や宇宙科学の分野では主要論文に占める日本の論文の割合が高い研究領域がなく、社会科学や精神医学・心理学では存在感がほとんどなかった。


私はこの記事を読んで、10数年前のことを思い出しました。

★IPCCへの貢献

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、WMO(世界気象機関)とUNEP(国連環境計画)が各国政府に呼びかけて、気候変動問題に関する科学的な情報を各国政府に提供することを目的に、1988年に設立されたものです。1995年当時1000人以上の科学者とWMOおよびUNEP加盟の約180か国がIPCCの活動に参加していました。

IPCCには次のような作業部会があります。
第1作業部会……科学的評価を行う。
第2作業部会……影響予測評価と対応戦略を行う。
第3作業部会……社会経済、防止策および適応策の費用便益、および将来の排出シナリオを検討する。

第1作業部会は温暖化問題を科学的に評価する最も重要な作業部会ですが、地球温暖化の分野の専門家であられる国立環境研究所の西岡秀三さん は公害対策同友会の月刊誌『資源環境対策』の1992年7月号で「温暖化問題に関して、科学面での日本の国際的貢献はとても十分とは言えない状況にある。その一例として、IPCC第1作業部会報告において引用された論文1200のうち日本からのものは8編に過ぎない ことが示している。このような状況は基礎科学の面で諸外国に遅れていることを示すのみならず、世界との交流の面でも遅れをとっている状況を見せているわけである」と書いておられます。

★日本学術会議の報告書     

また、同じようなことが日本学術会議の報告書でも述べられています。同会議の地球化学宇宙化学研究連絡委員会は「日本における地球化学の研究教育体制の確立について:平成6年6月27日」と題する同委員会報告を公表しました。この報告は、第15期日本学術会議地球化学宇宙化学研究連絡委員会の審議結果をとりまとめたもので、「1 はじめに」の中に次のような記述があります。
      
……地球化学(著者注 “地球科学”ではない)は、生物系の科学と物理系の科学をつなぐ要の位置にあって中心的役割を果たしている。このように地球化学は、学問として重要なものであり、国外では多数の研究者によって押し進められ、その責務を果たしている。ところが、後述するように、日本の現状はこれと全く異なったものである。特に、大学において、地球化学の講座がほとんどなく、地球化学者育成の点で危機的状況に陥っている。この結果が、最近は、研究面にも波及している。例えば、
      
1990年のIPCC(政府間気候問題パネル)の自然環境に関する第1作業部会の報告書中に日本の地球化学の貢献はほとんどみられない。この状況を解消し、地質科学や地球物理学とバランスのとれた地球化学をつくることは、日本における地球科学全体の発展のために必須の条件である。そこで、このような状態になってしまった原因を解析し、それを解消するための方策を提言する。

★学術審議会部会の報告書
 
1995年4月19日付けの日本経済新聞によりますと、文相の諮問機関、学術審議会の地球環境科学部会(部会長・中根千枝東大名誉教授)は18日までに「地球環境科学」研究の推進を求める建議をまとめ、与謝野文相に報告を出したそうです。建議によると、地球環境問題は「限りある自然と人類文明の発展が相いれないという基本的な問題」と指摘。建議ではこのような観点から、地球環境科学を「人類の生存基盤である地球環境の理解を深め、人間活動の影響で損なわれた地球環境の維持・回復に関する諸問題の解決のための総合的・学際的科学」と定義付けた。

とのことですが、何をいまさらという感が拭い切れません。あまりにも、遅すぎると言わざるをえません。それでも、当時 私はこの建議に期待をしたのですが、12年後の6月22日の調査結果を見ますと、やっぱりね!、という思いがしてなりません。

しかも、環境分野で日本の存在感が薄いのは科学研究の分野だけではありません。政治の分野も行政の分野もです。つまり、日本政府自体の関心が薄かったのです。

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90年代、日本政府の認識が薄かった「人権や環境分野」



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「将来不安」こそ、政治の力で解消すべき最大のターゲット

2007-06-23 21:23:21 | Weblog

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90年代後半以降のスウェーデン経済は「GDPの推移」「一般財政収支の対GDP比」「国際競争力」など国際比較の可能な基礎データを見るかぎり、きわめて好調でした。21世紀前半のビジョンである「緑の福祉国家(生態学的に持続可能な社会)」の社会的側面と位置づけられる「新公的年金制度」がいま、国際的に注目されています。

経済のグローバル化や国際競争の激化が、20世紀後半にそれぞれの国が築いてきた年金制度の前提を変え、制度の維持をきわめて困難にしてきたからです。1999年から始まった新公的制度の特徴は「年金受給世代」に優先権を与えていた「旧制度」とは違って、21世紀の社会を生きる「現役世代」に優先権を与えたことです。

スウェーデンがめざした福祉国家の基本的な考えは「国民に安心感を与えること」、つまり、「不安からの解放」「機会の均等」「連帯」などをよしとする価値観です。安心感とは文字どおり、「不安でないこと」です。たとえば、歳をとれば、財産の有無にかかわらず、誰でも、かならず身体のどこかに障害が起こり、健康に不安を覚えます。けれども、歳をとるということは「予想できる不安」であり、すべての人に共通する問題です。
 
これに対して、「予想できない不安」というものがあります。たとえば、町中を歩いているときに、突然、上から何かが落ちてきて怪我をしたとか、車にはねられたとかいうように、災難や事故に遭うことがあります。そうしたときに、災難や事故に遭った本人はもちろんですが、家族も非常に不安になります。

ですから、私たちが生きていくうえで起こる可能性のあるさまざまな突発事に対して、できるだけ不安が少なくてすむようにというのが、スウェーデンが考える安心感なのです。人間を中心に考えれば「将来不安」こそ政治の力で解消すべき最大の対象であることは間違いありません。

それでは、明日から「少子・高齢化問題」に早い時期に気づき、いち早く21世紀型の年金制度に切り替えたスウェーデンの「新公的年金制度」の概要を紹介しながら、新年金制度が「緑の福祉国家」の社会的側面としてどのように位置づけられているかを考えてみましょう。



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