「よっ!まだ殺されずに生きてるか!」と職場へと歩いていた僕に馴染のある声が聞こえてきた。野上さんはいつも僕をからかう、悪ふざけでないことがわかつているから僕はいつもつい笑顔を造ってしまう。「最近の女は怖いからな・・・」と重ねて言うのは名前は知らないが、僕と同じ期間従業員の40代の男。「寝ている間にノコギリで切り刻まれないように注意しなよ!」「切り刻むのにどのくらいの時間、かかるんやろか・・・」「当分続くよ、バラバラ殺人は」「まあ女は血に慣れているさかいな・・・」と野上さんが例の大きな声で言った。
工場では従業員の喫煙は一定の場所に限られるようになって、僕は煙草を吸わないが、ここでいろんな会話が煙とともに交わされている。女は血に慣れている?だれもが一瞬口を閉ざしたようだ、「女には1ヶ月に一回あるだろう・・・」と野上さんが笑いながら言った。映子さんと生活していなかったら、僕にはその言葉が理解できなかっただろう。「オレは映画で見た『アベサダ』を思い出したよ」「ワシもそうなんだ、けどアベサダのほうが可愛いよ」。僕には意味不明の会話。「もう十数年前になるかな、酔って寝ている友人のホッペタを奥さんが足の裏で踏みつけているのを見たのは・・・」「もともと女は怖いもんだよ」「角隠しするって、どういうことかお前たち知らないだろう」。ツノカクシってなんだ?ここに集まっている人はみんな僕より年配だ、話を聞いて損なことはないと思う。「2040年っておまえいくつになる?」「えーもしもし、あーきみかどうしたの?」とケイタイに耳を傾ける人がいる。「あーえーっと42歳かな・・・」「その頃になると北極の氷が全部解けているんだってね」
つづく
工場では従業員の喫煙は一定の場所に限られるようになって、僕は煙草を吸わないが、ここでいろんな会話が煙とともに交わされている。女は血に慣れている?だれもが一瞬口を閉ざしたようだ、「女には1ヶ月に一回あるだろう・・・」と野上さんが笑いながら言った。映子さんと生活していなかったら、僕にはその言葉が理解できなかっただろう。「オレは映画で見た『アベサダ』を思い出したよ」「ワシもそうなんだ、けどアベサダのほうが可愛いよ」。僕には意味不明の会話。「もう十数年前になるかな、酔って寝ている友人のホッペタを奥さんが足の裏で踏みつけているのを見たのは・・・」「もともと女は怖いもんだよ」「角隠しするって、どういうことかお前たち知らないだろう」。ツノカクシってなんだ?ここに集まっている人はみんな僕より年配だ、話を聞いて損なことはないと思う。「2040年っておまえいくつになる?」「えーもしもし、あーきみかどうしたの?」とケイタイに耳を傾ける人がいる。「あーえーっと42歳かな・・・」「その頃になると北極の氷が全部解けているんだってね」
つづく