化石燃料からの排出量、増加の一途をたどる
国際的な科学者達のチームの推計で、化石燃料からの二酸化炭素排出量は2023年に再び増加し、記録的なレベルに達したことが明らかになった。石油、石炭、天然ガスの燃焼による排出量の継続的な増加が、地球温暖化を抑制する進歩を妨げていると科学者達は述べている。
この発見は、地球の炭素循環に関する年次検査の一環である。世界の炭素収支であるこの年次評価では、科学者達は、化石燃料の燃焼と土地利用の変化によって、大気中にどれだけの炭素が追加されたか、またどれだけの炭素が大気から除去され、陸上と海洋に貯蔵されたかを定量化している。
科学者達の2023年の初期の分析データは、化石燃料からの排出量が2022年の水準と比較して2023年に 1.1 %増加し、2023年の化石燃料二酸化炭素の総排出量が368億トンになったことを示している。森林伐採や極端な山火事の季節のカナダでは、2023年の総排出量は409億トンと推定されている。分析によれば、2023年と2022年の両年で、化石燃料由来の二酸化炭素が記録的に増加した。
大気中の二酸化炭素濃度は、工業化時代の始まりである1750年の約 278 ppm から、2023年には 420 ppm に増加している。
熱を閉じ込める二酸化炭素、その他の温室効果ガスの増加が地球の気温上昇の主な理由である。2023年の地球表面温度は、NASAのベースライン期間(1951年~1980年)の平均よりも摂氏 1.2 度暖かく、記録的な暑さの年にした。
右図のリンクは2021年1月1日から12月31日までの変化を示す動画(.mp4)。
図は、入手可能な最新の通年データ2021年における地球の大気圏内、周辺、大気圏外の二酸化炭素の流れを示している。それらは、地球の天気と気象を研究するために使用されるモデルとデータの同化システムである、NASAのゴダード地球観測システム(GEOS)によっている。
ここに示されている二酸化炭素は、化石燃料 (黄色)、燃焼バイオマス (赤)、陸域生態系 (緑)、海洋 (青) の四つの主要な発生源から来ている。陸地と海はどちらも炭素吸収源であり、大気中の二酸化炭素を除去して排出するよりも多くの炭素を貯蔵することを意味するが、特定の時期や場所では発生源になる可能性もある。緑と青の点は、陸地と海に吸収された炭素を表している。
右のグラフは、1960年から2023年までの、世界の炭素循環の構成要素をまとめたものである。化石燃料から排出される炭素の量 (黄) 、土地利用 (オレンジ)、大気 (紫)、海洋 (青)、陸地 (緑) がどれだけ吸収しているかを示している。
この世界の炭素の収支は、地球の炭素循環の全体像を把握するためにいくつかのデータソースに依存している。主な発生源は、政府やエネルギー機関が収集した排出量の目録である。報告書によれば、二酸化炭素排出量は、ヨーロッパや米国など一部の地域では少し減少しているが、世界的には依然として増加している。2023年に排出量が最も増加した国はインドと中国だった。
2015年12月、196カ国の代表が、パリ協定で、世界の平均気温を「産業革命前に比べて 2°C を十分下回る水準」に抑える一方で、「気温上昇を 1.5°C に抑える努力を追求する」よう求めた。また、世界炭素蓄積量(Global Carbon Budget)チームは、排出量が地球を 1.5 度押し上げる前の残りの炭素量を分析した。彼らは、現在の放射レベルで「地球温暖化が約7年間で一貫して 1.5°Cを上回るだろうという50パーセントの可能性がある」と見積った。
NASAその他の米国連邦政府機関は、この視覚化のように、温室効果ガスの濃度と排出量に関するデータを定期的に収集している。これらのデータは、最近開始された米国温室効果ガスセンタで、今、利用可能である。
<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。
<出典>: Earth Observatry
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