成田を経って、30時間。
ずいぶん遠くまできたものです。
葵が、初めての飛行機におどろいているようでした。
ガイドブックのとおりの青い海と青い空。
若い2人にくっいて、いっぱい歩いています。
実は、11月の終わりに、娘と、娘のお友達、彼女のお母さまの4人で、ハワイに行くはずでした。
とっくに切れていたパスポートを取り直し、準備もでき、あとは出掛けるだけ、という時に、夫の入院騒ぎ。
もちろん、旅行は取りやめ。
すぐにキャンセルし、お友達母娘さんだけで行っていただきました。
(直前だったので、キャンセル料は大きかったー)
夫の入院・手術が、私たちが出掛けてしまったあとだったら、と、ぞっとしたものでした。
あれから4ヶ月。
夫は、すっかり健康を取り戻しました。
もう大丈夫となった3月に入り、改めての、旅行計画。
娘が、旅行会社と相談し、娘の学生時代の友人とで3人の、個人旅行を組んでくれました。
行き先は・・・ギリシャ。
そして・・・ 葵の腫瘍が見つかり、手術となりました。
私だけこの旅行をとりやめ、退院した葵と過ごすつもりになっていました。
でも・・・ 葵は、逝ってしまいました。
母も夫も息子も、友人も、私に、行っておいでと、勧めてくれます。
遺骨は、夫と息子が、しっかり守っていてくれるから、と。
何もしない時間をたくさんとった、のんびりした旅行です。
行って、11年以上もの葵との思い出に浸り、気持ちを切り替えて帰ってこようと思います。
写真の葵を連れて、行ってきます。
昨日、午後2時半頃。病院から、手術終了の予定より早い電話。
「腫瘍は取り終わったのですが、急変しました。すぐ来てください」
思いもしない言葉が、ふわっと聞こえました。
電話を切って、足が震えました。
家にいた息子といっしょに、動物病院に駆けつけました。
スタッフさんの説明のあと、手術室から、院長先生が出てこられました。
「心臓が、15分ほど停止しました。
胸を開けていたので、すぐに直接心臓マッサージをし、今、自発呼吸し始めたところです」
先生の言葉が、頭の中で空回りします。
パニクッている私と、妙に冷静な私が、そこにいました。
多分、息子もそうだったろうと思います。
「脳に酸素が行っていない時間は15分以内。おそらく大丈夫だけれど、脳に障害が出る場合も。
自発呼吸はしているけれど、このまま少し経過を診て、心臓の動きを確認できたら、傷を閉じます」
(・・・大丈夫・・・今までも、いつも大丈夫だったのだから・・・)
心臓を動かす強心剤の効果が持続するのが、30分間。
すでにそれ以上経っているのに、自発呼吸が続いています。
葵、なんとか帰ってきました。
私たちが病院に着いた時、待合室と手術室の間のカーテンを開けておいてくださいました。
施術されている葵が、緑の布のかかった器具台の向こうにいます。
<縫合中>
心臓・肺の機能も確認でき、OK、となったところで、傷を閉じています。
無事、終わりました。
術中の経過写真と、肺から切除した腫瘍を見せていただきました。
肋骨と肋骨の間を押し広げて取り出せる、ギリギリの2.5センチ。
葵の小さな体にとっては、結構な大きさです。
手前の台が移動され、麻酔からの覚醒を待つ葵が、見えます。
危険から、脱出しました。葵の生命力です。
必死で対処してくださった先生方に、心から感謝です。
<覚醒待ち>
若い先生が、ずっと手を当てて、見守ってくださっています。
完全に麻酔からさめてからだと、顔を合わせて喜んで、興奮しても困ります。
ということで、「今のうちに会っておきますか?」 と、手術室に入れていただきました。
<まだ夢の中>
思ったより広範囲に毛が刈られていて、きれいなピンクの葵がそこにいました。
( 頑張った葵の姿、あえて載せます。ほめてやってください )
バイタルのモニター、レントゲン画像・・・ 葵の情報が周りにあふれています。
使わずに済んだ除細動機が、用意されていました。
時間が静かに流れていきます。
目をしっかり開いた葵が酸素室に移動したのを見届け、後ろ髪惹かれつつ、家に帰って来ました。
夜になって、先生からのお電話。
「まだ立ち上がってはいませんが、自分でうつ伏せに。
脳に障害が出ると、うつ伏せになったりできないので、そちらの心配はなくなりました」
あ~、良かったー。
この脱力感。 体中が筋肉痛になったような感覚です。
まだ安心しきるわけにはいきません。
でも、あの子は、また、大きな山を乗り越えてくれました。
1日経って、今日は、酸素室から出られそうです。
水仙が咲きました。
去年咲き終わってから、そのまま放ったらかされていた球根。
それなのに、ちゃんと季節を感じて芽を出し、蕾をつけ、咲きました。
なんだか、とってもけなげで、可愛い水仙です。
今年は、ありがとうの肥料をきちんとやらなくちゃ。
神田に用事があって、娘の車で通りかかった所に、こんなものがありました。
「日本野球発祥の地 記念碑」 ですって。
メトロの神保町駅近く、学士会館のところです。
この場所で始めて野球が行われた、というわけでもないみたい。
始めて野球が伝わった所、ということらしいけれど、色々説があるのでしょうね。
この碑、かなり大きくて、リアル。
車で通り過ぎただけだけれど、唐突に現れた手に、びっくりしました。
糖尿病の管理のため、いつもの獣医さんへ。
うまくいっているようなので、今のままの治療を続けていこうということでした。
たくさん溜まった使用済みの注射器の処分をお願いしました。
朝晩の注射。 たまに 「ウゥー!」 なんて怒ったりしますが、一瞬で終わり。
針の痛みを感じる間がないように、すかさず全身マッサージをしてあげています。
そして、またまた、新たな心配事がふたつ。そちらも診ていただきました。
まずは、目。
葵の左目の角膜に、赤い液体を流したようなものが現れました。失明でもしたら大変。
写真では、ちょっとはっきりしないですね。
<なんだか赤いの~>
先生の診断では、どうやら、パンヌスという病気のようです。
角膜には元々血管がないのに、何かの拍子に新生血管ができる・・・
なんだか、知らないことがいっぱいです。
放っておくと、失明にいたる場合もあるということでした。
ただ、幸いなことに、葵のは軽症なので、ステロイド系の点眼薬で大丈夫。
糖尿病に影響のあるステロイド。でも、服用するわけではなく少量の点眼なので、OKだそうです。
1~3ヶ月ほどで、改善されるだろうということでした。ホッ。
<ちょっと風があたるだけだよー>
ついでの検査に、葵、固まっています。
緑内障の心配がないか、眼圧検査をしていただきましたが、こちらは、全く心配なしでした。
そして、もうひとつ。肛門が、若干腫れているような。
肛門腺を絞っていただいたら、いつも茶色っぽいのに、サラッとした緑色。
<検査待ち なんでもないといいな・・・>
絞ったものを検査していただいたら、細菌による化膿 ということでした。
緑膿菌・・・ こちらもそうたいしたこともなく、抗生剤を1日1回飲むことに。
糖尿の子は免疫力が弱いので、感染症には気をつけないといけませんね。
どちらも、軽いうちでよかったー。
あれもこれも、もれなく経験しそうな、欲張りな葵。
お病気は、もうこれくらいにしましょうね。
ランタス(インスリン注射液)を1本、次の診察までの分の新しい注射器、抗生剤、目薬。
今回は、た~くさんのお土産付きでした。