波打ち際の考察

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波屋山人

アメリカ政府は何を根拠にビンラディンを殺したのか

2011-05-03 14:15:00 | Weblog
2011年9月11日の同時多発テロによってツインタワーは破壊され、ハイジャックされた飛行機は墜落し、何千人もの命が奪われた。
その数ヶ月後にニューヨークに行ったぼくは更地となったツインタワー跡地に向かい、両手を合わせてたたずんだ。

それから10年近い歳月を経て、同時多発テロを起こしたアルカイダの中心人物と見られていたビンラディンが、アメリカ政府が派遣した者によって殺害された。
ぼくはビンラディンに対しても手を合わせる。


多くのアメリカ人は、アメリカ社会を不安に陥れる象徴的な存在を消し去ったことを肯定的に受け止めている。
一方、イスラム社会に浸透してくるアメリカの影響を排除しようと試みていたビンラディンを、勇気ある抵抗者として評価するイスラム教徒も多い。

アメリカにとっては、自由や民主主義は自分たちの基盤となる価値観であり、それに相容れないものを排除することは当然の正義なのだろう。

だが、そういった思考スタイルには、旧態依然としたものを感じる。
なぜ自分たちを嫌う人たちが多いのか、なぜ反発を受けることが多いのか、そういったことについて分析を行わないのだろうか。
強い者は弱い者の価値観につきあう必要はない、異教徒に正義はない、という姿勢なのだろうか。

アメリカには多様な価値観をもつ人たちが住んでいるが、自由や民主主義といった価値観のもとに秩序を維持しようとしているのだろうか。
それは、擬似的な共生社会だと言えるだろう。


それはともかく、アメリカ政府は何を根拠にビンラディンを殺したのだろう。
何の法律、何の条約に基づいてそのような行為が可能になったのか。
戦時中でもないのに、勝手に他国に武力を持ち込んで、容疑者を殺害することは何によって認められているのか。
強い者が周りを黙らせれば、何をやっても承諾されるのか。
アメリカは、国際的条約も国連のルールも何でも自分の都合にわるいものは破棄するのか。

大手新聞はそういったことについて説明をせず、ビンラディンが殺された、アメリカ人は喜んでいる、株価も上がった、などといったことを書いている。
それでジャーナリストと言えるのだろうか。

凶悪犯は絶対的に否定されるべき存在だから超法規的にでも殺害すればいいのだ、と考える人がいるかもしれない。
しかしそれは
反天皇の共産主義者は絶対的に否定されるべきだと考えていた憲兵や
堕胎を許す産婦人科医は犯罪者だから排除されるべきだと考えるカトリック原理主義者や
傲慢なアメリカ政府はイスラム社会から手をひくべきだと考えるイスラム原理主義者などと同じく

自分の価値観に相容れないものを暴力で抹殺しようとする人(テロリストとも言われる)と同じではないのか。

職場でも、「アメリカもテロリストでは」と口にする人がいた。
そのように感じている人は世界に多いだろう。

だが、メディアはそういったことを報じない。
メディアには支配的な価値観の枠組みにとらわれない報道は期待できないのかもしれない。
このままではメディアはますます人々から取り残される。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110503-00000005-cnn-int
■連絡係の男性を追跡――ビンラディン容疑者殺害の経緯
CNN.co.jp 5月3日(火)9時42分配信
(CNN) 国際テロ組織アルカイダの指導者オサマ・ビンラディン容疑者の殺害について、米当局者らが報道陣に詳細を説明した。
ビンラディン容疑者はパキスタン時刻の2日早朝、首都イスラマバード北約50キロの軍関係者などが多く住むアボタバードにある邸宅で、約40分の銃撃戦の末に殺害された。作戦実行には米海軍特殊部隊(SEALS)がかかわったという。
邸宅は3階建てで、周囲を約5メートル高の外壁で囲まれ、防犯ゲートが2カ所に設置されていた。ビンラディン容疑者を匿うために特別に建てられたとみられ、100万ドル以上の価値があるとされる。
作戦成功の糸口となったのは、ビンラディン容疑者の信頼する連絡係の男の存在だった。当局は2001年米同時多発テロ後に拘束された抑留者らからこの男に関する情報を入手し、男がパキスタンにいることを約2年前に確認、次いで昨年8月にアボタバードの邸宅を発見した。
今年初頭にビンラディン容疑者が同邸宅にいる可能性があると判断。2月半ばには同容疑者の居所が断定され、作戦実行の検討を始めるのに十分な情報が揃ったとみなされた。情報の検討と作戦立案を進めるため、オバマ大統領は3月半ばから4月末の間に国家安全保障会議を5度開催した。最後の会議は4月28日に行われ、その翌日に大統領が作戦実行の命令を出した。


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