世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●「日本の世論2015」から読み解く、筆者と世論のミスマッチ

2015年12月27日 | 日記
日米同盟と原発 (隠された核の戦後史)
クリエーター情報なし
東京新聞出版局


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●「日本の世論2015」から読み解く、筆者と世論のミスマッチ

筆者個人の感覚と、「日本の世論2015」(毎日新聞)とに、調査結果の大きなずれがあっても、問題はないと思う。ただ、筆者の感覚が、日本のメジャーな感覚とずれている事を確認しておく作業は、今後のブロガー活動としても、重要だと認識している。違いがあるとして、何故違うのか、依って立つ立ち位置や生活上の環境の違いなど多岐に亘だろうから、どちらが良い悪いを判断する必要はない。ただ、違いを理解しておくことは重要だ。

安倍内閣の支持とか、政党支持率は、各社の世論調査と特段変わっているところはなかった。特に、書き加える点はない。前半の設問回答でおや?と思った点は以下の通り。

 ■設問:あなたは今の天皇に親しみを感じますか、感じませんか。

親しみを感じる:     65%
親しみを感じない:     8%
どちらとも言えない:26% だった。

 感想:筆者は、8割程度の人は親しみを感じているものだと、思い込んでいたが、この点は認識不足だったのかな?という感想を持った。どちらとも言えないが26%存在している事が意外だった。

 ■設問:日本は戦後、米国との同盟関係を重視してきました。これからの日本はどの国・地域との関係を最も深めていくべきだと思いますか。
米国:      54%
中国:       7%
韓国:       2%
インド:      2%
ロシア:      1%
東南アジア諸国: 19%
ヨーロッパ諸国:  6%
その他:      4% だった。

感想:米国の54%は妥当な線だろうが、米国が54%であれば、東南アジア諸国や中国との関係強化への認識が、相当低く評価されているように思えた。中国、東南アジアに30%くらいに評価があると思ったが、まだ、米国関係を強く意識した状態は続いているようだ。特に中国への関心度が低い点が最も気がかりだ。つき合いにくい国ではあるが、反目していても得るものは少ない相手だけに、経済成長に期待があるのであれば、無視できない国だと思うのだが、感情的部分が強く影響しているのかもしれない。

 ■設問:日米安全保障条約について、あなたの考えに最も近いのは次のどれですか。
これまで以上に強化すべきだ:  13%
これまで通り維持すればよい:  58%
将来はなくすべきだ:      11%
ただちになくすべきだ:      2%
わからない:          15% だった。

感想:7割の人が日米安保に期待している事実は、マスメディアの報道の姿勢から、このような回答になっても仕方ないだろう。回答してくれた人々すべてが、日米安保のイメージ先行で判断している点もあるだろうし、今までは、さしたる不利益を蒙っていないから、現状維持で良いんじゃないのくらいの判断であった可能性を感じる。実態に則して、具体的に設問を作った上で問いかければ、異なる回答も得られたのだろうが、総体的調査の一項目だけに、そこまで、突っ込むことは無理だったのだろう。積極的に信頼している人々が1割以上いる点も、幾分驚きだが、将来はなくすべきも1割いる。ただ、この1割は、積極的軍事力保持によってなのか、平和外交姿勢においてなのか、この回答には、真逆の意思表示があるので、判断しにくい。

 ■設問:米国、中国、韓国、ロシア各国との関係についてお尋ねします。
 ◇四つの国に対して、どの程度「親しみ」を感じますか。(親しみ感じる5点 )
米国: 3.7点
中国: 1.8点
韓国: 2.1点
ロシア:1.8点

感想:政治的と云うよりも、文化的な交流度の深さが表れているようだ。中国、ロシアとの関係は、東西冷戦の時代背景からも、停滞期が長いわけだから、容易に親しみが増える方向に行くには、50年単位の解す期間が必要だろう。その為には、経済的協力関係と文化的交流関係が欠かせないのだが、中国の場合、国と云う単位、中国人集団と云う単位、個人的中国人と云う単位で、日本などに比べると、価値観の共有が雑多なので、日中間の親しみ度を増やす試みは容易ではないだろう。あまりにも、米国文化を取り込んで、自国文化を蔑ろにする傾向が出ている日本だけに、日本文化の祖であつた中国文化にあらためて触れる傾向が出るとは思えないのだから、悲観的になる。余程、経済交流で、中国との関係が強まれば別だが、経済までが、中国からアジア諸国へとシフトする傾向を見せているだけに、相互理解には大きく乗り越えなければならない、壁が幾つもありそうだ。おそらく、中国との接近には、米中の相互理解が、裏面的親密性から、表面的融和性まで見える段階にならないと、現状の日本人の感覚からは、中国は異質の国のままだろう。現実的合理的対応と、感情の距離が際立っている重要な問題点なのだろう。

◇四つの国と日本との10年後の関係は、現在と比べてどう変化していると思いますか。(良くなっている5点)
米国: 3.5点
中国: 2.2点
韓国: 2.4点
ロシア:2.4点

感想:この結果には、相当の違和感がある。現実的、合理的な立場から観察するなら、10年後の国家的関係で、韓国、ロシア関係よりも、中国関係が低位にある点だ。ひとつには、中国経済の減速が、日本では極論的に語られているマスメディアの論調に誘導されているようだが、中国経済の発展がなくなると、世界経済の実体的原動力がなくなるわけだから、日本経済には忌々しい問題だ。アメリカ離れが幾分読まれている点は理解可能だが、中国経済への期待度が低いというか、現状の低下傾向のイメージを強く取り込んだ所為か、そもそも嫌いだからなのか、関係が悪くなると思う人が多いのは、日本にとっては、困った印象が根づいているように思える。おそらく、反中言論が強いせいもあるだろうが、かなり感情的側面が出ているようで気がかりだ。正直、個人的には、韓国との関係が良好になることで、合理的には、日本の国益が強くプラスに向かうとは思えないのだが、この辺は、日米韓同盟の印象が強い影響なのだろう。

以上、「調査その1」を中心に、主たる項目で、違和感があった設問を抽出した。明日は、「調査その2」について書こうと思う。以下、「言論NPO」の安倍政権・公約達成度に関する記事があったので、参考まで。


 ≪ 安倍政権3年 公約達成度、上昇…本紙・言論NPO 5点満点で2.7
 毎日新聞は26日、非営利団体「言論NPO」(工藤泰志代表)と合同で、2012年12月の安倍政権発足から3年間の実績評価をまとめた。11分野60 項目の政策がそれぞれどの程度進んだかを5点満点で判定した結果、平均は2.7点で、昨年11月に実施した政権2年時の2.5点からやや上昇した。安倍晋 三首相がこの1年で最も力を注いだ「外交・安保」分野が3.6点と高かった半面、「経済再生」は2.8点で前回から横ばいだった。 「外交・安保」高く  前回評価の後に衆院選があり、自民党の公約を踏まえて対象項目を見直したため、単純には比較できないが、安全保障法制の整備や17年4月の消費増税に伴う軽減税率導入など、与党との調整が必要な政策を首相官邸主導で進めたことが平均点を押し上げたとみられる。
 「経済再生」では、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉が大筋合意し、訪日外国人旅行者を20年に2000万人にする政府目標も達成見込みになった。
 一方、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の「三本の矢」によって「10年間の平均で名目3%、実質2%程度の経済成長を達成する」方針に関しては「企業の設備投資への動きが依然として鈍く、実現は難しい」という指摘が多く、前回より評価を下げた。
 政策の内容を国会答弁や記者会見などで十分に説明していない場合は1点減点した。今回は60項目のうち12項目が対象になり、唯一の5点(実現)だった「安全保障法制を速やかに整備する」は、国民への説明が十分でないと判断して4点に下げた。
 政府・与党が公約通り導入を決めた軽減税率は本来なら4点(目標達成の方向)だが、必要とされる1兆円規模の財源をどう確保するかを先送りしたため、3点に減点した。

実績評価
◇  
自民党が2014年衆院選で公約として掲げた政策を中心に、12年衆院選、13年参院選の公約との継続性も考慮して60項目を選び、進捗(しんちょく) 状況を評価した。各項目を(1)未着手または断念(2)目標達成は困難(3)順調だが目標が達成できるか判断できない(4)現時点で目標達成の方向(5) 実現または実現の方向−−の5段階に分類し、例えば(1)なら1点、(2)なら2点と数値化した。政策の達成度を測るのが目的で、是非は判定材料にしていない。 ≫(毎日新聞:野原大輔)

仮面の日米同盟 米外交機密文書が明かす真実 (文春新書)
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2 コメント

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私見 (武尊43)
2015-12-27 22:28:37
>天皇に親しみ
私は容認はしてますので、訊き方が悪いかな?
>東南アジアに30%くらい
ココ同意。今後の発展や中国との対峙を考えたら、もっと上でも良いくらい(笑)中国に付いては確かに影響拡大は当たり前なのですが、国同士としてのライバル感を持つ必要性が有ると考えます。但しマスコミの政権与党に与した報道が災いして低いんでしょう。
>日米安保
これも設問が悪い。どのようにすれば良いかを訊くべきですね。私は何処までも官僚の為ではなく国民の為になる制度に変えていくべきだと考えています。特に日米協定は完全に官僚出世の道具にされています。日米安保は必要悪でしょう。
>四つの国に対して、どの程度「親しみ」
裏面的親密性から、表面的融和性まで見える段階に同意。米国・自民・日本会議・マスコミが隠してる(怒)
>10年後の関係
提灯持ちマスコミジャーナリストメディアに誘導されてますな。どうも日本人は報道を信じ過ぎる(怒)
>本紙・言論NPO 5点満点で2.7
消費税上げるのを凍結なんて出てきてますね。憲法改正を進めようと考えている安倍政権に財務省も協力している事になります。そんな事になったらこの評価はどうなっちゃうんでしょう(笑)それともそこを隠す為の記事だったかなぁ??
返信する
美しい笑顔 (おじん)
2015-12-28 06:01:59
ゲタゲタ・ニヤニヤ・クスクス・バハハ・・・・・・。
学ぼう・世界から「美しい笑顔」を。
返信する

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